いばらきの食に挑戦する人たち
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株式会社カモスフィールド 横山 慎一さん(笠間市)
自然界の原理原則を再現した畑づくり
カモスフィールド設立メンバーのひとり横山さん
カモスフィールドの主要品目である小松菜
一般的に土壌中には数百万もの多様な微生物が生息していると言われています。そんな微生物の働きを最大限活かした「炭素循環農法」を実践しているのがここカモスフィールドです。有機農法の中でもさらに特殊な農法とされているこの農法。自然界の原理原則に則ったこの農法は森の土の中(林床)で起こっている現象を畑で再現することを目指します。そんな林床では倒木や落葉を微生物が分解。農薬も追肥もせずに植物が育まれ、虫たちと共存しています。この原理原則を畑に応用した農法が炭素循環農法と呼ばれるものです。 そんな炭素循環農法をベースに有機野菜を栽培しているカモスフィールド。自らの仕事を「微生物のお世話係」と話します。 「まだまだ現代科学で解明されていないことはたくさんあります。微生物が複雑に組み合わさった土壌環境を分析することはできませんが、現実としてこの農法は農薬や化学肥料を使う慣行農法よりも収穫量が上がり、病虫害が限りなく少なくなるんです」 と語るのは同社スタッフの横山慎一さん。 「実際、うちの畑にも虫はいるんです。小松菜の葉っぱの周辺を少しかじった痕跡はあるんですが、たくさん虫食いにあうということがあまりないですね。僕らはこれを虫の試食痕なんて呼んだりしています。虫が食べたところと食べられなかったところにどんな違いがあるのかは僕たちもはっきりとはわからないのですが、虫に食われたところを食べてみると確かに美味しくないと感じるんですよね。そもそも虫の消化管は単純な構造。だから青々としている健康な葉を食べて消化することはできないんです。人間にとってのごちそうは虫にとっては逆で、食べるとお腹をこわすんです。彼らも命がかかっているので、食べてお腹をこわすものは食べないですよね。」とその理由も添えてくれました。 まさに林床で起こっていることを畑に再現する。そんな農法をカモスフィールドでは実践しているのです。
炭素循環農法が縁で出会った三人
小松菜のビニールハウス
笠間市と常陸大宮市に圃場を構える同社。今回は常陸大宮市の圃場で取材
そんなカモスフィールドを運営する主要スタッフは3名。代表を務める大橋正義さんと、この取材に対応してくれた横山さん、照沼康生さんです。3人の出会いは炭素循環農法がきっかけでした。 それぞれ生まれも人生も別々の道を歩んでいた3人。同時期に農業に興味を持ち、たどり着いたのが炭素循環農法だったと言います。当時、全国で1,000人弱の農家が関心を示したというこの炭素循環農法。その勉強会に参加するうちに自然と出会い、「3人で一緒にこの農法で農園を立ち上げられたらいいねという話になりカモスフィールドをたちあげました」と話す横山さん。茨城で暮らす大橋さんの下に3人で集まりこの農園がスタートしました。 当初、1年目は全く収量が安定せず苦しい日々が続いたという横山さん。「肉食主義の人がいきなりヴィーガンになると体調を崩すように、畑もいきなり炭素循環農法に切り替えたことで不作が続いたんだと思います」と当時のことを振り返ります。慣行農業を行っていた土壌が有機栽培の土壌に入れ替わるまでに必要な準備期間が終えるまでは苦しい試行錯誤の厳しい日々が続きました。しかし、2年目から徐々に病害虫被害が減り始め、現在では慣行栽培よりも安定した収量を得ているといいます。 そして特筆なのは過剰な窒素分を与えないことで得られる食味の良さ。同社の野菜からはホウレン草や小松菜をたべた時に感じる口の中がキュッとするようなエグみをほとんど感じないのです。
微生物のお世話係の仕事とは…
露地栽培でほうれん草も生産
微生物と共に育てるカモスフィールド
そんな良いことだらけの炭素循環農法。実際にはどういった作業を行っているのでしょうか? 「土の中の微生物を増やし、働きやすい環境を整えるのがわたしたちの仕事だと思っています。そのために、まず『食のお世話』をします。『食のお世話』とは笠間のキノコ屋さんから譲り受けた廃菌床(オガクズと米ぬかなどが原料)を、微生物のエサとして畑に処方します。これだけではスムーズに食べてもらえないので、さらに『衣と住のお世話』をします。ビニールを敷くことで、微生物が活動しやすい湿度100%、温度50℃という環境を作り、入れたエサを一気に食べてもらいます。夏場でしたら、一緒にすきこんだ小松菜の残渣などは3日もすると全部分解されてしまいます。この処理を僕たちは『微生物爆上げ装置』と呼んでいます」と横山さん。 しかし、オガクズのような分解しづらいものをなぜすき込むのかを問うと「土の中の微生物にも多様性が必要なんです。いろいろな微生物が活躍しないと土の中の『村』が育たない。微生物の村が大きくなると、野菜を育てる栄養分を豊富に作れるようになり、野菜の品質や収量が上がります」とも話します。 社名にもなっている『醸す』。土を発酵させ微生物が活躍しやすい環境を整えてあげる。そこには自然の中で育まれた生物学的な知見がありました。人にとって有益な物質が生成される『発酵』という言葉がまさにぴったりな農場。それがここカモスフィールドにはありました。
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現在、同社では研究機関と共同で乳酸菌を取り込んだ野菜作りにも挑戦しています。「微生物を活かした炭素循環農法だから乳酸菌との相性も良いだろうという発想からはじめた取り組みなんですが、実際に分析してみると他の畑で採れた小松菜よりも小松菜の中にしっかりと乳酸菌が取り込まれているんです」と横山さん。乳酸菌入りの小松菜が販売される日も近そうです。 「もちろん農場ももっと大きくしたいと思っています」とさらなる拡大にも意欲的なコメント。さらにはこの炭素循環農法で茨城の名産品メロンや小玉スイカの栽培にもチャレンジしていると言います。 特に小玉スイカは年々収量を増やしていて2025年は400玉が収穫できたとか!2026年は1,000玉を目指して作付け予定と笑顔で近しい未来を語ってくれました。
| インフォメーション | |
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| 名称 | 株式会社カモスフィールド |
| 住所 | 茨城県笠間市本戸2295番地 |
| お問い合わせ |
TEL: 029-673-5787
FAX: 029-673-5787 |
| WEBサイトURL | https://kamosfield.com/ |
| その他の情報 | ※このページの情報は、2025年10月時点のものです。 |
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