いばらきの食に挑戦する人たち
ぶぅーぶー店長 倉持暁成(下妻市)
自社ブランド「伝説の下妻金豚」
ぶぅーぶー 外観
下妻市の国道294号線沿いに突如現れる真っ赤な「ぶた」の看板。ここは、“伝説の下妻金豚”の精肉販売をはじめ、この肉を使ったお惣菜やベーコン・ソーセージなどの加工品を販売する「ぶぅーぶー~豚職人工房~」です。 店長は、倉持暁成さん。養豚場「倉持ピッグファウム」を経営する父の元に生まれ、幼少の頃から豚と深く関わりながら育ちました。現在同農場は兄が農場長を務めています。 地元の飼料米をたっぷりと与え、愛情を注いで育てた同農場の豚に、倉持さんは『伝説の下妻金豚』とブランド名を付けて「ぶぅーぶー」で販売しています。
生産から加工・販売まで
伝説の下妻金豚
ぶぅーぶー店内
倉持ピッグファウム 外観
「祖父の代からとにかく“良い豚を作ろう”と、親豚の改良から飼料までこだわって生産しています。自分で言うのもなんですが、本当においしい豚肉です。」と倉持さん。 ご自身でお店を出そうと思ったきっかけは、市場を通しての取引に疑問を持ったことが始まりだったそうです。 「豚肉の価格は、等外~極上の5段階の格付けで決まるんですが、格付けは“味の良し悪し”ではなく“見た目”が重視されることが悔しくて。」 群馬の検査機関に自社肉の成分分析を依頼してみると、赤身のアミノ酸が一般の三元豚より約3~4倍、脂肪のオレイン酸含有量も一般の三元豚より約9%高く、融点も32℃~36℃と低かったそうです。 「アミノ酸は“うまみ”につながり、オレイン酸が多くなると脂肪の融点がさがり舌の上で溶けやすく、口当たりがなめらかになります。豚肉は赤身と脂身の味のバランスが大事だと思うのですが、自社肉は赤身のうまみ成分が多く、脂もなめらかで、とても良いバランス。おいしさが数値として証明されたことが励みになって、“自分で店を出して直接お客様においしい豚肉をお届けしたい”という思いが強くなりました。」と倉持さん。 高校卒業後、全国食肉学校で6次産業について学び、東京や名古屋の肉屋などで修業を積み、平成28年に「ぶぅーぶー」をオープンしました。自社ブランドの『伝説の下妻金豚』も大変好評です。 「お肉屋さんは数あれど、豚作りからやっている肉屋はそうないと思います。おいしいものを作るには、元から作るのが一番。自分で販売まで行うことで、お客様の生の声を聞くことができますし、その声を父や兄の農場にフィードバックすることでより良い豚作りに活かすことができるのも強みだと思います。また、豚を飼育することで、どうしても臭いなどが出てしまうので、近隣に住む方の理解が必要です。そんな地元の方達においしい豚肉を食べてもらって恩返しがしたい、という思いもあります。」 また、子供や年配の方も覚えやすいネーミングを、と店名を「ぶぅーぶー」にしたといいます。休日ともなれば、オープンから閉店まで多数の客で賑います。
全てはお客様の「おいしい」の為に
倉持暁成さん
手作りラード
コロッケ
倉持さんの一日は、豚一頭をさばくことから始まります。 「一頭ごとに肉の付き方、サシの入り方等が違うので、職人さんと2人で目利きして、この部位は精肉にする、ベーコンにする、惣菜にする、などその部位にどんな処理をするか判断してさばいていきます。常に“どうしたらおいしく食べてもらえるか”を考えながら一刀一刀真剣勝負です。」 また、ぶぅーぶーのお惣菜、ベーコンやハム、ソーセージなどは全て手作り。「例えばコロッケはじゃがいもを蒸かして潰して…など、全てです。僕自身揚げ物が大好きなので、揚げ油にもこだわり、ラードからうちで作っています。また、毎日必ず揚げ油は代えますね。」豚の枝肉からラードの元となる脂を取り、よく炒めて濾す。惣菜の揚げ油まで自社の豚から作ってしまうお惣菜は、コロッケ1個180円。スーパー等に比べるとやや高めですが、「素材の良さと手間をきちんと分かっていただいて、お客様に“おいしい”と言ってもらえるものを作りたいんです。」と倉持さん。お客様からは、「胃もたれしない」「子供がここのコロッケ以外は食べない」など、評判は上々。こうした声をダイレクトに聞けることが何よりのモチベーションに繋がると言います。 「全てはお客様のおいしいの為に」。期待してくれるお客を裏切らないよう、どの工程も全て、毎日が真剣勝負なのです。
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「まだ開店したばかりのお店なので、まずは“おいしさ”でお客様との信頼関係を築いていくことが第一ですね。お客様に信頼してもらい、うちのお肉や加工品が多くの方に愛されたらいいなと思います。今は国道沿いという場所がら、遠方から来てくれるお客様が多いのですが、もっと地元の方達に身近に食べていただきたいですね。一つひとつに手間をかけているので、どうしても価格が高くなり、手に取りにくいかもしれませんが、食べればこの価格も納得していただけるはず。まずは一口でも食べてもらいたいです。」 倉持ピッグファウムが出荷する豚は年間4,200~4,300頭。そのうち、ぶぅーぶーで使っているのはその1割ほどだそう。今後はもっと自社肉を自分達で販売できるよう、「最終的には店舗を増やすのが目標」と語ってくれました。
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