いばらきの食に挑戦する人たち
新進気鋭の農家集団 株式会社フェルミエ・オネット 金久保 貴哉さん(境町)
新進気鋭の農家集団 株式会社フェルミエ・オネット
フェルミエ・オネット
ライスミルクイメージ
県の最西部に位置する境町は、豊かな土壌と温暖な気候に恵まれ、レタスやねぎ、トマトを始め、日本茶として初めて海外へ輸出された「さしま茶」などの産地です。 そんな境町の農家仲良し5人組が、自らが育てた作物を使い、加工品を開発・販売する「株式会社 Fermier Honnête(フェルミエ・オネット)」を立ち上げました。フェルミエ・オネットは、フランス語で「正直な農家」という意味。卵や牛乳を使わず、米と野菜、てんさい糖等を使った、無添加ジェラートを開発・販売しています。 メンバーは、代表の金久保貴哉さん(露地野菜農家)を中心とした5人。露地野菜農家で話上手な稲垣景さんは、営業を担当。米や麦、大豆を生産し、ITに強い高橋大希さんは、広報を担当。空芯菜や露地野菜を生産し計算が得意な細島大樹さんは、経理を担当。最年長の篠塚光一さんは、米や麦、常陸秋そばを生産し、皆に“ボス”と慕われているまとめ役です。 5人は、あるイベントに向かう車の道中、金久保さんが発した「何か新しいことをやりたいんだよね。」という言葉から意気投合。車内で「自分達が作った農作物を使ってジェラートを作ろう」と一気に話がまとまり、イベントの帰り道には、ジェラートの原料にと考えていた、米のみで作ったドリンク“ライスミルク”をスーパーで買って皆で試飲したそうです。
米のみを使ったジェラートの開発
ライスミルクジェラート 原料の玄米
その後、5人は、米を原料とした“ライスミルクジェラート”の試作品作りを始めました。米は、篠塚さんと高橋さんが育てた1等米を使うのが、一番のこだわり。精米を使うか、玄米を使うか、どの程度ミキサーにかけるかなど、試行錯誤を重ねて完成したジェラート。しかし、試食会での評判は、「お世辞にもおいしいとは言えない…」。「素人ではやはり無理があった。方針を変えて製造を委託できる業者を探すことにしました。」と高橋さんは当時を振り返ります。 5人の要求は、“米のピューレ作りからアイス製造までを行ってくれる会社”でしたが、「まずどこの会社にも“ライスミルクって何?”と言われ、“米でアイスを作ったことが無い”と断られました。また、発注単位が千個以上からなど、こちらが対応できない条件も多かったです。」と稲垣さん。問い合わせること数十件、その中から、たった1軒の富山県の『川田食品』に出会いました。「熱い担当者で、とても親身に相談に乗ってくれて本当に助かりました。」と金久保さん。自分達で試行錯誤したレシピの情報を伝え、原料を送っては試作品が届き、改良してもらうことを幾度も繰り返し、ようやく5人が納得のいく“ライスミルクジェラート”が完成しました。
牛乳・卵不使用、アレルゲンフリーへの挑戦
フェルミエ・オネット ライスミルクジェラート
篠塚さんの田んぼ
フェルミエ・オネット ほうれん草ジェラート
「徐々に完成が近づくにつれて、原材料の中に大豆由来のアレルゲンが入っていたことが気になって。牛乳や卵は元から使っていないし、できる限りアレルゲンをなくして、多くの人に食べてもらえるようにしようと、砂糖も自然由来のものに変えました。」と稲垣さん。 こうして、米を使い、牛乳や卵を使わない、アレルゲン特定原材料不使用のライスミルクジェラートが誕生しました(※)。また、「ベースにライスミルクを使った、ほうれん草、イチゴ、レタスなど味のバリエーションを開発しました。」 ライスミルクジェラートは、お米のやさしい甘みとまろやかな風味がありながら、あと味はスッキリ。玄米のつぶつぶ感も残ります。なかでもイチ押しは、ほうれん草ジェラート。草餅のような風味があとを引きます。 「このジェラートの素材(米や野菜)は全て、一番おいしい旬の時期のものを使っています。それが一番のこだわりですね。ほうれん草だったら12~2月の、一番うまみが乗って味が濃い時期のもの。しかもすべてそのまま市場に出荷できる1等品を使っています。ですから、素材そのものの味を味わいたい方、オーガニック食品を好む方などは気に入ってくれます。僕らも、味には自信があります。」と稲垣さんは言います。 (※)原料にはアレルギー特定原材料等27品目すべてを含みませんが、「乳」「卵」「大豆」などを含む商品と共通の機材用具で製造しています。
常に勉強
フェルミエ・オネット
フェルミエ・オネット
ライスミルクジェラートは、カップ1個500円。原料にこだわる分、これ以上安くはできないのだとか。 「かなりニッチな商品なので、まずは料理人やバイヤーなど、食のプロの意見が聞きたくて、2016年のアグリフードEXPO(※)に出展して、価格、味などアンケートを取りました。思いのほか反応は良く、特に料理人の方達から“おいしい”という声を多数いただだきました。価格についても、原料の説明をすると、『もっと高くてもいいんじゃないか』とまで言ってくれる方もいて。原料やこだわりを知ってもらえると、このおいしさをわかってもらえるんだ、と自信が付きましたね。」と高橋さん。5人は2017年の同イベントにも出展。販売ターゲット、マーケティングも含め、「常に勉強」と語ります。 ※アグリフードEXPO…広域に販路拡大を目指す農業者や食品加工業者とバイヤーをつなぎ、ビジネスマッチングの機会を提供する日本最大級の展示商談会。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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「まずは、ライスミルクジェラートをPRして、1人でも多くの方に食べてもらい、ファンになってもらいたいですね。僕らのFacebookページでは、“いいね!”の過半数は海外、それも中東の方からのものなので、海外向けにジェラートを売っていけたら…なんてことも考えています。ジェラート以外にも、まだまだやりたい事がたくさんあって。育てた米や野菜を自分達で販売してみたいし、ジェラートも他の種類にも挑戦してみたい。5人でそんな事を話しながら働いているのが楽しくてしょうがないんです。」と金久保さん。 5人は、それぞれに個性が強いながらも本当に仲良し。農家のプロ集団が、自慢の農作物をひっさげて挑戦する新たなる道。株式会社フェルミエ・オネットのこれからが楽しみです。
インフォメーション | |
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名称 | 株式会社フェルミエ・オネット |
住所 | 茨城県猿島郡境町 |
WEBサイトURL | https://www.facebook.com/fermier.honnete/ |
その他の情報 | ※この情報は平成29年9月時点のものです。 |
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