PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

茨城の梅は観るだけじゃない、これからは食べられる! 大山 壮郎(大洗町)

茨城の梅は観るだけじゃない、これからは食べられる! 大山 壮郎

茨城初の梅ブランドを立ち上げ!

茨城を元気にしたい!

 大洗町で天保元年(1830年)から続く老舗の「吉田屋」。梅干を主軸とした漬物商品の開発・製造・販売を行っています。大山壮郎さんは、現社長の父・岳夫さんのもと、吉田屋八代目として会社を切り盛りしています。  大山さんは、「日本三名園のひとつ,偕楽園には約100種類・3000本の梅の木が植えられているにも関わらず、茨城県ブランドの梅の実がないことを、なんとかしたい」とかねてから考えていたそうです。  「茨城ってやっぱり偕楽園の梅のイメージは強いですよね。当然、梅の産地だと思っている方も多い。実際梅の生産も県内各地で行われていますが、茨城県のイメージのある梅は無いなと思ったんです。」そんな思いを長年抱えていた大山さんが奮い立ったのは、茨城県も多大な被害を受けた、東日本大震災がきっかけだったそうです。  「震災の痛手を早く回復させて、茨城を元気にしたい。地元皆で協力し合い、茨城初の梅のブランドを作って、日本全国に茨城の魅力をアピールしたい。そう思いました。」  ここから大山さんの、『茨城県の梅ブランド』開発への挑戦が始まりました。

農商工等連携事業計画

 『茨城県の梅ブランド』を作り、梅干しやシロップ等の商品に加工するには、高品質で安定した出荷量を約束してくれる梅の生産者の協力が不可欠です。しかし当時大山さんの知る県内の梅生産者は、直接業者に収めている人がほとんどで、梅の出荷量も十分に把握できない状態だったといいます。  開始早々大きな壁にぶつかった大山さんでしたが、農林漁業者と商工業社が協力して新しい商品を生み出していく『農商工等連携事業計画』というものがあることを知ります。「この事業に取り組めば、僕が探し求めている生産者に出会えるかもしれない。」と思った大山さんは、即座に行動に出ました。  「この事業に取組むことを決め、すぐに行動に出たおかげで、千代田町(現かすみがうら市)で年間8tもの梅が出荷されていることが分かりました。しかも千代田町は梅の生産に非常に適した気候で、そこで生産される梅は紀州などの高級な梅と比べても遜色のない素晴らしいものでした。」

 大山さんはさっそく、かすみがうら市のJA土浦千代田梅部会に梅ブランド開発の話を持ちかけました。  「運がいいことに、千代田梅部会の皆さんはちょうど農研機構果樹研究所が開発した、梅とスモモを交配させた新しい品種『露茜』(つゆあかね)をたくさん育てているのに商品化できなくて困っていました。」  大山さんは、梅加工のプロである吉田屋が『露茜』の加工・販売を請け負うことを約束し、その代わりに茨城の梅ブランド開発への協力をお願いしました。  しかし、梅をブランド化するということは、今まで以上に手間をかけて梅を育ててもらわなければなりません。そこで大山さんは、生産者に意欲的に取り組んでいただく為に、ある提案をしたそうです。  「まず、市場の規格に合わないB級品の梅は吉田屋で買い取ることで、今まで以上の利益を提供することを約束しました。次に、毎年変動する梅の買取金額を一律にして、生産者に安心感を持ってもらいました。」こうして生産者と大山さんは一体となって『茨城県の梅ブランド』にふさわしい梅の育成と、加工技術の研究にも努めました。  そして2013年2月、ついに『常陸乃梅』という茨城県産梅ブランドが誕生しました。また、この事業は、生産は千代田梅部会の皆さんが、商品化と販売は大山さんが行うという形で、農商工等連携事業計画から正式に認定を受けました。

常陸乃梅使用商品「PureSweet」

 『常陸乃梅』完成と共に、大山さんは『常陸の梅プロジェクト』を発足。いよいよ夢だった『常陸乃梅』を使った加工商品の開発に乗り出します。  「今までは観るだけでした。でもこれからは…茨城県産の梅が食べられる!」のコンセプトのもと、第一弾商品として開発された『梅シロップPureSweet』は、緑とピンクの二種類あります。緑の箱は常陸乃梅の青梅を使ったシロップ、ピンクの箱は"露茜"を使ったシロップです。  「梅を漬け込むとき、常陸乃梅の青梅には国産三温糖を使い、"露茜"は砂糖のみで漬け込みを行います。」常陸乃梅のシロップは黄金色に輝き、"露茜"を使ったシロップは美しいピンク色です。エグみが一切なく、梅のおいしいエキスだけがギュっと絞られたようなこのシロップは、甘味料、保存料、香料は一切使用していない無添加のシロップです。

地域に根付く人材を育てる

 幼少の頃からサッカーを始め、現在も現役のサッカープレーヤーであると共に地元大洗のサッカークラブ『FCヴェレン大洗』を立ち上げた大山さん。ご自分でも「私の人生はサッカーなしでは語れない」といいます。そんな大山さん、サッカーを目指す若者を吉田屋でも応援できないかと考えました。  「若い子達がサッカーをしながら働けるという環境を作りたいと思いました。そうすることで、地元大洗に根付く人材も育てられると思ったんです。」この計画もさっそく実現した大山さん。現在、サッカーをしながら吉田屋で働いている若者達が数名います。  大山さんは物ごころついた時から、家族皆が地域や子供達に貢献する活動を精力的に行っている、そんな環境のなか育ったそうで、その為、地域や人の為にできることを常々考えて行動するのはごく自然なことなのだそうです。

販売時期
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夢~さらなる挑戦~

 「『常陸の梅プロジェクト』はまだ始まったばかり。しかし予想していたよりこんなに早く商品化ができてすごく嬉しいです!これからも「常陸乃梅」を使ってどんどん新商品を作っていきます。」  この春、大洗町にある吉田屋の販売店舗横に、梅カフェ『WAON』(わおん)がオープンしました。『常陸の梅プロジェクト』で開発した商品達を実際にいただけるこの『WAON』には、生産者、加工業者、消費者、関わる全ての人の点と点を線で繋ぐという大山さんの熱い想いが込められています。

買えるお店
水戸京成百貨店 地下1階物産コーナー
住所: 茨城県水戸市泉町1丁目6-1
エクセルみなみ 味撰倶楽部
住所: 茨城県水戸市宮町1-7-31 3階
おみやげやプラム水戸
住所: 茨城県水戸市宮町1-7-31 水戸駅2階南口改札前
水戸偕楽園 大和亭
住所: 茨城県水戸市常磐町1-3-2 偕楽園内
オンラインショップ
インフォメーション
名称 吉田屋
住所 東茨城郡大洗町磯浜町546
お問い合わせ TEL: 029-267-2069
FAX:
WEBサイトURL http://www.kk-yoshidaya.co.jp/index.html
その他の情報 ※この情報は2013年度時点のものです。

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