PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらき食材を使う料理人

六雁(むつかり) 総料理長 いばらき食のアンバサダー秋山能久さん(東京都)

六雁(むつかり) 総料理長 いばらき食のアンバサダー 秋山能久さん(東京都)

“スーパー割烹”で日本の食文化向上に繋げたい

六雁6Fメインフロアー

六雁 秋山能久さん

 総料理長の秋山能久さんを筆頭に、独自のセンスと多彩なアイデアで、枠にとらわれない和食の新境地を開拓するお店『六雁(むつかり)』。客の要望を聞き、好みに合わせた料理とサービスを提供するスタイルで、料理は全てコースで提供しています。
 「サービスマンも含めて、チーム一丸となってお客様をもてなすのがうちの流儀です」と語る秋山シェフ。
 「この六雁のコンセプトは、お客様と一体となることです。オープンキッチンですべてをさらけ出して、会話もしながら、料理を作り上げていくスタイル。スーパー歌舞伎ならぬ、スーパー割烹です」ごまかしがきかない、すべてを見せるという秋山シェフ。そのため、料理人も含めて、サービスマンもすべての所作に気を配る。まさしく“おもてなし”の心が隅々にまで行き届いた店です。

 水戸市出身の秋山シェフは、今も自然が残る水戸の街で、野山を駆け回って育ったといいます。
 「おふくろやおばあちゃんが作る料理が好きだったんです。山から採ってきた食材で作った料理、あと蕎麦とかね。そんなのを食べている間に自然と料理に興味をもった、というの始まりでしょうね」その後、高校時代に飲食店でのアルバイトを通じて、いつしか料理を仕事にしたいという気持ちが生まれたそうです。
 「最初にお世話になったのは、笠間の陶芸家の方に紹介していただいた“割烹すずき”という店でした。親父さんと自分だけ、客席も6席だけの小さな店でしたが、そこで料理の基礎とサービスについて、徹底的に仕込まれました」接客から調理まで、すべてをこなすうちに、料理店の在り方、料理人の立ち振る舞い、それらが身についていったといいます。

心・技・体を学んだ修業時代

六雁 秋山能久さん

六雁 店内入口

 「10年後、“月心居(げっしんきょ)”という精進料理の店に移りました。“クレイジー”な店でしたよ」ベジタリーフード、つまり野菜のみを使う店で、「野菜を最大限にどう活かすか、野菜の持つポテンシャルをいかに引き出すか」を学んだといいます。
 「まさに心技体。腕だけではなく、心の面も鍛えられました」一つの料理を完成させるために、食材をすりつぶし、練り上げること2時間。食材と向き合い、道具と一体になることで、無の境地のようなものを感じる瞬間がやってくる…いわば『行』のような調理だったそう。
 「そして、“掃除!掃除!掃除!”入口の椿の木の葉まで一枚一枚拭くんですよ、クレイジーでしょ?」厳しい修行僧のような生活の中で、料理に向かう姿勢、お客様を迎えるにあたっての心得を体得したそうです。「だから今も、料理の腕だけでは料理店は完成せず、そこに食材、道具、料理人の心構えが反映され、更に、お客様への真のサービスが揃わないと完ぺきではないと考えています。お客様に、心からうまいと言っていただき、最上のサービスをを提供し、“幸せな体験ができた”、とまで思っていただかないと、料理店の真の空間は完成しない」と秋山シェフは語ります。

伝統をおろそかにせず、新しいものに挑戦する

季節野菜の煮こごり

 そして『六雁』の立ち上げにあたり、平成17年に総料理長として迎えられ現在に至ります。
 「日本料理、和食というものをベースに、六雁というフィルターを通して、今の時代に合わせた料理を創り出しています。とはいえ創作料理という一言では片づけて欲しくないですね。古典のベースはしっかりと継承しつつも、見せ方、パフォーマンス、新しい提案を加味し、すべてを総体として表現できる割烹店を目指しています」伝統をおろそかにすることなく、今の時代に何か新しいものを残せないか、といつも模索しているという秋山シェフ。いかに食材に敬意を払い、大切にしていくかという姿勢など、「日本人としてあるべき姿を示していきたい」と言います。

いばらきの食材について

常陸牛の炭火焼

 茨城は全国第二位の農業産出額を誇る農業王国。その意義は大きいと秋山シェフは語ります。
 「自分が使いたい野菜が、茨城という素晴らしい環境の中で育っています。東京に近いという立地的なメリットもそうですが、ストレスの少ない新鮮な野菜が手に入ることが魅力です。採れたてですぐに食べられる野菜。自分はそういう野菜しか使いたくないですね。」土浦レンコン、江戸崎カボチャ、干しいも、イチゴ、メロン、水菜、フルーツほうずき、わさび菜など、店の料理に欠かせない食材が次々と手に入る。そして、生産者の顔が見れるというのも魅力とのこと。
 「茨城は近いので、私もよく畑や選果場、直売所などに足を運びます。その中でも、情熱をもって生産している方の食材を積極的に選びます。作り手がどのような思いを持って丹精込めて育てているか、その様子や情熱を店でお客様に伝える。それもまた料理を引き立てる調味料になると考えています。」 
さらに、常陸牛もお気に入りの食材とのこと。
 「肉質は松坂牛や神戸牛に決して引けを取らないですね。この素晴らしい肉を温度や脂質の特質などを含め、科学的にアプローチすることで、常陸牛としての良さをさらに引き出して、お客様に提供したいと考えています」
 秋山シェフのおすすめはローストビーフ。「これは本当にうまいですよ。この店でしか食べられない絶品に仕上げてお客様に喜んでいただいています。」

六雁 秋山能久さん

夢~更なる挑戦~

 「我々料理人の使命は、料理を通して幸せを与えていくことです!」そのために、できることは何でも取り組んでいくのが秋山シェフの心構えであると言います。
 「店内はオープンキッチンだから、何もかもさらけ出して、何も隠したりしません。たとえ同業者だって、いい部分はどんどん取り入れてくれればいいんです。その結果、個々の店が発展して、最終的には日本の食文化の向上につながるなら本望ですね。」料理人同士がかかわりを持つことで、互いに成長する姿こそ「あるべき姿なのではないか」と語る秋山シェフ。「特に地方の料理人とかかわっていきたいですね。地方には料理人も含めて、食材や調理法など隠れた宝物がたくさんあります。その宝を東京から、世界に向けて発信していきたいですね。日の丸ジャパンです!」
 料理店の使命は、お客様の心や体を癒し、“この店に来てよかった”と記憶にとどめてもらうこと。その為に、唯一無二の世界を持って、唯一無二のスタッフを育て上げていきたい、“ミッション、パッション、ハイテンション、そしてクリエイション!”を合言葉に、「皆が大きな夢を持ち、実現するために切磋琢磨する場を作り上げていきたい。」と力強く語ってくれました。

インフォメーション
名称 六雁(むつかり)
住所 東京都中央区銀座5-5-19 銀座ポニーグループビル 6F・7F
お問い合わせ TEL:03-5568-6266
WEBサイトURL http://www.mutsukari.com/
その他の情報 ※この情報は平成29年2月時点のものです。

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