いばらきの食に挑戦する人たち
原木しいたけ生産者 高橋恭嗣さん(古河市)
高橋農園
原木しいたけ
原木
茨城県の最西部に位置する古河市で、原木しいたけの生産を行う高橋恭嗣さん。祖父の代から数えて80年という歴史を持つ高橋農園の3代目で、『農事組合法人森のめぐみ』の代表であり、『里山再生と食の安全を考える会』の副理事長も務めています。 原木しいたけの生産は、ほだ木と呼ばれる原木に菌を植え付け、出てきたしいたけを収穫するもの。近年は、人工の培地でキノコを栽培する菌床栽培を行う生産者が増加するなか、高橋さんはあえて原木栽培を行っています。 高橋さん「何がこだわりかと言われれば、“原木栽培”をやっているということ自体がこだわりです。理由は単純に“おいしい”から。キノコは“菌”そのものが雲のような形に密集していますが、原木栽培キノコは、その雲の密度が高く、食べた時に歯ごたえがあり、食感がプリッとしています。」 菌床栽培の方が生産効率は良いが、手間をかけても“おいしさ”にこだわり続けたい、と高橋さんは言います。
原木栽培へのこだわり
ほだ木
高橋農園 高橋恭嗣さん
原木しいたけの栽培はまず、大分県や長野県から仕入れたほだ木(原木)にドリルで穴をあけ、菌を植え付けていきます(植菌)。 「原木は、農作物でいう畑です。木は生きたまま仕入れますが、生きた木は菌を寄せ付けないので、一旦、枯らしていきます。最初から枯れた木を仕入れれば簡単なように思われますが、枯れた木には様々な雑菌が入ってしまうので、仕入れてから上手に枯らすことが大事になります。木は枯らす、でもしいたけ菌は生かす、という矛盾の中で生産を行います。」 ほだ木を枯らす工程は特に気を使うという高橋さん。ハウスの中で、時には水をやりながら3~4カ月間かけてゆっくりと枯らし、しいたけ菌を育成していくそうです。
高橋農園 ほだ木の保管
高橋農園 しいたけ発生
高橋農園ハウス
ほだ木の準備が整ったら、ドリルで穴を開けてしいたけ菌を植菌します。毎年1月頃から一斉に行われる植菌作業はひとつひとつ手作業で、150万個ほどの穴を開け、大変な作業になります。植菌が終了した原木は、菌糸が原木に移り伸長し始めるまで半年~一年ほど、ハウスの中で棒積みにして管理します。 高橋さん「ハウス内が10度以上で発生する品種もあれば、6度以下でないと発生しない品種もあります。ハウス内は季節によって暖房や冷房を使って温度管理を行います。暖房は栽培が終わった枯れた原木を燃やしているので、燃料代もかかりませんし、環境に優しいんです。また、原木は雑菌が繁殖しないように、一方で、しいたけが元気に育つように、木の状態を見ながら水をかけて管理します。」 木の内部の生育状況は目で見て確認することができない為、木の状態をよく見て微妙なサインを読み取りながら水かけを行うそうです。また、安全性を考慮して、化学肥料・農薬も極力使用を控えています。 高橋さん「それぞれの品種の特性を把握し、逆算して植菌の時期を複雑に組み合わせることで、この品目だけで“産地リレー”ができるのも原木栽培の魅力ですね。天候に左右されずお客様の注文に対して欠品しないよう努力しています。」
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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高橋さん「国産原木しいたけを海外に進出させたいです。農薬や化学肥料を栽培期間中は使用せず、肉厚でプリップリのしいたけは、海外でも需要はあると思っています。世界に向けて輸出していきたいです。」
インフォメーション | |
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名称 | 高橋農園 |
住所 | 茨城県古河市上大野513-1 |
お問い合わせ |
TEL: 0280-97-1070
FAX: |
その他の情報 | ※この情報は、2017年1月時点のものです。 |
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