いばらきの食に挑戦する人たち
県内で初めてりんごの木を植えた 黒田恭正さん(大子町)
馬とりんごの木
県北西部に位置する大子町には、山々のなだらかな傾斜を利用したりんご畑がたくさんあります。寒暖差のある気候の為、おいしく育つ大子のりんごは、「奥久慈りんご」と呼ばれ、県内外からたくさんの人がりんご狩りや購入に訪れます。そんな大子町にある黒田りんご園は、茨城県内で初めてりんごの木を植えた農園です。 戦時中、農家であった黒田さんの父(一さん)が、農業には欠かせなかった大切な馬を軍馬として戦地にさしだして得たお金で、「馬を忘れないように、記念になるようなものを買おう…」と、以前から夢であったりんごの苗木を買い、自宅の山に植えたのが始まりだそうです。 現在黒田りんご園は、父一さんから、息子恭正さんへと引き継がれました。恭正さんは、父の思いをしっかりと受け継ぎながら、奥久慈りんごの生みの親としての誇りと面目にかけて、どこよりもおいしいりんご作りに情熱を燃やしています。 「黒田さんの作るりんごは、おいしい」という噂は、お隣の国韓国にまで届き、10年ほど前から韓国へりんごの栽培指導に出向いているそうです。
日本一長寿の陸奥の樹
黒田りんご園には日本一長寿の「陸奥(むつ)」の樹があります。陸奥を育種した青森県の試験場の原木が枯れてしまったため、青森県内には黒田りんご園よりも古い樹齢の樹は現存していないとのこと。つまりはこの樹が日本で一番古い「陸奥」ということです。 黒田さん「お店で売っている陸奥りんごは、ふつうピンク色をしています。ピンク色をしている「陸奥」は、見た目を良くするため袋を掛けて育てたりんごです。うちで作る「陸奥」は、日本一長寿の樹を含め、すべて「サン陸奥」と名付け、袋を掛けないで自然の状態で栽培しています。袋掛けをしないで育てたりんごは、太陽の光をたっぷりと浴びて、養分をつくる葉の働きを妨げないからとても甘くなります。糖度を計ると16~18度くらいですね。」 日本一長寿のりんご「陸奥」は、御歳64歳(平成24年時点)。これからも太陽の光を沢山浴びて、黒田さん大切に大切育てられていくことでしょう。
りんごをとことん研究
黒田りんご園にあるりんごは、およそ60種類。10月の園内には、たくさんのりんごがそれぞれの色、形をして鈴なりです。それぞれに個性があり、味が違うりんご。黒田さんは、青森の農学博士や、りんご研究をしている教授に力を貸してもらいながら、日夜りんごの研究をしているそうです。 黒田さん「りんごの植物生理をよく理解しないと、おいしいりんごはできません。りんごの木をホルモンレベルで分析し、調整してやること。果実は過度に肥大させず、品種固有の大きさで育てる、これが一番おいしいんです。また、化学肥料は一切使わず、自家製の堆肥や木炭などの有機質肥料で育てています。」黒田さんの作るりんごは、とても甘く、コクがあるそうです。
おいしいりんごの秘密
りんご作りは、「何よりも、おいしい!が第一」と語る黒田さん。おいしいりんごを作るには、まずりんごの木の植物生理を理解して、基本に忠実に育てることが大切なのだそうです。 黒田さん「りんごは、冬の剪定(せんてい)作業が味を80%決める、なんて言うのですが、来年良いりんごがなるかどうかは剪定前にわかるんですよ。芽の質、芽の周りの枝の太さ、葉の形などをまず見極め、剪定していくのですが、それは目先の欲との戦いなんです。良い実も、ならせ過ぎてはいけない。どんなに良い芽でも切らなきゃいけない時があるんです。これは、農業全般に言えることだと思いますが、技術ばかり手に入れても良いものはできません。おいしくなるもならないも、その人がどう育てるかだと思うのです。計画性を持って、失敗したら反省し、そして工夫をしていける"人"を作る。これがおいしいりんごを作る為に一番大切なことだと思います。」
趣味で気分転換
黒田さんは、高校時代に卓球でインターハイに出場を遂げたほどの腕前で、現在でも続けているそうです。日立市の多賀クラブという卓球クラブに所属し、毎週一回、その腕を錬磨しているそうです。 「トーナメント方式で試合もあるんです。その時ばかりはりんごの事は忘れますね。良い気分転換になっています。」
おいしいりんごの選び方
りんごを引っくり返して下の部分を見ると少しへこんでいます。へこんだ部分が、奥の方まで赤くなっているものがよく熟したりんごです。 とても簡単な選び方なので、ぜひやってみてください。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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黒田さんに、今後の夢をお聞きしました。 「りんご作りの道は、本当に奥が深いです。まだまだ私は頂点を極めてはいない。いつか、誰もがおいしいと言ってくれるような究極のりんごを作りたい。また、りんご作りを通して地域に貢献して行きたいです。今は韓国に栽培指導に行っているのですが、りんごを通して韓国の人が日本人に持つイメージを良くしたいですね。そうしていつかは色々な国に行ってみたいです。」 黒田さんは、りんご作りを通して、日本と世界とがより友好的な関係になることを願っています。
インフォメーション | |
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名称 | 黒田りんご園 |
住所 | 茨城県久慈郡大子町小生瀬4445 |
お問い合わせ |
TEL: 0295-76-0327
FAX: 0295-76-0374 |
WEBサイトURL | http://www.kurodaen.sakura.ne.jp/ |
その他の情報 | りんご狩り 期間:9月中旬~12月頭 入園料:大人300円 子供200円(3歳~小学生) 値段:1kg600円(りんご狩り時の値段です。) ※この情報は2012年度時点のものです。 |
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