地理的表示(GI)保護制度・茨城県の登録産品
1.概要
(1)品目等 | ① 江戸崎かぼちゃ(えどさきかぼちゃ) 登録団体:稲敷農業協同組合 ② 飯沼栗(いいぬまくり) 登録団体:下飯沼栗生産販売組合 |
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(2)登録日 | ① 平成27年12月22日(登録番号:6号) ② 平成29年6月23日(登録番号:38号) |
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(3)生産地 | ① 稲敷市、牛久市桂町 ② 東茨城郡茨城町 |
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(4)内 容 | 地域には長年培われた特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在しています。これら産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護する制度が「地理的表示保護制度」です。 現在、農林水産省では、各団体からの申請に基づき、全国各地の42品目を登録しており、その中でも、茨城県では、「江戸崎かぼちゃ」と「飯沼栗」の2産品が登録されています(平成29年9月末現在)。 |
2.地理的表示(GI)保護制度とは
- 「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)は、地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物食品のうち、品質等の特性が産地と結び付いており、その結び付きを特定できるような名称(地理的表示)が付されているものについて、その地理的表示を知的財産として保護し、もって、生産業者の利益の増進と需要者の信頼の保護を図ることを目的としています。
【農林水産省HP抜粋】 - 農林水産省では、地理的表示保護制度の導入を通じて、それらの生産業者の利益の保護を図るとともに、農林水産業や関連産業の発展、需要者の利益を図るよう取組を進めています。
3.茨城県の登録産品
① 江戸崎かぼちゃ
- 江戸崎かぼちゃは、平成27年12月22日に登録番号6号として登録されました。これは、平成27年6月に施行された「地理的表示保護制度」が始まって、日本で最初に登録された7品目のうちの一つです。
- 厳格な出荷規格や気候・土壌などの生産地の特性により高い品質を維持し、流通関係者や都内料理店のシェフ等からも高い評価を得ています。
- 実際に、江戸崎かぼちゃは、東京都中央卸売市場における過去10年間(H17~H26年)の卸売価格の平均単価は341円/kgとなっています。これは、同市場における一般的なかぼちゃの平均単価184円/kgの約1.9倍にあたり高単価で取引されています。
(特徴)
- 約50年にわたる生産の歴史の中で培われた栽培方法を用いて、他の産地の一般的なかぼちゃと異なり、原則着果後55日以上ほ場で完熟させてから収穫する「完熟収穫」を行っています。そのため、ほくほくとした食感で完熟ならではの甘味のあるかぼちゃになっています。
※一般的なかぼちゃは,着果後45日程度で収穫 - さらに、江戸崎南瓜部会では、分散していた集出荷場を集約し、品質検査場を設置するなど、厳正な全数検査を行い、徹底した品質管理に取り組んでいます。
(地域との結びつき)
- 江戸崎かぼちゃの生産地の土壌は、排水性の高い火山灰土で、過湿に弱いかぼちゃの生産に最適です。
- 畜産が盛んな地域でもあり、家畜の堆肥を利用した土づくりが江戸崎かぼちゃの「完熟」を支えています。
② 飯沼栗
- 飯沼栗は、平成29年6月23日に登録番号38号として登録されました。茨城県では、「江戸崎かぼちゃ」に続き2品目目の登録となり、栗としては全国で初めての登録となりました。
- 高品質の生産を維持するための技術の研鑽、丁寧で手間暇を惜しまない作業などの取り組みが評価され、これまでに「第26回全国クリ研究大会全果連会長賞(H18年)」を始め、数多くの賞を受賞しています。
- また、東京都中央卸売市場における過去5年間(H23~H27年度)の卸売価格の平均単価は1,023円/kgとなっています。これは、同市場における国内から出荷されたクリの平均価格480円/kgの約2倍に相当します。
(特徴)
- 飯沼栗は、独自の栽培技術で1つの毬に1果の大粒の栗を作り上げています。
- また、その大きさに加え、果実洗浄や徹底した選果により、色つや・形状等の外観に優れたものを選別しています。さらに、長年にわたり冷温貯蔵に取り組み、品質低下を防ぎながら甘さが増した食味の良い栗を計画的に出荷しています。
(地域との結びつき)
- 茨城町は、関東ローム層の平坦な台地で保水性、通気性が良く、台風や雪の被害が少ない安定した気候を有しています。栗の栽培には、土壌が栄養分、保水力に富み、しかも排水性に優れていることが望ましいため、当地域の地形・自然条件は栗栽培に適しています。
- 和銅6年(713年)に編纂された「常陸国風土記」には、この地方での栗生産の記述が見られ、古くから良い栗が生産されていたことを伺い知ることができます。また、平成9年には茨城町において、全国の関係者約700名が参加した「第3回全国くりサミット」が開催され、先進的な栗生産地として全国的な認識が高まりました。