いばらきの食に挑戦する人たち
アスパラガス生産 疋田正雄(常陸大宮市)
記帳、記録を怠らない
疋田(ひきた)正雄さんは、常陸大宮市でアスパラガスを専門に生産しています。疋田さんの作るアスパラガスは、太く、甘く、市場でも高い評価を得ています。 疋田さんがアスパラガスを作りはじめたのは、55歳の春のこと。遅まきながら待望の農業デビューだったそうです。 「もともとうちは農家で、農地はありましたがそこはずっとお借ししていました。しかし、私が定年退職を決めたと同時期に、農家さんが農地を返してくれたんです。そんな偶然が重なって、いずれはやりたいと思っていた農業の世界に足を踏み入れ、当時、農協で力を入れ始めていたアスパラガスを作ることにしました。現在就農9年目です。」 疋田さんはとても几帳面な性格で、アスパラガスの生育状態、肥料の量などを写真付きで細かく記帳しています。パソコンに入力するではなく、いつでも電源なしで手早く取り出せる手帳に記帳することがこだわりなのだそうです。
土が命
アスパラガスは、球根のような株から生えた芽の部分が食用部分になります。上手に育てれば同じ株で10年以上も収穫できるそうですが、10年以上営利栽培を継続するためには、株を定植させるための土づくりを念入りに行わなくてはならないと疋田さんは言います。 「アスパラガスは、"畑の豚"と呼ばれるほど、肥料をたくさん必要とする野菜です。しかし、ただ肥料を多く与えるだけでは経費がかかるだけでなく、生育や収量にも悪い影響が出ます。ですから、土をしっかりと作り、過剰に肥料を与えなくてもいい環境を作ってあげるのです。私は土づくりのベースには牛糞堆肥を入れています。牛糞は窒素がとても少ないので、アスパラガス栽培の土にとても向いているんです。」 疋田さんのアスパラガスの畑は、固すぎず、柔らかすぎず、よく肥えています。この土があるからこそ、元気でおいしいアスパラガスができるのです。
親株をいかに育てるか
株から生えた芽が地上に顔を出し、20~30㎝になったら収穫します。1つの株から芽は30~50本出るので、シーズンにはどんどん収穫します。そして、収穫シーズンの後半には、元気なアスパラガスを5本ほど選び、翌年の親株にするために伸ばしていくそうです。 「5本残した来年の親株達を、いかに育てるかが鍵なんです。親株は、だいたい1m80㎝くらいまで伸ばします。なるべく高く伸ばしてやると、その分根もよく伸びて、養分を吸ってくれるんです。」 その後、秋になると伸びた親株は伐採され、残った株と根を翌年のアスパラガスの苗にするそうです。
雨水を活かす
疋田さんは、時間さえあれば常に土を手に取り、水分状態をチェックしています。アスパラガスは、芽に雨がかかったり水が跳ねたりすると病気になってしまうデリケートな野菜です。そのうえ、根が乾燥してしまうと枯れてしまうので、常に土に絶妙な水分量を保持していなければならないそうです。 「大雨の日にはいくらハウスでも、室内に雨水が入ってしまいます。私はアスパラをハウスの両脇に一段高く植え、人が歩く部分(真ん中)が一段低いUの字のような形にしています。そうすることで、浸入してきた雨水を竹筒とペットボトルを使って中心に流し、アスパラに水はかからず、根にだけ水がいくようにしているんです。」 ハウス内の人が歩くスぺースの足元をよく見ると、竹が等間隔に埋まっています。これも雨水が一気に流れていかないようにする為の細工だそうで、こうした疋田さんのアイディア溢れる工夫は、畑の各所に施されています。
アスパラレシピ
疋田さんに、おすすめのアスパラレシピを教えていただきました。 【アスパラの天ぷら】 ①アスパラを食べやすい大きさにわけて洗っておく。 ②天ぷら衣を作る。 ③よく水を切ったアスパラに薄く衣を付ける。 ④適温の油でさっと揚げ、塩、天つゆで頂く。
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「アスパラガスは、上手に育てれば同じ株で10年以上収穫し続けることができる野菜ですが、10年と言わず20年収穫することを目標にしています!また、私のアスパラガス作りを見て"アスパラガス作りは面白そうだな"と、生産に興味を持ってくれる人が増えたらいいですね。」
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