いばらきの食に挑戦する人たち
加宝地ほしいも 永井農業 永井 祐一さん(ひたちなか市)
創業百年を超える老舗ほしいも農家
120年前に静岡県から伝わった茨城県のほしいも。その伝来当初からほしいも作りを続けてきた永井農業。現在は5代目の彰一代表と現場を仕切る6代目の祐一さんを中心に、ひたちなか市とその周辺地域の合計35ヘクタールの畑でサツマイモを作っています。 県内でもトップクラスの耕作面積を誇る永井農業では、機械化を積極的に取り入れながら約15名のスタッフで人海戦術を併用。サツマイモ農家としてはドローンや無人トラクターも県内でいち早く取り入れ、広大な畑の管理を徹底しています。 永井農業の特徴的な取り組みは、植物性の有機物を多用した肥料作りと連作によるサツマイモの品質低下を防ぐための緑肥すき込みです。緑肥とは根を深く張る大型のイネ科の植物を育て、そのまま畑にすき込むことで、畑の透水性と排水性が高まり高糖度のサツマイモが収穫できるようになります。 同社の看板商品はそのサツマイモを使ったブランドほしいも「加宝地ほしいも」。糖度13度以上に糖化させた原料いもを加工したほしいもを生産できる農家だけが審査対象となる「ほしいも王国いばらきプレミアム2024」にも認定されています。
加宝地ほしいものこだわり
永井農業では主に「べにはるか」と「シルクスイート」の2品種を主に育てています。9月から収穫したさつまいもをまずはキュアリングし、長期貯蔵に適した状態にした上でおおよそ100日間の熟成期間へと入ります。その後、熟成を終え、糖度の上がった芋を「洗い」「蒸し」「皮むき」「成形」そして「乾燥」を経て加宝地ほしいもが完成します。 旬の走りはシルクスイートが、年が明けてからはべにはるかの方がグッと甘みが増すといいます。 そんな生芋を美味しいほしいもに加工する秘訣は「一つひとつの作業を他所よりも多く時間をかけてやること」だと話す祐一さん。例えば「蒸し」の時間も他店に比べ深く蒸すことで、作業は大変になるけれどもより多くのでんぷんが麦芽糖に分解されるのでより甘く柔らかいほしいもができるのだとか。そして、「皮むき」の作業では皮といも本体の間にある旨味が貯まっている部分を削りすぎないようにできる限り薄く剥くのだと言います。これも時間を惜しまず、スムーズでも作業の細部までこだわることを忘れません。
ほしいも王国いばらきプレミアム2024へ認定
2024年に立ち上がった「ほしいも王国いばらきプレミアム2024」。茨城県ほしいもトップブランド化評価委員会が認定する特に優れたほしいもブランド生産者に贈られる称号です。 その基準は茨城県産のさつまいもを使っていること、そして原料いもの糖度が13%以上に糖化されていること。さらに衛生管理が整っていることに加え、ほしいもの状態で水分率20%、糖度65%以上など厳密な基準が定められています。その上で、色、形状などが優れているものだけが選ばれるのです。 「ほしいも王国いばらきプレミアム2024」認定第1号を獲得したのが永井農業です! 常に安定的に優れた品質を提供することを心掛けているのも永井農業のこだわり。「私たちが提供するものは必ず平均点以上のものを提供しなくてはいけないと思っています。弊社よりももっと甘いほしいもは他にもあると思いますし、もっと柔らかいほしいももあると思います。ただ、うちは絶対に悪いものは出さない。選別の工程にはきっちり職人を配置して厳格な目利きをしています。絶対に美味しいほしいもをお届けすることが最重要だと思っています」と語る6代目。 「うちの蒸し時間は日本一だと思いますよ」という言葉にもある通り、品質にもこだわりを惜しみません。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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積極的に機械化や新品種への転換を行ってきた永井農業。常にチャレンジをし続ける同社は県内でもいち早く「べにはるか」への品種転換も行い、茨城県内でもトップを走る農家といえます。 祐一さんは、この先の夢をこう語ります。 「いまでも畑面積は35ヘクタールですが、118ヘクタールまで耕作面積を拡大するのが夢です。いま20キロのコンテナ5,500個、合計1,100トンの芋を貯蔵冷蔵庫で熟成させて、全てのコンテナの糖度を計測&管理しています。面積を拡大すれば、畑の1/3に緑肥を栽培し、畑を休ませることができるので、もっと美味しい芋を常に育てることができると思うんですよね。そうなれば見える世界も変わってくると思っています。サッカーの本田圭佑選手の言葉で『量をこなしていないやつに質を語る権利はない』って言葉が凄く刺さるんですよね。もちろん、いまでも質は下げません、けどもっと量をこなせば必ず世界が変わると思っています。ぼくは芋馬鹿なんで(笑)。また、うちの芋を輸出してみたいですね」。 干し芋は自分の家族や親しき関係者にも、自信を持って食べてくださいといえる無添加の食品。 「こんなに甘く食物繊維が多いスーパーフードは茨城の宝と思ってます。その生産者として毎日仕事は多忙の極みですが幸せです。」とほしいもへの想いを語ってくれました。 そんな永井農業が目指す未来。加宝地ほしいもを食べながら想像してみるのも面白いかもしれません。
インフォメーション | |
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名称 | 永井農業 |
住所 | 茨城県ひたちなか市中根1979 |
お問い合わせ |
TEL: 029-274-0958
FAX: |
WEBサイトURL | https://www.oimochan.com/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2024年12月時点のものです。 |
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