いばらきの食に挑戦する人たち
おいしくて安全な米で加工品を作る! 高安江津子さん(茨城町)
EM菌を使った米作り
茨城町で米の生産をおこなっている高安江津子さんは、代々続く米農家に生まれました。15年ほど前、高安さんは農業に携わる友人に“EM菌”を使って無農薬で農産物を作ろうと誘われました。はじめは半信半疑でしたが、薦めてくれた友人の作った野菜を食べて、気持ちが一変したそうです。 「その野菜が本当においしかったんです。野菜の味が濃くて、今までに食べたことのないおいしさでした。正直はじめは"EM菌"がそんなに効果があるとは信じられなかったんですが、食べて実感しました。」 その時から、“EM菌”を使い、除草剤を使わない高安さんの米作りへの挑戦が始まりました。 EM菌・・・琉球大学農学部教授の比嘉照夫氏が命名。実際にはEM菌という菌はおらず、自然界に生息する有用微生物を集めてその効果が現れるように組み合わせ、培養したもの。
EM菌と上手に付き合う
高安さんは、自宅で油かす、魚粉、米ぬか、焼いたもみ殻などを使って"EMボカシ肥料"を作り、EM菌を使用した米作り使用を開始しました。しかし、それまで使用したことのなかった“EM菌”。はじめから上手くはいかなかったと言います。 「はじめの年は、収穫が前年の約半分しか収穫できませんでした。EM菌を使うと、稲と同時に雑草も勢いよく生えるんです。結果、雑草に稲が負けてしまって、収穫量が落ちてしまいました。改善策は、田植えの時点で、水面から稲の先っぽが1~2cm頭を出しているという程度まで水の量を増やして、雑草を抑えるということと、とにかくこまめに雑草を抜くことでした。」 スタートから3年後、EM菌を使用した米作りがようやく成功しました。 EM菌を使ってできた米は、予想以上のおいしい米になったそうです。 「玄米だけ食べても、甘みがあってとてもおいしい。これは自信を持って人に勧められると思いました。」少量ではありましたがさっそく販売を開始。開始するとほどなく口コミで評判を呼び、固定客が年々増加していきました。栽培開始当初は、4ヘクタールある高安さんの稲田のうち、EM菌で作った稲田はごくわずかでしたが、今では全体の20%を占めるほどになりました。
「お米の気持ち考えてます」米蔵たかやすの誕生
EM菌を使った米作り・販売が軌道に乗り始めた頃、高安さんは仲の良い友人達と、自分で作った米を使って味噌作りを始めました。EM菌を使用して、大豆、青大豆も作り、自慢の米からは麹(こうじ)を作り、それらを原材料に作る無添加味噌。味噌もたちまち評判を呼び、高安さんは仲間達2人と共に、加工グループ"米蔵たかやす"を立ち上げます。 「一から全て自分で作ったものって、何より安心して食べられますよね。私は、自分の口も人の口も同じだと思っているんです。だから、米や大豆の栽培方法も加工作業も、自分たちが納得しなければ売ることはできません。米も味噌も揚げ餅も、まずおいしく安心して食べてもらえることを前提に商品を作っています。」 “米蔵たかやす”のメンバーは、米や大豆の生産をする高安さん、商品開発をする打越文子さん、営業担当の東ヶ崎雅美さんの3名。味噌の他に、あげ餅、すあま、たがね餅など、米や大豆を使った様々な商品を開発、販売しています。なかでも大人気のあげ餅「彩り揚げ餅」は、揚げ油にオリーブオイルを100%使用したうえ、カレー、ゆず、海苔味など、1袋で何種類もの揚げ餅が楽しめる逸品となっています。
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"米蔵たかやす"の商品パッケージデザインは、高安さんの古くからのご友人でアーティスト兼アートディレクターの本城竜氏の手によるもの。「きちんとデザインしてもらうと全然違いますよね。お陰様で、どこに出しても恥ずかしくないパッケージになりました。商品には自信を持っているので、これで今後は県南エリアにも販路を拡大していきたい。そしていずれは東京にある茨城のアンテナショップの店内に商品を並べたい。それが今の目標です。」と力強く語ってくれた高安さん。県南、ひいては東京で"米蔵たかやす"の商品を手に取れる日も、そう遠くはないかもしれません。
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