いばらきの食に挑戦する人たち
20年後の子供たちの未来を創り出す 中村 淳(つくば市)
日本の農業を何とかしたい!
日本の耕地面積は、約609万ha(昭和36年)から約454万ha(平成25年)に減少しています。食料自給率は、食料消費パターンの変化も相まって、73%(昭和40年度)から39%(平成24年度)にまで減少しており、これは主要先進国中で最も低い水準となっています。 さらに耕作放棄地もこの20年間増加しています。「子供たちの未来農園」を経営する中村さんは、この現実に危機を感じているそうです。 「東京の小・中学校を卒業し、都立高校に進学しましたが、両親に相談もせず中途退学してしまいました。中途半端な自分が嫌で、長野県にて高原レタス栽培のアルバイトを住み込みで一年間しました。」 本当につらかったそうですが、"途中で逃げたしたら変われない"と思いやり遂げたそうです。 「達成する喜びを知りました。そして、受け入れ先のおじさんとおばさんが『高校に行きなおしなさい』と言ってくれて、もう一度高校に行くことができました。」 卒業後は大学に通い、おもちゃの流通会社に就職。「雇ってくれたおじいちゃん、受け入れ先のおじさん、おばさんには本当に感謝しています。」と中村さん。 就職し働きながらも、いつかは自分を変えてくれた農業をやりたいという気持ちがあったそうです。 そんな中、勤務している会社の販売量が減っていることを受け、"野菜を作り、自社の流通を活用して販売すれば、新しいビジネスが生まれるのでは?"と思い、会社に提案しましたが叶わず。その時に『自分でやるしかない!』と心に決め、単身で茨城県つくば市の農業生産法人で研修をすることに。そして、研修を終え、同じつくば市で新規就農しました。
おいしくて本当に体によいものを作りたい
中村さんの作ったにんじんやキャベツは、甘く、大地の香りがします。にんじんの糖度は最大で10度を超えることもあるそうです。 「全ての作物は露地栽培しています。雨・風・光にあたった野菜はとくにおいしいから。今は、作付けごとに土壌分析を行い、最小限の肥料で極限まで窒素をおさえた栽培をするようにしています。」 「就農一年目は何もかもが手さぐり状態の中で、良い野菜が作れずに何度も失敗しました。また、有機栽培なので 虫が付いてて当たり前という考えのもと出荷をしていたのですが、なかなか販路が広がりませんでした。お客さんの視点で考えると、有機栽培だからといって虫が付いていてはいけないと気付き、翌年からは安心・安全はもちろん、綺麗で虫喰い無しの野菜の生産に挑みました。ただ、どうしても虫喰い等の野菜が出てしまうのですが、その野菜は循環の考えで細かく砕いて土に戻してあげます。」 就農一年目から周りの人に恵まれていたという中村さん。販売先の店舗の方が長い目で見てくれ、時に厳しく指導をしてくれたおかげで今があるといいます。
次の世代の為に
就農して3年目の今年は、販売先も増えて需要はあるけど作業がおいつかない状況になってしまっているとのこと。 次の課題は『人』だそうです。 「今年は収穫祭をやりたかったけど畑の作業がおいつかなくてできませんでした。一緒に畑をやってくれる人を探してます!」と嬉しい悩みをかかえています。 日本の未来を考える中村さんは、志を持った新規就農者のために、1人で農業をするのに必要な面積の倍を耕作しています。 「耕作面積を倍かかえている理由は志しのある新規就農者が一年目から良い野菜を作れる環境を与え、農業経営を軌道にのせてほしいという思いがあります。一緒に日本農業を変えたいと思ってくれる人を探しています。」 「就農当初から東京を含む県外もターゲットに考えていました。独立後は、年間50品目前後を栽培し、東京の直売所やレストラン、こだわりスーパーなどをメインに販売しています。生産リスクはありますが、BtoCではなく、しっかりと売上が見込めて経営の計画が立てやすいBtoB(企業間取引)をメインに行っています。」
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常に日本の未来を考え"どうしたら農業は、良い形で次の世代にバトンタッチできるのか?"に対する答えを探しています。 単身で就農した時と,経営がある程度軌道にのって家族が越してきてからでは、安心感やモチベーションが変わりました。自分の作った野菜を子供が「美味しい」と言って食べてくれる毎日が幸せです。自分が志すことは、最期の時に「パパのおかげで日本が豊かになったよ。ありがとう」と子供に言われて目を閉じること。自分の子供が将来 苦しむ姿だけは絶対に見たくないです。次の世代のために戦う姿をしっかりと子供に見せ、子供も”次の世代のために生きる(戦う)”、 その思いを伝えてくれればと思います。
インフォメーション | |
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名称 | 子供たちの未来農園 |
住所 | 茨城県つくば市森の里63-2 |
WEBサイトURL | http://www.miraifarm.com/index.html |
その他の情報 | ※この情報は2013年度時点のものです。 |
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