PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

太助レンコン園×Nine'sFarm JAなめがたしおさい れんこん部会 小原 健児さん 出頭 大祐さん(鹿嶋市)

太助レンコン園×Nine'sFarm JAなめがたしおさい れんこん部会 小原 健児さん 出頭 大祐

鹿嶋産のれんこん、食べてみて!

鹿嶋で初のれんこん栽培に挑戦!

小原 健児さん(左)、出頭 大祐さん(右) 小原 健児さん(左)、出頭 大祐さん(右)

 茨城県の南東部・太平洋沿いに位置する鹿嶋市は、ピーマン、小松菜、メロン等の産地です。そんな鹿嶋市で初めて、れんこん作りに挑んでいる生産者がいます。  太助レンコン園の小原 健児さんと、Nine'sFarm(ナインズファーム)の出頭 大祐さん。小原さんが2歳下で2人は小学生時代からの幼馴染み。農業には縁の無い環境で育ったという2人が、なぜ鹿嶋市で前例の無いれんこん作りを始めたのでしょうか。 出頭さん 「会社員をしていたのですが、転職を考えていて。妻の実家が鉾田市で農業をしていたので、自然を相手にする仕事っていいなと思っていました。そんな時に高校の同級生が阿見町でれんこんを作っていると聞いて、小原さんと一緒に見に行ったのがきっかけです」  そこで口にしたれんこんの味に、衝撃を受けたという2人。  「真っ白な色、甘み、シャキシャキの食感。今まで食べてきたれんこんとは何もかも違いました。鹿嶋市でれんこんを作っている人はいないので、これを鹿嶋で作れたらかっこいいなって」と出頭さん。小原さんは、「れんこんの味はもちろん、阿見町の生産者の人柄にも惚れ込んだ」と言います。  以来、阿見町の生産者(ベストファームの吉田さん)を師匠と仰ぎ、1年間修行したのち、2018年にそれぞれが個人事業主として会社を設立。2人の地元である鹿嶋市・大野地区でれんこん作りを開始しました。

開墾からのスタート

 れんこんの作付けのない鹿嶋市で鹿嶋産れんこんの栽培を始めた2人。大野地区の北側が出頭さん、南側が小原さんと生産エリアを大まかに分け、約1haずつ水田や耕作放棄地をいちから開墾し、重機で木の伐採などをして蓮田を作っていったそうです。 出頭さん 「最初は無我夢中でした。何でもやったし、365日蓮田にいました。今でこそ自分も小原さんもスタッフがいますが、当時は2人きりだったので、お互いに手伝いながら夢中でやっていました。1人だったらできなかったと思います」  栽培においては、「土作りからこだわり、土壌検査をして足りないものは有機質肥料で補っています。化学肥料は使っていません。有機質を生かすために、微生物などを使用して土壌環境を整えます。土壌と水の環境を整えることで、おいしくて健全なれんこんができるんです」と出頭さん。小原さんは、「1種類の種で育てることにこだわっているので、この種を守って他の種が混ざらないよう気をつけています」と言います。  師匠の教えで、蓮田を作る前から作業場となる施設を建て、洗浄機などの設備も整えました。れんこんの通年出荷における必需品とも言える冷蔵庫も、地元農協に設備が無かったため各自準備したそうです。 小原さん 「鹿嶋の人は、『ここじゃれんこんはできない。できても茶色いれんこんだ』と言う。でも師匠は『できる』と言う。本当にできるのかと不安でしたが、新規就農として届け出てしまったし、設備投資の借金もしてしまったので、後には引けませんでした(笑)」

