いばらきの食に挑戦する人たち
オンリーワンのぶどうを目指す! 武藤 聡さん(常陸太田市)
農業への道
武藤さんは、常陸太田市春友町にある春友ぶどう園の二代目。武藤さんの家は代々続く農家で、露地野菜を栽培していた父の一夫さんがぶどう栽培を始めたのは35年も前のこと。一夫さんは当時国内ではほとんど栽培されていなかった欧州系のぶどう作りを行っていたそうです。 武藤さんははじめから農業を志していたわけではなく、高校生の時に馬術でインターハイ優勝を目指すも3位という結果になり、そこから「農業で日本一を目指そう。」と決めた事がきっかけだそうです。 そして、千葉大学園芸学部に進学、果樹研究室に所属して海外の農園を視察したりしました。「海外は進んでいて、戦うには”オンリーワン”が必要だと感じました。」と武藤さん。卒業後は、明治時代からぶどう栽培の歴史がある岡山県で、マスカット・オブ・アレキサンドリアの生産組合長の元、ぶどう栽培を学び、2000年に春友ぶどう園に就農。就農してからは、オリジナル品種作りや台木の品種作りなどの研究をしながら、"オンリーワン"のぶどう作りに励んでいます。
100%植物性のたい肥で土を作る
春友ぶどう園の一番のこだわりは、自家製の100%植物性のたい肥を使った土作りです。 「本来たい肥は、植物を腐敗させて作ったものをいいます。動物の糞を混ぜた厩肥(きゅうひ)は窒素分が多くなり、肥料としての役割が多くなるので、うちでは土作りにはたい肥を使います。たい肥は、もみ殻などを材料に手作りしています。30回程返す作業を行い、2年間熟成させたものを、それぞれの木の状態に合わせて使います。」 また、土作りのほかにも肥料や水分の調整、枝の管理など様々な工夫をされています。ぶどうの苗木は台木(土に植えられる部分)と穂木(生育して実をつける部分)から作られますが、この台木の開発も行っているそうです。武藤さんのぶどう園に合う台木を作ることで、より良いぶどうを作ることができるからです。 その他にも、根の成長と土壌温度の関係を考えて、春先の根が伸びる時期には、ぶどうに与える水を太陽熱で温めたり、気温の低い時期には温かい土壌の熱を利用して、園内の温度を上げるなど、無駄なエネルギーを使わない環境に配慮した栽培を心掛けているそうです。 これらの努力が実り、春友ぶどう園は二度の農林大臣賞を受賞しました。
オリジナル品種
春友ぶどう園では、約30~40種類のぶどうを販売していますが、台木用も含めると、全部で100を超える品種を栽培しているそうです。大きい房は一房で2kgを超えるものもあり、粒の大きさは"500円硬貨何枚分になるだろう?!"と考えてしまうほど大きな粒もありました。 一般的な品種だけでなく、武藤さんが品種改良をおこなった品種もあります。 長年の調査・研究を経て常陸青龍を親にしてできた赤の常陸青龍”スカーレット・ドラゴン”や、はちみつのような甘い香りが特徴の”フレーバー・ルージュ”、果実がハートに見える"エンジェルハート"など、たくさんのオリジナル品種が生まれているそうです。 「いつ来店されてもお客さんが喜んでくれるように、コンセプトを決めて品種改良に取り組んでいます。オリジナル品種には栽培マニュアルがないため、味や粒のサイズを最適な状態にするまで時間がかかります。オリジナル品種の難しいところですね。」と、"オンリーワン"を作りだす武藤さんならではの話をしてくれました。
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農業を志した時に考えた「農業で日本一を目指そう。」というところから、今は世界を視野に入れています。オンリーワンの技術で、誰も作れないものを作りたいです。
インフォメーション | |
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名称 | 春友ぶどう園 |
住所 | 茨城県常陸太田市春友町608-2 |
お問い合わせ |
TEL: 0294-78-0809
FAX: |
WEBサイトURL | http://harutomobudo.com/ |
その他の情報 | ※この情報は2013年度時点のものです。 |
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