いばらきの食に挑戦する人たち
藤井農園 藤井 圭子さん(かすみがうら市)
れんこん銘柄産地の二代目を継ぐ女性農業士
女性農業士として地域の農業を牽引していく藤井さん
藤井農園のハス田
日本一の生産量を誇る茨城県のれんこん。豊かな水と、肥沃な土壌、そして冬でも温暖な気候に恵まれた霞ヶ浦周辺地域は特にれんこんの一大産地で、広大なハス田を望むことができます。 そんな名産地の中でも、1989年から茨城県の銘柄産地指定を受けているかすみがうら市霞ヶ浦地区のれんこん。同地区で50年以上れんこんを栽培している藤井農園の二代目園主・藤井圭子さんにお話を伺いました。 勤めていた化粧品メーカーを退職し、家業を継ごうと決意したのが12年前。文字通り「畑違い」の仕事からの転身とあって苦労することも多くあったそうですが、お父様の教えを受けながられんこん栽培のイロハを学んだ藤井さん。3ヘクタールだったハス田を今では10ヘクタールまで規模拡大し、ご家族と実習生8名とで日々やりがいをもって仕事をしています。 長年の経験則と蓄積してきたノウハウが物を言うれんこん栽培。日当たりや土壌など、田ごとに条件が異なるため、それぞれの場所の特性を考慮しながら生育状況をこまめに確認し手入れや施肥をしているといいます。れんこんの植え付けは全ての田を藤井さんひとりで行うというこだわりも。 「とにかく基本的な仕事をしっかりと、どの仕事にもプライドを持ってやっています」と話す藤井さんの細やかな気配りが、おいしいれんこんを育くみます。
茨城生まれの優良品種「ひたちたから」
白色が美しい掘りたての新物ひたちたから
れんこんを傷つけないよう注意を払って収穫
そんな藤井さんに、就農してから印象に残っていることを伺うと、こんなお話が…。 「私がれんこん栽培をはじめた頃、病害虫による被害が酷かったのです。10分の1ぐらいしか収穫できなくて…。そんな中でも、“ひたちたから”という品種は比較的大丈夫でした。”ひたちたから”に助けられました」 藤井さんの窮地を救ったれんこん「ひたちたから」は、茨城県内で育成された登録品種です。小美玉市玉里地区のれんこん生産者・上田稔さんが育成し2007年に品種登録されました。2013年から取り組みがスタートした「いばらきレンコン優良系統選抜普及プロジェクトチーム」により、優れた食感や栽培特性が評価され、優良系統として選抜。れんこん産地のトップランナーである茨城県が自信を持って推奨する品種とお墨付きを受け、どんどん人気が高まってきている注目株です。 そんなひたちたからに惚れ込んだ藤井さんは、ひたちたからをブランド化しもっと広めていきたいと話します。「ひたちたからは、とにかく味が良いです!甘みがあって、みずみずしいジューシーな食感を楽しめます。形も良いですし、生産者にとっては育てやすくて収量も安定しているので、新規就農の方にもぜひオススメしたい品種ですね」 ひたちたからのオススメの調理法は、「シンプルに天ぷらです」と藤井さん。加熱することで甘みが増し、ホクホクとした食感も楽しめます。
自社ブランド化を目指しパッケージデザインも一新
新しく作成したオリジナルパッケージ
女性ならではの視点から農業を盛り上げる藤井さん
藤井さんは、農園の”ひたちたから”のブランド化を目指し「霞ヶ浦れんこん」というブランド名をつけ、専用のパッケージも作成しています。ブランド名を主役に据え、洒落たカラーリングでれんこんのイラストを添えたデザインは「可愛い」と好評です。 「ブランド名には、どうしてもこの地域の“霞ヶ浦”という名前を入れたいと思って決めました。かすみがうら市のふるさと納税返礼品としても採用いただいているのですが、返礼品発送時もこのパッケージでお届けしています」。共通のデザインで作成した農園パンフレットには、「ひたちたから」の紹介やオススメのレシピも掲載。ブランドイメージがわかりやすく、親しみやすい内容になっています。 品種の改良や技術の研究が進み、近年ではほぼ1年を通して品質の高いれんこんを手に取ることができるようになりました。藤井農園でも、7月から翌年5月頃まで収穫期が続くそう。れんこんの旬は一般的に晩秋~冬ですが、それぞれの時期でまた違ったおいしさを味わえるといいます。 「出始めの時期はシャキシャキの歯ごたえある食感を楽しめます。冬のれんこんは、肉質が厚くなっているのでもっちり・ねっとり感と甘みがありますね。それぞれ魅力があっておいしいので、ぜひ食べ比べてみてください」
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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「れんこんで地元かすみがうら市を盛り上げていきたい」と話す藤井さん。現在取り組んでいる法人化で農園の基盤をより安定させ、より多くの人に「霞ヶ浦れんこん」ブランドを広めていくことが目下の夢です。そのために販路の拡大にも積極的に取り組んでおり、ゆくゆくは霞ヶ浦れんこんの輸出も視野に入れたいといいます。 また、女性農業士として「食育」にも取り組む藤井さん。「若い人の中には、れんこんをどうやって食べたらいいかわからないという方もいます。学生との料理交流会への参加など、消費者にも参加してもらって地元の食や農業を盛り上げていきたい」と語る藤井さん。女性農業士ならではの目線とアイデアを生かし、れんこんの新たな魅力を発信していきます。
インフォメーション | |
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名称 | 藤井農園 |
住所 | 茨城県かすみがうら市牛渡2792 |
お問い合わせ |
TEL: 080-6577-3839
FAX: 029-898-2660 |
その他の情報 | ※このページの情報は、2024年7月時点のものです。 |
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