PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

オジマきのこ園 小嶋 賢さん(行方市)

オジマきのこ園 小嶋 賢

おいしい!ヘルシー!夏もおいしい! ぶなしめじ

オジマきのこ園の「ぶなしめじ」

 茨城県南東部に位置する行方市(なめがたし)は、霞ヶ浦と北浦に挟まれた半島状の地形で、両湖岸は平坦な水田地帯、中央部は水はけの良い火山灰土壌に覆われ、さつまいもをはじめとした良質な野菜の産地です。  そんな行方市にある「オジマきのこ園」は、きのこの中でも旨みたっぷりでクセの少ない「ぶなしめじ」を生産しています。  代表の小嶋 賢さんは、2011年に自動車メーカーの整備士を辞め、家業のきのこ園を継ぎました。「東日本大震災の影響で、外国人の実習生が全員母国に帰ってしまったので、家業に入ることにしました」  2016年に経営を引継ぎ、代表に就任。安全・安心なぶなしめじの生産に配慮し、JA及び県内直売所、首都圏でも販売されるほか、行方市内の学校給食にも使用されています。

 使用する菌の品種によって、きのこの大きさや形、味が違ってくるというきのこ栽培。オジマきのこ園のぶなしめじには、2つの特長があると言います。  「ぶなしめじは、きのこ独特の苦みが少なく、カロリーも少なく、食物繊維が豊富で身体にとても良いきのこです。主役にはなれないけど、最高の脇役食材。うちのぶなしめじは、脇役として主張しすぎないように、そして子供が食べやすいように、あえて軸が細めの菌を使っています。さらに、きのこ独特の匂いを抑えられるよう栽培しているので、これから体を作っていく子供たちにどんどん食べて欲しいですね」  さらに、安全・安心に配慮し、きのこを育てる培地の資材(おが粉、米ぬか、ふすま、おから等)の国産化にも取り組んでいます。

ぶなしめじ生産のこだわり

左から順に培地に菌が周っていく様子。完全に菌が周ると真っ白になる。 左から順に培地に菌が周っていく様子。完全に菌が周ると真っ白になる。

 人工栽培によるぶなしめじは、季節を問わず1年を通して安定した出荷が可能です。しかし、きのこは“菌”であるため、環境に左右されやすく、管理に非常に気を遣うと言います。  「ぶなしめじは、栽培開始から出荷まで約4か月かかります。その間、毎日温度・湿度と換気の管理をします。最初の3か月、『培養』の期間は、室温を20度にして、湿度を70%以上に。収穫の約1か月前の『発生』の期間は、15度にしておく必要があります。きのこは、人や動物と同じように呼吸をしているため、閉めきった室内できのこを栽培していると、きのこの呼吸によって排出された二酸化炭素の濃度が高まり、その後の収量や品質に悪影響を与えます。ですので、風も回さなければならないし、換気も必須。しかし、エアコンを使わなければ室温を保てないため、相反する管理をしなければなりません。特に、夏場はそのバランスが難しいので、頭を使いながらきのこがより快適に育つように環境を整えています」  さらに、きのこは光に向かって伸びていくため、収穫の約2週間前からは光を当てる角度を調節し、形を整えます。また、納豆菌は繁殖力が非常に強いため、きのこ栽培室内に入る日は納豆は食べないそう。  こうして繊細な管理のもと育ったオジマきのこ園のぶなしめじは、独特の匂いがなく、細目でシャキッとした食感。水っぽさがなく、ぎゅっと詰まっていて、取引先からは「日持ちも良い」と評価されているのだとか。  「ぶなしめじを食べる時は、水っぽくなってしまうためなるべく洗わず、さっと茹でて“冷しゃぶサラダ”で食べるのがおすすめ」だそうです。

培地のリサイクルで地域循環型農業を実践!

廃培地を肥料にしている様子 廃培地を肥料にしている様子

 ぶなしめじの生産工程は大きく分けて、①仕込み(栽培ビンに米ぬか、おが粉、ふすま、おから等を混ぜて培地を作る)、②植菌(殺菌した培地の上にぶなしめじ菌を植える)、③培養(培養室で温度・湿度・風を管理しながら約3か月菌を繁殖させる)、④菌掻き(菌が繁殖した菌床の表面を掻き芽出しを促す)、⑤発生(ぶなしめじを大きく成長させる)の作業ののち、包装・検査・出荷となります。  きのこを収穫した後の培地は豊富な栄養素が残っているため、行方市内の農家に菌床堆肥として販売しています。  「きのこの廃菌床は栄養がたっぷり残っているので、土の微生物の活動も促進します。さらに、さつまいもの芋苗を育てる時などに廃菌床を入れると保温効果があるらしく、とても喜んでもらっています」  ほぼすべての廃菌床を堆肥として販売できているそうで、「大変ありがたいし、販売できないと処分費用もかかるので、他の産地にはない、野菜や果物の大産地である行方市ならではのメリットだと思う」と言います。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

夢~さらなる挑戦~

 茨城県内には数件しかない個人のきのこ農家。農家同士は仲が良く、培地の改良、きのこの品種、技術、設備、価格等の情報交換や、「茨城のきのこ屋がどうやって生き残っていくか」などを常々話し合っているそうです。小嶋さんも新しい品種や技術の研究には余念がなく、仕込みの度に工場の一角で新しい品種や技術を試しているとのこと。  今後の展望をお伺いすると、「安全を第一に、高品質でおいしいきのこを作り続けたい。きのこというと秋から冬のイメージがありますが、夏でもきのこはうまい!。ぜひ夏もきのこをたくさん食べていただきたいですね」と語ってくれました。

買えるお店
道の駅たまつくり 行方市観光物産館こいこい
住所: 茨城県行方市玉造甲1963-5
TEL: 0299-36-2781
FAX: 0299-36-2782
「産地直送 地場野菜のお店」農家の畑
住所: 茨城県稲敷市西代1495 ショッピングセンター パルナ1階
TEL: 0299-80-5723
道の駅 川の駅 水の郷さわら
住所: 千葉県香取市佐原イ3981-2
TEL: 0478-50-1183
オンラインショップ
インフォメーション
名称 オジマきのこ園
住所 茨城県行方市三和90
お問い合わせ TEL: 0291-35-1409
FAX: 0291-35-1681
その他の情報 ※このページの情報は、2023年8月時点のものです。

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