PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

JA北つくば こだま西瓜部会大塚 一夫さん(桜川市)

JA北つくば こだま西瓜部会 大塚 一夫さん(桜川市)

手間を惜しまず「黒こだますいか」を作る!

抜群のシャリ感!黒く輝く「黒こだますいか」

黒こだますいかイメージ黒こだますいかイメージ

 「黒こだますいか」は、「こだますいか」の一種で、手に乗るほどのかわいらしいサイズ感ですが、実が詰まっていて、ずっしりとした重さがあり、食べ応え十分です。果肉はシャリシャリとした歯ざわりで、とてもジューシー。その黒く輝く外皮と鮮やかな赤い果肉とのコントラストの美しさは高級感にあふれ、贈り物にもぴったりのすいかです。

 県内の「こだますいか」の最盛期は4月から6月ですが、「黒こだますいか」は、暑い時期にも栽培が可能なため、こだますいかの出荷が落ちついた7月1日以降から出荷が開始されます。販売期間は、8月のお盆までと非常に短いながらも、毎年楽しみにしている消費者も多いすいかです。

JA北つくば こだま西瓜部会

黒こだますいかイメージ黒こだますいかイメージ

黒こだますいか生産者 大塚さん黒こだますいか生産者 大塚さん

 こだますいかの生産が盛んなJA北つくば(筑西市・桜川市)では、出荷前に生産者の各圃場ですいかの試し割りを行い、食味、糖度、食感などの検査を実施しています。この検査に合格した「こだますいか」には「紅の誘惑」、「黒こだますいか」には「誘惑のひとみ」とオリジナルブランド名を付けて市場に出荷しています。
 さらに、筑西市では、同市と桜川市の特産品である「こだますいか」の美味しさをもっと知ってもらおうと、二十四節気の「立夏」(2018年は5月5日)を「こだますいかの日」に制定しています。

 JA北つくばの「こだま西瓜部会」の部会員数は160名(H30時点)。そのうち、「黒こだますいか」を生産をしているのは、24名です。大塚一夫さんは、JA担当者も「素晴らしいこだますいかを作る方」と太鼓判を押す「黒こだますいか」の生産者の一人です。

「天地返し」で綺麗に色づけ

黒こだますいか プラスチックのマットを敷く黒こだますいか プラスチックのマットを敷く

大塚さん 遮光ネットをかける作業大塚さん 遮光ネットをかける作業

圃場に生る黒こだますいか圃場に生る黒こだますいか

 黒こだますいかは、4月~5月に苗をハウスに定植することから始まり、定植から約ひと月後に交配作業、交配後約40日で収穫となります。
 「玉がソフトボール大に生長すると、変形を防ぐために玉の下に円状のプラスチックのマットを敷きます」と大塚さん。

 梅雨、そして日差しも強まる6月に生育期のピークを迎える黒こだますいかですが、大塚さんは、毎年この時期になると、ビニールハウスの外部に遮光の塗料を塗って直射日光を緩和させ、収穫の1週間前頃からは、さらに遮光ネットをかけるといいます。

大塚さん 「黒こだまの黒い色は、日に焼けさせることで色づくんです。といっても、直射日光はダメ。外皮が人間で言うやけどのような状態になってしまうんです。逆に、日に当てないと生育が止まってしまいます。ですから、ちょうどいい具合にハウスを遮光して適度な日の光を入れて、表皮に色むらが発生しないように果実の向きを変える作業“天地返し”を何度も行います。」

 色にムラが出ると商品価値が一気に下がってしまうため、大塚さんは、6月になると毎朝4時から一つのハウスで約3~4時間かけて、ひと玉ひと玉丁寧に、“天地返し”を行うそうです。
 また、黒こだますいかの生育中は果実表面にブルーム(白い粉)が発生しますが、このブルームにはロウ物質が含まれているため、収穫後に柔らかいタオルなどで磨くと、素晴らしい光沢が出ます。

手間を惜しまない

黒こだますいか 畑黒こだますいか 畑

大塚一夫さん大塚一夫さん

 大塚さんハウス(圃場)のなかには、60年以上も栽培を続けている圃場があり、連作障害(※)の対策は特に気を付けて行っているそうです。

大塚さん 「障害を防ぐには、どんなに次の作物の種を蒔きたくても、生産が終わったら土をうなって(掻き混ぜて)一定期間休ませることが大事です。作物の育ちが悪かった圃場は、生産が終わった時点で、ツルを抜いて根を見て、どんな障害が出ているか確認します。それから土壌分析をして、肥料を振って、次の作物を植える準備を整えます。黒こだますいかも、他の作物も、じっくり、ゆっくり、あわてずに育てると良いものができます。慌てて作ると、障害対策も後手後手になって、良い作物はできません。」
 大塚さんの言う「じっくり、ゆっくり、あわてずに」を実現するには、「とにかく毎朝早朝に圃場の状態を見に行くこと」が大事なのだとか。「早朝の畑の姿は、何が足りていて何が足りないかを知らせてくれる」と大塚さんは言います。そうした気づきが早ければ早いほど対策が先に打てるので、余裕を持った栽培計画が立てられるのだそうです。

※連作障害…同じ場所で同じ作物を作り続けると、作物を冒す病原菌や有害線虫が多くなったり、土壌の中の養分が不足したりして、作物の生育が悪くなる障害のこと。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

JA北つくば こだま西瓜部会 大塚 一夫さん

夢~さらなる挑戦~

 大塚さんの所有するビニールハウス(圃場)は36棟。そこで、こだますいか、黒こだますいかの他に、トマトとレタスを作っています。驚くことに、36棟のハウス全てを、奥様と二人で切り盛りしているそうです。
 大塚さんの今後の夢は、「奥さんと2人で、1年でも長く作物を作り続けること」です。
「この仕事は、1人では絶対にできません。2人で3人分の仕事はできますが、1人で2人分の仕事は絶対にできない。どちらかが欠けたら仕事を辞めるしかないんです。だから、少しでも時間ができたら(奥さんを)休ませて、無理をさせないようにしています。周りから“夫婦仲が良いね”と言われるけど、仲良くしないと食べていけないんですよ」と笑いながら語ってくれました。

インフォメーション
名称 JA北つくば 東部営農経済センター
住所 茨城県筑西市上星谷94-2
お問い合わせ TEL:0296-21-8055
WEBサイトURL http://www.ja-kitatsukuba.or.jp/
その他の情報 ※この情報は、平成30年7月時点のものです。

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