いばらきの食に挑戦する人たち
安定した高品質のぶどう作りを目指す! 久家政輝(石岡市)
欧州系ぶどう栽培の先駆者
久家ぶどう園は、石岡市(旧八郷町)でおよそ60年続くぶどう園です。久家正輝さんは、その2代目。県内の、欧州系ぶどう栽培の先駆者です。欧州系ぶどうを始めたきっかけについてお聞きしました。 「およそ10年ほど前、当時の主力商品であった巨峰の価格が下降傾向にありました。このまま巨峰だけを作っていては、食べていけなくなる…そんな危機感を感じていました。ちょうどその時、茨城県の園芸研究所で欧州系ぶどうの研究を行っていることを耳にしました。県と協力して、これからは欧州系を育てようと決めました。」久家さんは、県外のぶどうの名産地に、何度も研修に出かけたそうです。さらに当時は、茨城県のぶどう連合会会長を務めていたので、会員と共に欧州系ぶどうの勉強会や栽培講習会を重ねました。
シャインマスカット
欧州系ぶどうの主力品種として普及拡大が期待される「シャインマスカット」の高品質生産のための栽培技術を磨いた久家さん。 大きな粒と、鮮やかな見た目、香りが良く、皮ごと食べられるシャインマスカットは、贈答用にもご家庭用にも重宝されています。 年々欧州系の種類も増え、今では25種類以上ものぶどうを作っています。 「シャインマスカットに火が付き、欧州系がお客さんに選ばれ始めたので、種類を増やし、食べてくれる人の好みに合ったものが作れればいいなと思いました。試験栽培をして、毎年お客さんの反応を見ながら、次の年の栽培計画を考えているんです。」
安定した高品質、そして味にとことんこだわる!
久家さんのぶどうは、久家ぶどう園直売所でしか買えません。近くにゴルフ場が3つある為、ゴルフ帰りの東京近郊のお客様も多いそうで、久家さんのぶどうを一度食べたお客様がリピーターになってくれたり、リピーターがリピーターを呼ぶなどして、ぶどう収穫の時期である6月末~10月末の販売時期には、全てを売り切るほど大人気の直売所になりました。 人気の秘密は、ぶどうの味に対する徹底的なこだわりにあります。 「以前は、面積を広く持ち過ぎていたので、まず栽培面積を縮小しました。露地栽培ももほとんど止めて、今は97%ハウス栽培です。魅力を感じるぶどう作りは、あまり広すぎるとできない。その分、味と品質にはとことんこだわります。一度食べておいしくても、また来てくれた時、同じおいしさで迎えられるかが非常に重要なんですよ。直売所はお客さんの反応が直に見えますから、その分シビアだけど、ここのぶどうはいつ来てもやっぱりおいしいと言っていただけると、頑張れるんです。」お客様の反応に直接ふれる直売所であえて勝負することが、自身の意識を常に高く保つ原動力につながっているのだそうです。
土作りと情報収集
味と、品質にこだわるには、まず何より、土作りが一番大事だと久家さんはおっしゃいます。 「肥料は基本的には化学肥料は使用せず、サンゴや海藻などの海のものを使います。ぶどうは収穫期以外も作業が山積みで本当に骨の折れる現場なんですよ。けれど、お客さんに笑顔を貰えると疲れが吹っ飛びます。全てはその笑顔の為に、ですね。」 久家さんは、全国でもトップクラスのぶどうを作るぶどう農家が集まる組織に属しています。そこで常に新しい情報を入手し、日々勉強しているからこそ、高い栽培技術を保っているそうです。 また、息子さんを始め、研修生を受け入れるなど後継者の育成にも力を注いでおり、ぶどう農家の栽培技術の底上げを目指しています。
ぶどうの糖度分布と保存方法
ぶどうは、上の方(逆三角形の肩側)が甘くなる傾向にある為、下の方から上に向かって食べ進めるとどんどん甘みが増して美味しく食べられます。 保存する時は、洗わずに濡れた新聞紙に包んでからビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に保存すると3~4日は持ちます。1~2週間保存したい場合は、洗わずに一粒一粒軸を残してハサミで切り落としてから、新聞紙に包んでからビニール袋に入れます。果皮についた白い粉(ブルーム)は鮮度を保つ役割を持っているので、食べる直前まで洗い流さないようにしましょう。ブルームは食べられます。 汚れが気になる時は、身を傷つけないように乾いた布で落とす程度が良いでしょう。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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近年の農家の深刻な問題である高齢化、後継者不足。農家の意識が上がらなければ、改善しないと久家さんは語ります。 「私は、全国に名が通るほどの素晴らしいぶどうを作って、それを起爆剤にして茨城全体の農家の活性化に繋がればいいと思っているんです。現在の茨城の農家の大多数の人は、悲しい事に意識が低い。意識が低いと、後継者も育たないんです。全ての農家が、夢を持って、お客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら野菜や果物を作れる日が来るといいなと思っています。」夢を持ち、先を見据え、常に高品質を目指す農業。久家さんの夢は、ご自身の息子さんをはじめ、その想いに共感する若者達から、少しずつ芽を出しています。
インフォメーション | |
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名称 | 久家ぶどう園直売所 |
住所 | 茨城県石岡市下林2448-67 |
お問い合わせ |
TEL: 0299-43-0211
FAX: 0299-43-0211 |
その他の情報 | ※この情報は2012年度時点のものです。 |
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