いばらきの食に挑戦する人たち
JA新ひたち野 蓮根部会玉里支部 西村 哲也(小美玉市)
JA新ひたち野 蓮根部会玉里支部
大型ハウス内のれんこん
れんこんを傷つけないよう「水掘り」で収穫する
茨城県は、日本一のれんこんの産地です。茨城のれんこんは、やわらかな肉質、ほんのりとした甘み、そして肌がきめ細かく見た目が美しいのも特長です。 近年は大型ハウスの普及や品種改良が進み、1年を通して品質の高いれんこんを栽培できる体制が整っています。 茨城のれんこん生産者は、収穫に「水掘り」を採用し、水圧でまわりの土を落とし、れんこんを浮かび上がらせてれんこんを傷つけないよう細心の注意を払っています。 JA新ひたち野 蓮根部会玉里支部は、小美玉市(旧玉里地区)で1972年に設立された部会で、特に大型ハウスでのれんこんの周年出荷を確立させており、その規模は全国でも有数です。これらの取り組みとれんこんの品質が評価され、平成6年から茨城県銘柄産地※に指定されています。 2022年現在の部会員はおよそ50名。部会員全員が有機質肥料を使用し、減化学肥料・減農薬に取り組む農家に与えられる「エコファーマー認証」を取得しています。さらに、安全・安心の見える化(記録管理等)を行うため、JGAP※2 団体認証取得に向けて尽力しています。 ※茨城県銘柄産地指定制度…高品質で信頼性・安全性が市場で高く評価され、多様化するニーズに対応できる、県を代表する青果物産地を育成・指定する制度 ※2 JGAP…実践的な農業生産工程管理への取り組み。JGAP認証は、日本で農業を営む農家・団体がJGAPの規範に沿って運営し一定の要件を満たしていることを申請し、証明されると認証が受けられる制度
良好な関係が良いれんこんを作る!
目揃え会の様子
同部会の部会長(2022年9月時点)を務める西村さんは、元はサラリーマンでしたが、れんこん農家を始めた母や、れんこんの優良系統“パワー”を作った父の姿を見て継ぐことを決意し、2011年1月に就農しました。 「部会では、横の情報交換を密に行っていて、自分たちの課題に対して何ができるかを常に皆で考えています。私もまだ10年足らずの新参者ですが、困った時は先輩方に聞けば親身になって教えてくれます。良いと思った情報はすぐに広がる。地域全体で『良いれんこんを作りたい』という一心で協力し合っているので、この良好な関係が良いれんこん作りに繋がっていると思います」 部会では毎週「目揃え会」を開催し、検査員が部会員のれんこんを検査。高品質なれんこん作りに寄与しています。
「赤渋れんこん(仮)」で他産地との差別化を図る!
これが赤渋(アカシブ)
スーパー等でれんこんの表皮に赤錆色の汚れのようなものがついたれんこんを見かけたことはないでしょうか。この汚れのようなものは赤渋(アカシブ)と呼ばれ、赤渋がついたれんこんは鮮度の良い証なのだそうです。 「田んぼの泥の中のれんこんは、葉茎を通じて呼吸をして、取り込んだ酸素を表皮から放出します。その過程で、酸化鉄の赤錆色が表皮につきます。多くが見た目の良さを要求されるため、市場出荷用のれんこんは掘り上げる数日前に水中で茎を苅り、酸素を取り込めない状態にして渋抜きをしています。つまり、赤渋は、収穫の直前まで呼吸していた証で、鮮度抜群なのです」 同部会ではこれまで、一部の取引先の要望で少量の「赤渋れんこん(仮)」を出荷していましたが、あえてこれをブランド化していこうという動きが始まりました。 「赤渋れんこん(仮)」をいただいてみると、シャキシャキした食感がとても良く、トウモロコシのような甘さに驚きました。
「赤渋レンコン(仮)」は「マルタマ真レンコン」へ! JGAP団体認証も取得!
産地のさらなるステップアップに向けて、「赤渋レンコン(仮)」のブランド化とJGAP団体認証取得に取り組んだJA新ひたち野蓮根部会玉里支部。 「赤渋レンコン(仮)」は産地の歴史や生産者のこだわりを前面に出したブランディングを行い、「マルタマ真レンコン」として新たな一歩を踏み出すこととなりました(PR動画:https://youtu.be/X60nXdR2LmY)。 「マルタマ真レンコン」は8~9月の限定商品として、県内外を問わず、販路拡大を図っていきます。 JGAP団体認証は7農場でスタートし、令和5年1月27日付で認証されました。 JA新ひたち野蓮根部会玉里支部では、部会員全員がJGAP団体認証に取り組むことを目標としています。安全安心の見える化を図る手段としてJGAPを活用することで、産地の更なる信頼構築を目指していきます。
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西村さんに、今後の展望をお伺いしました。 「赤渋れんこん(仮)や、JGAP団体認証への取り組みは、他産地との差別化を図り、販路拡大に繋げていくために行っています。赤渋れんこん(仮)は、生産者の立場からすると、茎を苅る作業が無くなるので仕事を効率化できますし、消費者にとっては鮮度の良いれんこんを食べられるので、良いことずくめだと思うんです。JGAP団体認証も、取得できれば茨城県内で初の農協が取得する団体認証になるので、少しでも他産地との違いを出せればと。これらを複合して地域のブランドにしたい。ブランド化が難しいことは承知していますが、赤渋れんこん(仮)のニーズがあり、生産者のやる気もあり、農協や茨城県のバックアップが重なった今こそ、頑張り時だと思っています」
インフォメーション | |
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名称 | JA新ひたち野 蓮根部会玉里支部 |
住所 | 茨城県石岡市三村6905-1 |
お問い合わせ |
TEL: 0299-56-3100
FAX: 0299-26-8568 |
WEBサイトURL | http://www.shin-hitachino.com/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2022年10月時点のものです。 |
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