いばらきの食に挑戦する人たち
飯山製茶 飯山 万寿夫(八千代町)
茨城を代表する三大銘茶のひとつ「さしま茶」の生産の一端を担う八千代町
親子で茶畑を管理する飯山万寿夫さんと息子の翔平さん
継いだ直後に有機肥料と減農薬栽培に舵をとった4代目
さしま茶の生産地の一端を担う八千代町。かつては7軒あった製茶園も現在は3軒になっていると言います。そんな同町で5代続く老舗製茶業を営むのが飯山製茶です。 飯山製茶では、生葉の生産から荒茶加工・選別・火入れ等の仕上げ加工まで一貫して行います。 曾祖父の手揉みの時代から戦後、徐々に機械化を進め、現在は農地を拡大し7.5ヘクタールの茶畑で生葉の生産をしながらお茶づくりをしています。 4代目の飯山万寿夫さんは、古くなった老木茶園を新しい苗に植え替える改植に力を入れています。代々受け継がれてきた茶園を順次改植し、新品種の導入を計っています。 同園では中生の「やぶきた」の他に、早生では「さえあかり」「きらり31」「さやまかおり」を晩成では「かなやみどり」「はるみどり」「おくみどり」「ほくめい」と計8品種のお茶を栽培しています。 ふるさと納税で品種ごとのお茶の出荷もしつつ、同園オリジナルブレンドのお茶を出荷しているといいます。
多品種にかける5代目の想い
茶畑の土づくりは有機肥料に絞って施肥を行っている
これからの飯山製茶を担う5代目・飯山翔平さん
飯山製茶では「やぶきた」が全体の48%を占めているといいます。これからはもっと新品種を試しながら品種を見極めていきたいと言います。 前述した品種の中でも、最も新しい品種「きらり31」は独特な濃い味が特徴で次世代のリーダー的品種と言われています。茨城県内でも同園では最も多く「きらり31」を多く育てているといいます。また、幻の品種と呼ばれる「はるみどり」は圧倒的な旨味が特徴で、一番茶の新芽の色が鮮やかな緑色を持ち合わせています。 他にも多くの品種を栽培する同園では、お茶の奥深さを知ることができます。 そして、5代目となる飯山翔平さんは「やはり『やぶきた』が作りやすく、安定したおいしさであることから作り続けていきたいと思います。ただ、『きらり31』など新しい品種の割合も多くするなど、もっと新しい品種も取り入れていきたいですね。昔はお茶も作れば売れる時代でしたが、いまではそんなに量も売れなくなっています。もっと高品質なものを作っていき、量よりも品質にこだわり、独自性があるお茶を作ることが重要だと思っています」と語ります。
二煎目、三煎目でも旨みのあるお茶を出せる力強い茶葉
遮光ネットを張ることで葉緑体が多くなり緑色が濃くなる
ORGANIC GREENTEAと命名した有機のお茶
万寿夫さんは、おいしいお茶を作るためのこだわりについて「お茶は見た目も重要なんです。お茶を入れたときにしっかりと緑色がでないといけません。そのため、私たちは収穫する10日前から70%超えの遮光ネットをかけ、より緑色が濃く、旨味が強くなり、渋みの少ないお茶作りにこだわっています。これは玉露の製法を模倣したもので、どうしたら関東平野で育ったさしま茶を多くの人に飲んでもらえるかを考えました」と話します。「味が濃いけれども独特の癖がある」と言われていたさしま茶のイメージを覆したく始めたと言います。 生葉を蒸気で蒸すタイミングと温度で8割方お茶のおいしさは決まってしまうとも。収穫時に熱を持ってしまったお茶を数時間で覚まし、その日のうちに一気に蒸し上げ、旬のおいしさを閉じ込めます。そうなると収穫は朝一番…、と思われがちですが夜露がついてしまうと収穫はできないといいます。そのため、その日のうちに蒸そうとすると収穫できるタイミングは極僅か。その瞬間を逃さないのも美味しいお茶を作るために必要なことだと言います。 そんな万寿夫さんが長年考えていたもうひとつの目標が、有機栽培でのお茶の生産でした。いろいろと有機栽培に適した土地を探し、つくば市に最適の畑を見つけたという万寿夫さん。5年間、有機肥料だけを入れ、農薬を散布せず、念願の有機認証を手にしました。茨城初となるこの有機認証。農学部に在籍していた学生時代に有機農業を知ったのがきっかけだったと言います。 「口にするものだから、自然に配慮した形でお茶を作れないか…」と悩んだ結果、有機栽培にたどり着いたと言います。最初はお茶の葉の色が薄くなり2割以上収穫量は減りましたが、それでも有機栽培にこだわりました。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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いまではJGAPの認証も取得し、さらにひとつ上のステージでお茶の生産に取り組んでいます。 有機栽培で育てたお茶「ORGANIC GREENTEA」は味が穏やかで、昔ながらの柔らかい香りと旨味が特徴といいます。そして、5代目の翔平さんは「せっかく父が取ってくれたJGAPなどの認証を大切にしつつ、少子高齢化で人手が少なくなる分、圃場管理をはじめ、少量でも質を高めたお茶づくりをしていきたいと思います。海外進出も含め検討しています」と語ってくれました。
インフォメーション | |
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名称 | 飯山製茶 |
住所 | 茨城県結城郡八千代町松本3 |
お問い合わせ |
TEL: 0296-48-0177
FAX: |
WEBサイトURL | https://iiyamaseicha.thebase.in/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2024年9月時点のものです。 |
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