いばらきの食に挑戦する人たち
樹の健康を第一に考えた梨作り 皆藤 純一(小美玉市)
サラリーマンから梨作りへ
皆藤梨園
皆藤梨園
茨城県は、千葉県に次いで全国第2位の梨生産地。筑西市や下妻市などの県西地域のほか、県南地域や、水戸市・小美玉市などの県央地域でも広く栽培されています。 小美玉市で『皆藤梨園』を営む皆藤純一さんは、父の代から始まった梨作りを継承した『皆藤梨園』の2代目です。代々農業一家である皆藤家。元はサービス業でサラリーマンをしていた純一さんでしたが、30歳を前に就農を決意したそうです。 「いずれは自分も農業をするんだと漠然とは思っていました。年を重ねるにつれ、父が主に行っていた梨作りにも興味が出てきました。自分が30歳を目前にしたとき、父母が元気なうちに仕事を覚えたいと強く思い、それまでしていた仕事を退職しました。果物は年に一回しか収穫できないので、一年に一回しか勉強の成果が出ません。教わるなら早い方がいいなと。」30歳を前に、純一さんは梨作りの道に足を踏み入れました。
樹の健康に気遣う
皆藤純一さん
皆藤さん
皆藤梨園の梨園の広さははおよそ150a。全て露地栽培です。 皆藤さんの梨作りへのこだわりは、樹一本一本の健康に気を遣うこと。樹の状態に合わせて肥料をやったり剪定を行うことだそうです。 「人や動物と一緒で、全て同じ樹は無いんです。うちでは、自家製の堆肥を作ったり、有機質肥料を使いますが、機械での肥料撒きは行いません。それぞれ樹は状態が違いますから、肥料を背中にしょって樹の状態を見ながら手で撒いています。梨の樹は頑張りやさんで、樹が弱ってきても実を付けるんです。樹の状態に早く気付いてやらないと、弱った症状が現れた時にはもう遅い。ですから、樹の状態のチェックは欠かせません。」 皆藤さんも、お父様も、梨の樹を見廻る目はとても厳しいものがあります。
実よりも葉に光を!
皆藤梨園
皆藤梨園の梨
皆藤梨園の園内は、通常の梨園と比べると太陽の光が入っていません。むしろ葉が多く、光を遮っているようにも感じます。 「これは私たちが、ある先生と出会い、教わった方法です。梨の糖度のもとは実ではなく葉が作るんです。身にいくら光を当てても、糖度は上がらない。ですから、葉をどんどん生やして、葉にたくさん光を当てるようにしているんです。また、"梨の樹が枝を出したいから出すんだ。樹が必要だと思ってやっていることを、無理に切ってしまうことはない"とも教わり、樹にストレスがかからないよう、必要最低限、樹の状態に合わせた剪定をしています。始めは父も私も半信半疑で実行したのですが、この方法だと収穫時期は少し遅くなるのですが、収量も上がり、甘さ、歯ざわり抜群のおいしい梨が生るようになりました。」
先手を打つ
皆藤純一さん
梨 捻枝
梨の生産に休みはありません。収穫、出荷時期を過ぎた11月下旬から4月下旬まで梨の樹の管理を、4月下旬から6月までは受粉や摘果等の作業を行うそうです。 「今年の梨の味、収量、玉の大きさというのは、実はもう3年前からだいたい分かっているんです。そう仕掛けているから…と言いますか。梨屋の一番大事な仕事は、真冬に行う剪定と捻枝(ねんし)だと思っています。捻枝は、枝に切れ目を入れて、ねじって倒して、次の実のなる枝を作る作業のことで、捻枝を上手にしてやれると、葉が作り出した栄養を逃がさず果実に蓄積させることができて、梨が甘くなります。剪定、捻枝の作業は樹や枝を見る目、相当な経験と技術が必要ですが、この作業が来年、再来年の梨を決めるので、一番真剣に集中してやる作業ですね。」捻枝が3、4年後の梨の品質を決める。梨の樹を見る皆藤さんの目は、遥か3年後を見つめていました。
『みのりの工房』
皆藤みのりの工房
皆藤梨園には、『みのりの工房』という加工所があります。皆藤さんのお母様が作っていた黒大豆から味噌を作ったことがきっかけで、今では梨やブルーベリーのジャムも作り、販売しています。「黒豆味噌」は、県の農産加工コンクールで県知事賞を受賞した逸品! パッケージは、会社で広告の作成などもしていた純一さんが制作しているそうです。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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「県内の梨の作り手は今、高齢化が深刻な問題となっています。県央、県北、鹿行合わせても30代の担い手は2、3人というのが現状です。梨作りは、季節感があるし、思い通りにはならないことも多いけれど、そこがまた面白さでもあります。若い人から見ても魅力ある梨作りをして、若い力を合わせて新しい動きをして行きたいです。そして、これは常々思っていますが、消費者の皆様に生産者の顔が見える梨作りをしていきたいです。」
インフォメーション | |
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名称 | 皆藤梨園 |
住所 | 茨城県小美玉市西郷地1542 |
お問い合わせ |
TEL: 0299-48-3589
FAX: 0299-48-1208 |
その他の情報 | ※この情報は、平成25年時点のものです |
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