いばらきの食に挑戦する人たち
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岩崎農園 岩崎 宏幸さん(茨城町)
香り良し食味良しだが栽培が難しい品種
建築職から実家の農業を継いだ岩崎宏幸さん
ユウカメロンのハウス
茨城町に、続々と人が訪れる直売所があります。「岩崎農園」と書かれた看板を目印に中をのぞくと、納屋を活用した販売スペースにずらりと並ぶのは、すべて自家栽培の野菜や果物。初夏のこの日、特に注目を集めていたのが「ユウカメロン」です。 岩崎農園を営む岩崎宏幸さんに、お話を伺いました。現在、三代目を継ぐ宏幸さんは建設会社の親方職から一念発起して就農したといいます。「元々、祖父が水戸で農業をやっていたんですが、水戸市より茨城町へ移住してきたそうです。周囲には鉾田、旭のあたりから移住してきた人も多く、そんなご縁で”メロンを作ってみないか”と誘われて父がメロン栽培を始めました」と宏幸さん。50ハウス、1ヘクタールほどの面積でユウカメロンのほかオトメメロンなども栽培しており、5月中旬から6月中旬に出荷シーズンを迎えます。 ユウカメロンは1990年に発表された品種で、35年ほどの歴史があります。きめ細やかな肉質と独特の芳香があり、収穫期になると緑色から黄色に変化するのが特徴と言われます。さっぱりとしてくどくない甘さで食味の良い品種ですが、作りづらく棚持ちも良くない、ネット形成が繊細で色の出方にもバラツキがあるなどの課題もあり、生産者からは敬遠されがちなのだとか。 岩崎農園では、そんなユウカメロンの生みの親と言われる方から直接、栽培技術の教えを請う機会があり、長年作り続けてきました。ユウカメロンがやっと脚光を浴びるようになったのはここ5年ほど。希少な美味を求めて、多くの人が足を運んでいます。
ユウカメロンの栽培のポイント
岩崎農園直売所。ゆくゆくはリニューアルも考えていると宏幸さん
ユウカメロンは贈答品としても大好評
ユウカメロンの栽培のポイントについて、宏幸さんに伺いました。 「換気や水の管理は他のメロンと同様に気を遣うポイントですね。ハウスの開け閉めはいまだに感覚によるものが大きいです。それから、単収を上げるよりも安定した収量を確保したいので、土壌づくりなどもきちんと行って実ばかりを追うのではなく樹や根をしっかり作るように。農業改良普及センターはじめ、各所に協力をお願いしながらより良い状態を作っていきます。なので、もう準備段階でほぼほぼ出来が決まってしまいますね」。 また、ユウカメロンは収獲時期の見極めが難しいこともキーポイント。前述したとおりユウカメロンは食べごろになると外観の色がグリーンから黄色に変化するので見た目に分かりやすいのですが、「収穫適期を逃すとヘタ部分がとれてしまい商品価値が著しく低下する為、毎朝ハウス内をくまなく巡回し最適な物のみを収穫しています」と宏幸さん。
ユーザーに喜んでもらえる直売所へ
トウモロコシも好評。夏と秋の二期で販売
アイガモ農法で育てる特別栽培米
岩崎農園ではかれこれ20年以上直売スタイルで生産物を販売しており、今では地域の方を中心にリピーターに愛されています。 「長い年月の間、支えてくれるお客様がいてくれたから続けることができています。ユウカメロンも、地元の人のクチコミを中心に“あそこに美味しいメロンがあるよ”と広まって話題になりました」。 今では、茨城町のふるさと納税返礼品にも起用されるなど、地域の特産品としてのポジションを確立しています。 ユウカメロンのシーズンは例年6月初旬に盛りを迎えますが、それ以外の時期にも一年中、何かしらの作物を直売所に並べるようにしているのも岩崎農園のこだわりです。夏にはトマト、ナス、カボチャやスイカ、ブルーベリーにトウモロコシ。秋にはサツマイモや新米、冬はジャガイモやサトイモといった根菜類や白菜などが登場。直売所に何もないということがないように、年間を通して20~30品目ほどと多品目を栽培しており、毎年何かしら新しいものにもチャレンジしているのだそう。 特にアイガモ農法で育てる特別栽培米は、メロンと共に岩崎農園で人気を誇る二本柱です。田んぼでアイガモが泳いでいる姿を子どもたちが見に来たりすることもあるそうで、そういったところからも農業に興味関心を持ってもらえたらと宏幸さん。 「お客さんが喜ぶことで、付加価値を高めていきたいですね。なるべくコストも下げたいので、ハウスを建てるなど大半のことは自分でやりますよ」。 地域の担い手としてまい進する岩崎さんの活躍に、これからも注目してください。
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今後の目標として、法人化を見据えていると宏幸さん。「これから、子どもたちが農業を担っていくときのことを想像して、もっと効率的な働き方を構築したいと思っています。地域の生産者同士や、行政とのつながりも生かして、そのための人材育成のしくみづくりをしていきたいです」と話します。 また、経営強化を目指し海外との繋がりも模索しているところといい、今後の展開に期待です。 好評のユウカメロンについてはニーズに応えさらなる収量拡大も目指しており、田畑転換で20アールをメロンの圃場に切り替えたといいます。 「元々が水田なので、水分コントロールなど課題はまだまだありますがメリットもあるので今後も継続して取り組んでいきます」と意気込みます。
インフォメーション | |
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名称 | 岩崎農園 |
住所 | 茨城県東茨城郡茨城町大戸4144 |
お問い合わせ |
TEL: 029-292-1764
FAX: |
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