いばらきの食に挑戦する人たち
高みを目指す、若き経営者 箕輪竜(鉾田市)
研究と技術の融合
鉾田市で、昭和57年頃から長いもの栽培をしている箕輪さん一家の長男竜さんは、東京農業大学在学中に土壌の研究をしていました。実家の農業を継ぐことを決めていた竜さんは、それまで両親が行ってきた、経験とカンで行う農業を理論で分析し、これからは土壌状態から経済面に至るまでを明確にして行こうと意気込みながら、2004年に就農。 しかし、いざ始めてみると、そのほとんどが思い通りには行かなかったといいます。 「実際に現場で作業をしてみると、必ずしも研究通りにはできませんでした。県の農業改良普及センターの方に指導を受けたり、長いもの名産地である青森県に研修に行ったりして、少しづつ前に進んで行きました。」農業は、研究結果だけでなく、現場の技術も伴わなくては上手くいかないものでした。
『箕輪農園』
箕輪さんの農場では、諸外国の青壮年労働者を日本に受入れ、一定期間、日本国内の産業・職業上の技術・技能・知識の修得を支援する、「外国人技能実習制度」で中国人を雇用していました。そんな中国人を見ているなかで、竜さんはあることを思いつきました。 「これだけ日本の農家に後継ぎがいないと問題視されているなかで、外国人に農業技術を教える前に、まず日本人が農業をもっとやるべきなんじゃないかと思ったんです。そのためには、きちんと毎月給料が出て、保険にも入れて安心して働ける場所を作ることが大事なのではないかと。」 竜さんは、その思いで一念発起し、農業者を社員として雇用する『箕輪農園』を設立しました。
JGAP認証農場
「大事なのは、高品質な長いもを、安定した量で出荷することですね」と語る竜さんは、農産物流通研究会という団体に所属し、その団体の一員として2006年に長いもでJGAPを取得しました。「生産から出荷、従業員の作業まで、毎日記録を付けていかなければならないことは大変です。しかし、今の時代、安全安心には代えられないですよね。」JGAPに認証されたことで、取引先も増えたそうです。 JGAPとは…日本GAP協会によるGAP(Good Agricultural Practice 農業生産工程管理)認証。食の安全や環境保全に取り組む農場、生産者団体を協会が認定した第三者機関が審査・認定しています。 JGAP協会のサイトはこちら⇒http://jgap.jp/
長いもは「葉」が命!
長いものつるに実る実のことを「むかご」といいます。長いも作りは、このむかごが成長して1年経ったものをタネいもとして土に埋めることから始まります。土壌研究を重ねてきた箕輪さんは、「良い長いもは、良い土と、元気な葉が大切。」とおっしゃいます。葉が元気で沢山生えているつるは、良いむかごが実り、ひいては良い長いもが実るのだそうです。
長いもを、より美味しくする保存方法
長いもをより美味しくする保存方法を、竜さんのお母様に教えていただきました。それは、ラップや袋などをかけずに、裸の長いもを切り口部分をどこにも触らずに冷蔵庫に入れて、3週間~1ヶ月置く、というもの。実践すると長いもの味が大きく変わり、甘みが増すので、ぜひ皆様も試してみてください。
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農業経営者として、精彩を放つ竜さんに、今後の夢をお聞ききました。 「経営プランをしっかりと立てて、社会保険の導入など、農家では今までそこまでやらなかったことを、実践して行きたいですね。1つの壁を超えるのは、とても勇気が要ります。でもその壁を僕が超えることで、他の農家さんの希望にもなるだろうし、従業員も安心して農業で長く働いてくれるんじゃないかと思うんです。」働く人が、働きたいと思える環境作りを目指す竜さん。このような取り組みが広まれば、近い将来就農に手を挙げる若者が増えるかもしれません。
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