いばらきの食に挑戦する人たち
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田村いちご園 田村 博樹さん(坂東市)
就農2年目でグランプリ獲得
2024年の第12回茨城いちごグランプリで金賞、2025年の第13回に大賞受賞
第12回授賞式の時の様子(一番左が田村さん)
数多くの果物が生産されている茨城県。いちごも主要な作物のひとつであり、茨城県では、いちご生産者からなる「茨城県いちご経営研究会」と茨城県農林振興公社の主催で2012年から「茨城いちごグランプリ」を開催しています。食味や糖度、色や形など見た目の良さのみならず、栽培現場の管理方法も審査項目に含まれます。そんな第13回茨城いちごグランプリ「いばらキッスの部」で見事大賞に輝いたのが、田村いちご園(坂東市)です。同園代表の田村博樹さんを訪ねました。 元々、団体職員として働いていたという田村さん。坂東市の実家では、ご両親が兼業で米農家を営んでおり、その農地の一部を引き継いで農家への転職を志したといいます。米をはじめ、この近隣で多く栽培されているネギやレタスなどの品目も検討しましたが。田村さんが最終的に選んだのはイチゴでした。 イチゴ農家を目指すにあたって、田村さんはまず「日本一イチゴを生産するまち」としても名高い栃木県真岡市旧二宮町の農家で1年間、実地研修に参加しました。イチゴ栽培のイロハを学ぶ傍らで、両親から借り受けた圃場で準備を整える忙しい日々を過ごします。そうして、2023年に「田村いちご園」をスタートさせました。
県オリジナル品種いばらキッスを栽培
田村いちご園直売所外観。すぐ隣にハウスが立つ
ハウスをはじめ設備のほとんどは自分たちで準備。両親にも手伝ってもらったと田村さん
自分たちで配管からすべて準備して建てた20アールのビニールハウスで作っているのは全量「いばらキッス」という田村さん。他にも数多の品種がある中で、いばらキッスを選んだ理由はまず「やっぱり茨城県の独自ブランドなので」と頷きます。「近隣の筑西市をはじめ、県内いろいろなところに足を運んで実際に食べてみて、おいしかったのがいばらキッスでしたね。甘みが強いですが、ちょうどいい酸味もあって、バランスが良い。味の好みは人それぞれだと思いますが、私はいばらキッスがおいしいなと思いました」と味の良さにも納得して選んだと田村さんは話してくれました。 そうしてスタートした一作目については「大変でした」と振りかえる田村さん。2~3番花が乱れ、実の形がきれいにできず暴れてしまうことがあったといい、課題の残る一年だったといいます。それでも、田村さんの作ったイチゴは「おいしい」と口コミで評判になり、「茨城いちごグランプリ」にも初出品ながら金賞受賞という成績を残すことができました。 「はじめは近所の方が買いに来てくださって、その人が贈った方が今度は買いに来てくれて…わざわざ埼玉や、成田から来てくれる方もいらっしゃいます。嬉しいですね」と田村さんは微笑みます。
きめ細やかな管理がおいしいイチゴを作る
ささいな異変も見逃さないよう目を行き届かせ管理
ハリツヤのある田村さんのいばらキッス。「水っぽさがなく味が濃い」とお客さんからも評判
そんな田村いちご園のイチゴのおいしさ、品質の良さの理由はどのようなところにあるのでしょうか。田村さんは、特別なことはしていないんですが、と前置きをした上で「しいて言えば、イチゴの苗の様子をよく見るようにしていることでしょうか」と言います。「イチゴ栽培は、苗づくりで8~9割決まります。病気や病害虫による被害を出さないことが大切。研修先の農家さんでも、毎日・毎朝同じ複数個所をよく観察して、何か変わったところがないか見なさいと教えてもらいました。それに加えて、ハウスの中も毎日一周見て回ります」。 田村さんは当たり前の日課と話しますが、その観察眼がポイント。坂東地域農業改良普及センターの担当者も、「手間ひまを惜しまず非常に細かく管理されています。ハウスの端の一株まで気にとめていて、普通なら見逃してしまうような害虫の発生初期に気づいてすぐ対策する等と素晴らしいです」と、田村さんの仕事に太鼓判をおします。 普及センターの協力も得ながら、一作目の失敗が肥料計画にあったと分析し改善した二作目は、酷暑の影響がありながらも田村さん自身も納得の出来栄え。茨城いちごグランプリでも、一作目の結果を上回る大賞受賞という結果を残すことができました。 「艶々とした美しい光沢に、ぷっくりと張りがあるものがおいしいいばらキッスの証」と田村さん。ひと口頬張れば、芳醇な香りとコクのある濃密な甘みを味わうことができます。
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農業未経験からのイチゴ栽培就農2年目と、まだまだ伸びしろの多い田村さん。今後の目標は「更なる質の向上」と話します。「どうしても、良い時と良くない時が出てしまいます。12月~5月の収穫期の間を通して、もっと良い状態で品質を維持して作れるようにしたいです」。 完熟のベストな状態でお客さんに届けられる直売スタイルにはこれからもこだわっていきたいといい、今後はPRも課題だとも話します。「現状、ほぼ手つかずの状態なので、Instagramなどを活用してよりたくさんの方に田村いちご園のことを知っていただけるようにしたいですね。規模拡大はまだまだ先の話ですが、その時には、やよいひめなど収穫時期の違う品種にもチャレンジしてみたいです」と話してくれました。
インフォメーション | |
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名称 | 田村いちご園 |
住所 | 茨城県坂東市大馬新田44 |
お問い合わせ |
TEL: 090-8014-1234
FAX: |
その他の情報 | ※このページの情報は、2025年3月時点のものです。 |
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