PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

妥協のないメロン作り 長洲 道豊(鉾田市)

妥協のないメロン作り 長洲 道豊

妥協のないメロン作り

メロン作りの達人

 茨城県は、メロンの栽培面積・生産量ともに日本一を誇ります。メロン栽培に適した風土に恵まれ、水はけのよい土壌と温暖な気候により、いばらきのメロンはおいしく育ちます。鉾田市は、そんな茨城県のなかで最も生産量が多いメロンの大産地です。  鉾田市のJA茨城旭村に、「メロン作りの達人」と称される人物がいます。それがJA茨城旭村メロン部で部会長を務める長洲道豊さんです。    長洲さんが父に付いてメロン作りを始めたのは、18歳のとき。就農して間もなく、旧旭村には大きな『メロン選果場』が建ちました。『メロン選果場』が完成した頃、鉾田市一帯のメロン農家のやる気が高まっていったそうです。  「本当に気合を入れて美味いメロンを作ろうと思い始めたのは、結婚して子供が出来てから。当時、メロンは売れに売れていたので、尚更気合が入った。」という長洲さん。ビニールハウスも、それまではどの農家も3メートルほどだったものから、5メートルを超える大型のものに変わっていきました。  メロンは定植(12月中旬)してから収穫まで目が離せません。ビニールハウス内の温度を調節する為、数時間おきのハウスの開け閉め、毎年のビニール張替え、それこそ自分の子供のように大切に育てます。

長洲さんのこだわり

 メロンは実を売る商売。良い実を育てるには、何より、“良い葉”を作ることが大事なのだそうです。  「葉と実の良さはだいたい比例してきますから。丈夫な樹が大根のようにしっかりとした根を張らせ、サトイモのように立派で大きな葉を付けることができれば、十中八九良いメロンになります。」その、“大きな葉”を作るには、たい肥と有機質肥料の分解速度を考え、与える時期とタイミングが大切なのだそうです。  また、もうひとつの長洲さんのこだわりが、収穫時期。  「葉の先がカリカリになってくると、メロンが熟し始めた証。それから4~5日収穫を我慢すると、今度は葉がチリチリになってきます。そこでメロンのお尻を見ます。おしりが少しヒビ割れて、実がパンパンになったところでやっと収穫します。メロンは収穫後、置けば果肉が追熟し柔らかくなります。しかし糖度は収穫してしまったらそれ以上は上がらない。柔らかくなると人間の舌の感覚で甘くなったように感じるのですが、実際糖度は収穫した時に止まってしまうんです。やっぱり甘いメロンを食べて欲しいですからね。限界まで糖度を上げることにこだわっています。」

ごまかしが利かない。光センサー選果場

 JA茨城旭村では、平成15年に、光センサーによる選果を行う『光センサー選果場』を導入しました。光センサーにより瞬時に“糖度”と“水浸度(実の中に含まれる水分量)”を測ることができるため、JA茨城旭村のメロンは全体の味の統一が図れるようになり、「まちがいないメロン」を消費者に届けられるようになりました。しかし、光センサー選果は農家泣かせの一面もあるそうです。  「ごまかしが利かないんですよ(笑)。光センサーはかなり厳しい目を持っているので、基準に満たないとすぐに除かれてしまいます。」と長洲さん。しかし、生産者のメロン作りへの追求心は以前より上がったことも事実なのだそうです。

販売時期
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夢~さらなる挑戦~

 農業従事者の全国的な高齢化は、農業王国茨城にとっても大変大きな問題です。長洲さんには後継者がいますが、茨城のメロン農家もやはり減ってきているのが現状です。  「メロン農家が増えることが今後の夢です。6月中旬頃までメロンの価格が安定すれば、メロン農家はもっと増えると思います。メロン農家から離れて野菜作りに移行していった農家を何人も知っていますが、そんな人達がメロン作りに戻ってくるくらいメロンがもっと高値で売れたら…と思います。野菜農家でも、小さい面積でいいからメロンを作ってみてほしい。メロンはやりがいのある農産物ですので、まずは少しでも作るという一歩を踏み出してほしいですね。」そう言って長洲さんは、8月から出荷が始まるアールス(マスク)メロンのハウスへと向かって行きました。

買えるお店
JA茨城旭村特産直売所 サングリーン旭
住所: 茨城県鉾田市樅山602-1
TEL: 0291-37-4147
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