いばらきの食に挑戦する人たち
有限会社 筑波ハム 齋木 一素さん(つくば市)
有限会社 筑波ハム
茨城県つくば市にある「筑波ハム」は、地元の養豚農家だった前社長・現会長の中野 正吾さんが1983(昭和58)年に創業した、手作りハム・ソーセージメーカーです。 「良い製品を作るためには手間を惜しまず、とにかくおいしいものを」を合言葉に、ドイツの伝統製法を用いて、時間とコストをかけて「おいしさ」を追求して造りあげる商品は、県内のみならず県外にも多くのファンがいます。 「直売所 つくば陣屋」では、筑波ハムのハム・ソーセージ、乳製品などを購入できるほか、新鮮で安心な精肉、手軽なデリカテッセン、近隣農家から直送の新鮮野菜が並ぶ産直コーナーもあります。自社工場をガラス越しに自由に見られる工場見学コーナーも人気です。 中野さんの想いを継承し、経営を引き継いだのは、齋木 一素(さいき かずもと)さん。齋木さんは元々、筑波ハムの経営再生に携わるコンサルティング会社に勤めていましたが、中野さんやスタッフの要望に応える形で、2020年に代表取締役社長に就任しました。 「筑波ハムのこだわりは、原料、製法、全てにおいて一切妥協しないことです。そして、最もこだわるのが味。どんなにこだわっても『おいしくなければ意味がない』と、おいしさへのこだわりは並々ならぬものがあります」と齋木さん。
桜の薪で燻煙
無添加ハム・無添加ベーコン
「こだわりは大きく3つあります。1つ目は、食品添加物の使用は必要最小限に抑えること。お肉の持っている“おいしさ”や“甘み”など、“本物のハムのおいしさ”を伝えていきたいので、添加物に頼らず、肉自体の旨みを引き出していく技術を確立しています。 2つ目は、フレッシュなお肉を使うこと。冷凍のお肉は一切使用しません。理由は、冷凍のお肉だと長期熟成ができないためです。熟成は“原料肉を7日間以上塩漬けすることにより、原料肉中の色素を固定し、特有の風味を十分醸成させること”とされていますが、筑波ハムでは20日間、お肉が腐らないギリギリの長期間熟成を行うことで、お肉の旨みを最大限に引き出しています。冷凍肉は長期熟成中に傷んでしまうので使えません。 3つ目は、乾燥に“筑波山の麓で作られた炭”を使い、燻煙に“桜の薪”を使っていることです。オール茨城県産で行っているんです(笑)。炭で乾燥させるのは昔ながらの製法で、遠赤外線効果により絶妙な仕上げになり、ほんのり優しい炭の香りが食欲を誘います。桜のチップなども良い香りですが、燻煙に使用している“桜の薪”は香りが格別です。桜の薪は一度に大量に仕入れ、2年間乾燥させたものを毎朝薪割りしています。私たちは、桜の薪の香りのことを『得も言われぬ幸せの香り』と呼んでいますが、ベーコンなどは特に『幸せの香り』を感じることができます」 おすすめのベーコンをいただくと、まさに「幸せの香り」が広がり、お肉の旨みがジュワ~ッと感じられ、とにかく脂が甘い!しかも脂がくどくないのでいくらでも食べられそうな、極上の味わいでした。 筑波ハムでは、実現に3年を要したという発色剤や食品添加物不使用の「無添加ハム・無添加ベーコン」の製造・販売も行っているそうです。
赤身の旨み、脂の甘さ、バランスの良い「常陸の輝き」
筑波ハムでは、ほぼ全ての加工品の原料に、茨城県銘柄豚肉「常陸の輝き」を使用しています。「常陸の輝き」は、やわらかく、滑らかな食味で旨み・香りの良い肉質が特長の豚肉です。 「『つくば豚』※の生産者の廃業に伴い、これに代わる豚肉を探しました。暗中模索の末、ようやく納得できる豚肉と出会えました。それが『常陸の輝き』です。 『常陸の輝き』は、赤身の旨み、脂の甘さのバランスが非常に良い豚肉で、雑味がありません。沢山食べても飽きない。脂にくどさが無いので食べ続けられます。脂が甘いので、特にベーコンでおいしさを感じていただけると思います」 ※「つくば豚」は販売を終了しています。
ハム屋なのにヨーグルト?!1本飲めば6種類!オリジナルの乳酸菌
筑波ハムでは、ヨーグルト製品にも力を入れています。 「弊社は、自社オリジナルの乳酸菌を保持しています。豚は、離乳期に離乳ストレスによって引き起こされる疾病を防ぐために抗生物質が使われます。会長の中野が抗生物質を使うことが味に影響すると考え、乳酸菌研究の第一人者でつくば市内で研究を行う吉野正純博士の協力を得て、独自の乳酸菌を開発しました。この乳酸菌を配合した飼料を子豚に与えると、腸内環境が整って健康な豚に育つ確率が高くなり、とてもおいしい豚肉になりました」 乳酸菌配合飼料を与えた豚は「つくば豚」と名付けられ、長く筑波ハムの看板商品として人気を博しました。生産者の廃業の為、つくば豚の販売は終了してしまいましたが、開発したオリジナルの乳酸菌は、ヨーグルト製品に使用されているのだそうです。 「ハム屋なのになぜヨーグルト?と聞かれることも多いですが、こうした経緯で自社独自の乳酸菌を持っているので、ヨーグルト製品にもかなり自信を持っています。吉野博士の協力を得て、おそらく日本で唯一、6種類の乳酸菌を使う“ブレンド方式”を導入しました。『おいしさ』を第一にヨーグルト製品の乳酸菌の開発をしていったら、この6種類をブレンドしたものが一番味のバランスが取れていたんです。結果的に、1つ食べる・飲むだけで、6種類の乳酸菌が摂れる、凄い商品になりました。びっくりするほど濃厚な、超濃厚ヨーグルトです。人の腸内細菌の種類は多い方が良いと言われているので、皆様の健康にきっと寄与できるヨーグルトだと思います」 ヨーグルト製品には、開発者への敬意を込めて『ナチュラル吉野』と名が付けられ、乳製品製造チームは日々乳酸菌の研究・調整を行っているそうです。
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齋木さんに、今後の展望をお伺いしました。 「『筑波ハム』というネーミングもそうですが、『茨城においしいハム屋がある』ということを広く知ってもらいたいです。製法、原料、技術、どれをとっても一切妥協なく『おいしいハム』を作っている自信はあるので、これからはそれらをお客様に伝えていくことに力を入れていきたいと思います。また、原料から何からほぼ全て茨城のものを使っていますので、地産地消の想いも含めて発信していきたいです。 筑波ハムには、『おいしいものを食べると幸せになる』という言葉があります。“食”というテーマを通じて、一人でも多くの方に“幸せな気持ち・香り”を全国、海外に届けられるような食品メーカーでありたいと思います」
インフォメーション | |
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名称 | 有限会社 筑波ハム |
住所 | 茨城県つくば市下平塚383 |
お問い合わせ |
TEL: 029-856-1953
FAX: 029-856-1958 |
WEBサイトURL | https://www.tsukubaham.co.jp/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2023年1月時点のものです。 |
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