いばらきの食に挑戦する人たち
藤井商店 藤井 勲さん(守谷市)
昭和30年創業の藤井商店・その歴史と変遷
藤井商店を継いだ2代目・藤井勲さん
加工場を併設する卸部直売所を持つのが特徴
2024年8月現在、茨城県守谷市で『常陸牛 煌(きらめき)』を扱う精肉店・藤井商店。 牛の肥育から卸売・小売を営む一貫システムで、精肉の直売所には県内はもとより県外からも来店客が絶えません。 その藤井商店の2代目として陣頭指揮をとっているのが、代表取締役社長の藤井勲さん(写真左)。『おいしい肉を提供すること』を信条に、藤井商店をさらにワンステージ上の精肉店へと変化させています。 同店は昭和30年食肉専門店として、現在も本店がある東京都墨田区東向島で創業。創業者で会長の藤井憬さん(写真右)と奥さんのうめ子さんの実家があった守谷市で、知人の養豚業を引き継いだことから、墨田区に加え守谷市でも仕事を始めました。やがて牛の肥育も手掛けるようになり、創業50周年を迎えた頃には、守谷市に食肉加工工場兼直売所を建設しました。 現在は自社商品に加え、社長をはじめ目利きの職人たちが茨城県中央食肉公社や東京食肉市場で仕入れた選りすぐりの肉を、直売所で販売しています。また天皇杯を受賞したドリームファーム(常総市)と連携し、同農場で育てた常陸牛の販売も行っています。 近年は輸出にも参画し、現在までに70頭を超える常陸牛輸出に貢献しています。 2024年には創業70周年を迎え、さらなる飛躍が期待されています。
消費者に『安心&安全でおいしい肉を届けること』が全て
最高級の常陸牛を販売!中間業者を入れない価格も魅力!
数々の賞を受賞している枝肉を仕入れている藤井商店
牛の肥育から加工・販売まで一貫して手掛ける藤井商店。おいしい牛肉を提供するポイントは多岐に渡るといいます。 「牛の生産者としては、月並みだけど牛にストレスをかけないで育てるというのがまず大切。経営的には厳しいけれど、牛の性格にあわせて飼育スペースを細かく分ける、遠慮がちにエサを食べる牛は離してやるなど、一頭一頭に向き合い気を遣うことですね。加工業者としては、消費者の方によりおいしく食べていただけるよう、霜降りの状態を見て部位の特徴に合わせたカットをしています。直売所のガラス越しに、丁寧に肉を扱う藤井商店の職人の姿が見れるはずです」と藤井社長は語ります。 現在は守谷市で交雑牛60頭・黒毛和牛50頭を肥育し、2024年3月にはそのうちの一頭が『常陸牛 煌』に認定されました。今後も『常陸牛 煌』の認定を目指し、30ヵ月齢までじっくりと肥育する予定で準備を進めています。
『常陸牛 煌』の魅力とは
「常陸牛 煌」
守谷市にある直売所には県外からもお客が訪れる
2023年に誕生したばかりの『常陸牛 煌』は、和牛のおいしさを追及した常陸牛のトップブランドです。 今はまだ全体的に出荷数が少なく消費者が手にする機会が多くない希少な肉ですが、藤井商店の直売所では毎週金曜・土曜に『常陸牛 煌』の商品が並びます。今年の3月に自社農場で育てた『常陸牛 煌』も好評で、あっという間に完売しました。 常陸牛の中で 『常陸牛 煌』に認定される条件は、①茨城生まれ茨城育ち ②月齢30カ月齢以上 ③歩留等級がA等級のみ ④オレイン酸比率55%以上 ➄小ザシ指数が110以上 の5つとなっています。 通常は月齢28カ月程度で出荷される常陸牛ですが、さらに2カ月以上長く肥育することでうま味がグッと増し、オレイン酸比率が高まり、脂の融点が低く口溶けの良い肉質になるといいます。さらに、全国初のブランド基準として導入された小ザシ指数は、きめ細かく均一なサシが入っていることの指標であり、霜降り度合いが高くても、小ザシであれば脂の量を抑えられ、赤身のうま味と脂の甘みが絶妙に調和した肉質を生み出します。 見た目の美しさはもちろん、なめらかな舌触りと口あたりの良い食感も『常陸牛 煌』の魅力です。茨城県では『常陸牛 煌』のPRにも力を入れていて、茨城県内や東京都内で「メニューフェア」を開催し、シェフが工夫を凝らしたオリジナルメニューを提供しています。和牛ならではのおいしさをダイレクトに味わえると、評判となっています。
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『常陸牛 煌』のブランディング検討委員会のメンバーでもあった藤井社長。 『オールいばらき』を目指していきたい、と語ります。 「品質向上を目指す繁殖農家をいっそう増やす、茨城県で生まれた牛を茨城県で育てる、茨城県で肉用牛に携わるすべての人が『常陸牛 煌』に関わっていく、それが私が実現したい『オールいばらき』の姿です。地産地消といわれるが、まずは根幹の地産の部分で『オールいばらき』を目指していくことが、茨城県の生産農家に更なる活力を与えるのではないでしょうか」 藤井社長は『常陸牛 煌』への期待を、このように話してくれました。生産者・販売者どちらの気持ちも分かるからこそ、大局をみながら常陸牛の魅力を、そして『常陸牛 煌』の魅力を同店から発信しています。 ※93歳ながら、現役で牛の肥育をしていた創業者の藤井憬会長。 取材直後の8月にご逝去されたとのこと、謹んでご冥福をお祈りいたします。
インフォメーション | |
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名称 | (有)藤井商店 |
住所 | 茨城県守谷市野木崎1822 |
お問い合わせ |
TEL: 0297-48-6061
FAX: |
WEBサイトURL | https://www.fujiishouten-meat.com/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2024年9月時点のものです。 |
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