いばらきの食に挑戦する人たち
玄そばの最高峰常陸秋そば 生産からそば打ちまで 宮本弘さん(常陸太田市)
そばに魅せられて
常陸秋そば
宮本弘さん
宮本弘さん指導の様子
「常陸秋そば」は、茨城県が全国に誇るブランド品種です。「玄そばの最高峰」といわれる品質は、豊かな香りと味わいに優れ、全国の蕎麦職人や蕎麦通から高い評価を得ています。 宮本弘さんは、「常陸秋そば」発祥の地・常陸太田市でそばの生産を行うとともに、全麺協の定める“素人そば打ち段位認定制度”において、四段を保持。さらに、そばにこだわる有志が集まる『いばらき蕎麦の会(※)』(会員約300名)の副幹事長を務めています。 宮本さん「とにかく昔からそばが大好きでした。昔はどこの家でもそばを作って(生産して)いたんです。この辺りは元々“水府たばこ”と言われるタバコの葉の産地で、タバコとそばは栽培土壌の相性がとても良いので、交互に作っている家が多かったのです。うちも義母の実家ではそばを作っていましたし、よくそばを打って食べさせてくれました。」 宮本さんが常陸秋そばの生産を始めたのは、40代後半。当時サラリーマンだった宮本さんですが、定年するころには、すっかりそばの魅力に魅了されていたそうです。 (※)いばらき蕎麦の会…そばにこだわる有志が世話人となり、平成11年5月にそばに関する情報交換や共同体験を行う場として発足した有志団体
天候の苦労
茨城県では、そばの種は8月の初旬からお盆前ぐらいに撒き、収穫に至るまで2カ月強かかります。宮本さんいわく、そばは、花が咲いて実がなっても、その特性から1割も収穫に至らないという、貴重な作物です。 そばの芽が出てから茎が育つ時期は、成長のなかで最も大事な時期。その時期に雨などの悪天候が重なると全滅してしまうこともあるのだとか。だからこそ、種を撒く時期に最も気を使うと言います。 宮本さん「そばは、種を撒いてからだいたい6日後に芽が出ます。そのあと、茎が15センチくらいになる間に強い雨や風にさらされると、茎が溶けてしまうんです。今年は、芽が出るところまでは上手くいったのですが、茎が伸びる前に台風の影響で残念ながら半分以上がダメになってしまいました。これまでには、雨が降りにくいとされる8月の後半に種を撒いてみたこともあるのですが、花は咲くもののまったく実がなりませんでした。自然相手ですから、そこは本当に毎年苦労しますね。」
そばの魅力
宮本弘さん
育てる、挽く、打つ、そばの全てが大好きだという宮本さん。なかでも、“打つ”ことに関しては、友人の紹介で知り合った、観光庁が選定する「観光カリスマ百選」にも選ばれている『唐橋 宏さん』の元に毎月通い、そばづくりの知識・技能・経験を学んだそうです。 宮本さん「そば打ちは、元々あゆ釣りの仲間達と一緒に始めましたが、そこからどんどんのめり込んでいきました。唐橋さんの所にはただ技術を学ぶだけじゃなく、“教え方”も知りたくて通いました。そば打ちを教える時、『こうやってください』と言うよりも、“なぜそうするか”というロジックを伝えると、よりわかりやすいと思ったからです。また、唐橋さんの所には全国からそば打ちを学びたいという人達が集まってくるので、県外の人達との繋がりができたのも良かったですね。」 宮本さんが副幹事長を務める『いばらき蕎麦の会』では年に10回ほどそば打ちの指導を行うそうです。更に宮本さんは、水戸農業高校『蕎麦打ち部』の指導を務め、全国そば打ち選手権大会出場へ導くなど、そば作りだけでなく、そばの普及活動も積極的におこなっています。
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宮本さん「そばほどたくさんの人達と交流できる作物はないんじゃないかと思っています。また、そばは、栽培から作って食べるまで全てを自分でできるので、食育には最高の作物だと思います。最近は、そば打ち教室に参加する若い人が減ってきました。もっともっと、若い人達にそば打ちの楽しさを感じて欲しい。その為に、少しでも興味を持ってもらえるように活動していきたいです。」
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