「JAなめがたしおさい れんこん部会」設立

 2人の作ったれんこんが初出荷となった2018年8月。地元農協ではれんこんの取り扱いが無いため、師匠の紹介で茨城県南地域を管轄する全農に出荷できることになりました。 小原さん 「『できない』と言われていましたが、できたんです。確かに茶色い赤渋(アカシブ)がついているのですが、収穫前に葉を折って光合成を止めたり、収穫後少し置いておくことで白くなる。産地じゃないので、地元の人はその情報を知らなかったのかもしれないですね」  初出荷にも関わらず予想以上の高値がついたとのことで、これならばやっていけると確信し、一年を通して切らさずに出荷する通年出荷も実現しました。  2022年には2人で「JAなめがたしおさい れんこん部会」を設立し、目揃え会(出荷前に色や形、見た目などの出荷規格を確認する会)も定期的に開催。  2023年現在はそれぞれにスタッフを抱え、小原さん約11ha、出頭さん約7haの蓮田で鹿嶋産れんこんの生産を行っています。  「まだまだ納得のいくれんこんは作れていない」と語る2人ですが、地元の方たちにれんこんを食べてもらうと、「甘い」「みずみずしい」「もう他のれんこんは食べられない」など2人のれんこんを絶賛する声が多く届いているそうです。

簡単!おいしい!れんこんレシピ

出頭さんの奥様 由香さんに、簡単でおいしいれんこんのレシピを教えていただきました。 れんこんは、厚めに切るのがポイントだそうです。 「れんこんのにんにくオリーブオイル焼き」 ≪材料(2人前)≫ ・れんこん 一節 ・オリーブオイル 適量 ・にんにく 1かけ ・塩・こしょう ≪作り方≫ ① れんこんを厚めに切る ② にんにくを薄めにスライスする ③ フライパンに多めのオリーブオイルを入れ、にんにくを入れて温める。にんにくの香りがしてきたら、れんこんを入れて揚げ焼きにする。 ④ れんこんに火が通ったら、仕上げに塩・こしょうをまぶして完成♪

販売時期
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小原 健児さん 出頭 大祐さん

夢~さらなる挑戦~

出頭さん 「実は『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)(※)』に、『鹿嶋(鹿嶋市沼尾)のれんこんは身体に良い』という記述が残されていることを最近教えてもらいました。つまり、記録上では1300年以上前には鹿嶋市でれんこんが作られていた。けれど何かのきっかけで途絶えてしまったんです。茨城でれんこんといえば土浦市が最も規模が大きく生産が盛んなエリアですが、古くかられんこんにゆかりのある鹿嶋で再び作り始めたというプライドにかけて、鹿嶋のれんこんもおいしいということをPRしていきたいです。ぜひ食べてみてください」 小原さん 「出頭さんと同じ想いです。鹿嶋のれんこんを食べてもらいたい。僕はほとんど料理をしないということもあって、調理済みのれんこんがあったら手に取ってもらえる機会が増えるのではないかと思い、『蓮根肉餃子』や『レンコンキムチ』などの6次産業化商品も作っています。鹿嶋のれんこん、本当においしいので、ぜひ食べてみてください!」  「2人だと機械の買い分けができたり、作業の効率化を図れたり。2人だからこそできることが多い。1人ではできなかったと思う」と、言葉の節々から仲の良さが伝わってくる2人。今後の展望をお伺いすると、「2人とも想いは同じ。これからも助け合いながら納得のいくれんこんを作ること。そして1人でも多くの人に食べてもらいたいので、PR活動も積極的にやっていきたい」と熱く語ってくれました。  情報発信はそれぞれのInstagramで行っており、毎年10月に開催される「鹿嶋まつり」では、「れんこん詰め放題」や「蓮根肉餃子」の販売などもしているそうです。  県内最古?!のれんこんの産地で、千年の時を越えて再び動き出した2人の挑戦は、まだまだ続きます。 ※奈良時代初期(713年)に編纂された常陸国(現在の茨城県の大部分)の風土記

買えるお店
太助レンコン園
住所: 茨城県鹿嶋市荒野243
TEL: 0299-87-1279
Nine'sFarm
住所: 茨城県鹿嶋市荒井3284
TEL: 090-7828-0772
オンラインショップ
インフォメーション
名称 JAなめがたしおさい れんこん部会
住所 茨城県鹿嶋市浜津賀871-1(JAなめがたしおさい鹿嶋営農経済センター)
お問い合わせ TEL: 0299-69-0080
FAX:
その他の情報 ※このページの情報は、2023年8月時点のものです。

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