奥久慈しゃも生産組合の理事である、菊池敏治さんが営む菊池農場がはじまったのは平成11年のこと。敏治さんのお父様が始めた養鶏場を、敏治さんが25歳のときに事業継承して事業主となりました。 　「元々は、趣味で鶏を飼っていたところ、たまたま奥久慈しゃも生産組合員の募集を見て奥久慈しゃもの生産を始めた」と敏治さん。田んぼだった場所に鶏舎を建て、年間7,200羽の奥久慈しゃもを育てています。 　奥久慈しゃも生産組合には、飼料の配達やしゃもの出荷などを任せることができ、とても助かっていると言います。組合のサポートもあり、年間生産羽数は奥久慈しゃも生産者の中でトップ３に入る生産者となった菊池農場。また、奥久慈しゃも生産者で集まる機会は情報交換の場にもなっているとも言います。鶏の病気のことや飼育方法の相談にものってもらうなど、心強い仲間です。 　雄は約４か月、雌は約５か月という期間をかけて育てる奥久慈しゃも。一般的なブロイラーよりも長く育て、たくさん歩くこともあり身がギュッと引き締まるのだと敏治さんは考えます。

　先代と異なる育成方法を取り入れながら、新しい奥久慈しゃもの美味しさを追求する敏治さん。常に鶏舎の外から鶏を見守ります。 　「ストレス値が高くなると他の鶏をつつく鶏が現れてくるので、そんなサインを見逃さないようにしている」と言います。鶏の歩き方や行動がいつもと違っていないかと目を見張ります。 　鶏たちに目を光らせる反面、敏治さんはなるべく鶏舎に入らず、鶏に余計なストレスを与えないようにするのも重要なポイントと考えているそう。「先代は鶏の世話を積極的にするために鶏舎によく入っていたんですが、僕は逆に鶏舎になるべく入らないように心がけています」と敏治さん。 　また、育て方も工夫を重ねており、最近では他の生産者から刺激されてはじまったこととして、しゃもの不安を払拭するために、電球の位置を下げることで鶏舎内をより明るく照らしてあげるようにしたとも言います。 　「まだまだ自分の中でコレだというしゃもを育てられてはいませんが、いつかは育ててみたいです」と語る敏治さん。今は生産組合が手厚いサポートをしてくれているので、安心して奥久慈しゃもの飼育に専念できているとも頷きます。 　飼育日数が非常に長くかかる奥久慈しゃも。ミネラルたっぷりで高タンパク質・低脂質のこだわり抜いた餌と、なるべくストレスのかからない環境で、美味しい奥久慈しゃもを生産し続けていきたいと語ります。