いばらきの食に挑戦する人たち
日本唯一のブルーベリーマイスター 鈴木太美雄(つくば市)
ブルーベリーと共に40年
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ブルーベリーと共に40年3
ゆうファームのブルーベリーの木は、樹齢が30年になるもの多くあります。鈴木さんがブルーベリーを育て始めたのは昭和55年頃。世間が ブルーベリーの成分アントシアニンが"目の疲れと衰えに効果あり"と着目し始める20年以上も前のことです。 「幼少期に、東京の浅草から母方の実家で疎開先の群馬県榛名町(現高崎市)に移り住み、そこで農業を覚えました。梨・栗・柿・桃などを作っていたので、果樹が好きになったんでしょう。当時は、農薬や肥料なんてなかったから、農薬を使用せず有機質肥料での農業が当たり前に身に付きました。」と、昔を振り返る鈴木さん。 ブルーベリーに最初に出会ったのは、昭和51年筑波大学の公開講座に参加したときのこと。とても上品な味で時代にマッチした素晴らしい果物と感じだそうです。つくば市に移り住み、勤めながら果樹コースを4年間受講され、その卒業記念に2本のブルーベリーの苗をもらったことをきっかけに、ブルーベリーと共に歩む生活が始まったそうです。 最初は、ブルーベリーからワインができると聞いて、『ワインなら日持ちもするし、勤めながらでも楽しめるな』くらいの動機で指導者もいない中、栽培を始めたとのこと。「普通の土に、ただ植えただけではだめなこともわからなかったんだよ」と草分け的存在の鈴木さんならではの苦労話も聞かせてくれました。
日本でただ一人のブルーベリーマイスター
ブルーベリーマイスター1
ブルーベリーマイスター2
鈴木さんは長年のブルーベリーへの取り組みが認められ、財団法人日本特産農産物協会によって、日本でただ一人ブルーベリー生産者として、地域特産物マイスターに認証されています。認証されるには、"地域特産物の栽培、加工等の分野で多年の経験と卓越した技術能力を有し、産地育成の指導者や地産地消活動のリーダーともなる人材"であることが条件です。 現在は、日本中だけでなく、中国などの海外でも技術を指導したり、各地で講演をする日々が続いています。たまにある休日も、講演の資料作成などをしていらっしゃるとか。多忙な日々を送っています。 25年ほど前までは見向きもされなかったブルーベリーが、今日ここまで認知されるようになったのには、その魅力が大きいと同時に、産地発展のために懸命に栽培に取り組み、指導し続けてきた鈴木さんの功績があってこそではないでしょうか。 今後も、食べる人にも環境にも配慮して、農薬や化学肥料を使わない安全・安心なブルーベリー作りを続けていくそうです。
50種類以上を栽培
50種類以上を栽培1
50種類以上を栽培2
ブルーベリーは、大きくわけてハイブッシュ系とラビットアイ系にわかれており、品種数は80種類以上あるといわれています。ゆうファームでは、その中でも食味のよいもの、粒のサイズが大きい物を中心に50種類、1,800本以上を栽培しています。 農園内には、右の写真のような、アメリカに自生しているブルーベリーの原種や、鈴木さんが作っているオリジナル品種が植えられていたりして、まるでブルーベリーの博物館のようになっています。 農園を見ていると、中には500円硬貨よりも大きな粒がありました。「きちんと剪定をしているから大きな粒が育つんですよ」と鈴木さん。話しながら、長年の試行錯誤でたどり着いた、青い宝石のような果実を眺めていらっしゃる姿は娘を愛おしむ父親のようでした。
登山とマラソンで体を鍛える
登山とマラソンで体を鍛える
20代のころから登山を始め、日本の山はほとんど登ったという鈴木さん。多忙の今でも年に1回は山に登っているそうです。「登山は、体を鍛えると同時に平地とは違う景色に出会えるのが魅力です。天空にいると、下界にはない高山植物がいっぱいあって、それはとてもいい景色なんですよ」と嬉しそうに笑顔を見せてくれました。 また、マラソンも好きだそうで、時間を見つけては走っているそうです。このような趣味で鍛えた元気な体があるからこそ、ブルーベリーの栽培ができるのでしょう。
ブルーベリー摘み取りのポイント
ブルーベリー摘み取りのポイント
完熟したブルーベリーは甘くてさっぱりしたおいしい果物です。ブルーベリーの摘み取りをされるときは、全体が均等に色づいている実を選んで食べてみてください。少し色づいていない部分がある実は、酸味が強く、その品種本来の味が味わえなくなってしまいます。 人の目線よりも離れている場所に、完熟の実が隠れていることが多いので、探してみてくださいね。
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ブルーベリーのことを熟知している鈴木さんの夢は、原産国アメリカに負けない品種を生み出すことだそうです。毎年、新しい種を植えてオリジナルの品種を作ってはいるものの、なかなか思い通りの味・サイズは出せないそうで、「いつかは…」と今後に対する想いを語ってくださいました。 ゆうファームにある「エリザベス」という品種は、アメリカ・ニュージャージー州のブルーベリー栽培者エリザベスさんが生涯をかけて作りだしたもので、糖度が15度にもなります。鈴木さんも遠くない未来に、「エリザベス」のようにアッと驚く品種を作り出してくれるでしょう。
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