PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

野口農園 野口嘉徳さん(つくばみらい市)

野口農園 野口嘉徳

年間を通じて10種を超えるトマトを生産

プチぷよは摘果して実の数を絞ることでひと粒に旨みを凝縮させます プチぷよは摘果して実の数を絞ることでひと粒に旨みを凝縮させます

日々の丁寧な手入れの積み重ねが野口さんの美味しいトマトを育てる秘訣 日々の丁寧な手入れの積み重ねが野口さんの美味しいトマトを育てる秘訣

 笑顔の絶えないトマト農家、野口農園の代表を務める野口嘉徳さん。父の代から続くトマト農家としてつくばみらい市でトマトを作り続けています。先代は大玉トマトを市場出荷していたといいますが、野口さんは15年前にJA 茨城みなみが運営する直売所「みらいっ娘」が誕生したことをきっかけに直売へと舵を切ります。現在は消費者に手軽に手に取ってもらえ、味の濃いミニトマトを中心にシフトしました。  中でも野口農園の看板品種といえば、皮が薄くとろけるような食感の「プチぷよ」。全体の1/4ほどを占めるこの「プチぷよ」を求めに直売所を訪れる人も少なくないのだとか。さらに、野口さんはそのほかにも甘みの強さが特徴の「華クイン」をはじめ、酸味の少ない「フルティカ」やパリッとした食感の「フラガール」など、多彩な味わいを楽しめるトマト作りを心掛けているといいます。 「直売だからお客さんが飽きないようにしないといけないし、他の人と同じ品種を作っていると価格競争になってしまう。皆がやっていない美味しい品種を作ることで無駄な競争をしなくていいし、お客さんにも満足してもらえます」と話す野口さん。そんな野口さんにトマト作りの秘訣を聞くと「なにか特別なことはしていないと思うんですが…」という答え。しかし、その答えの裏側には多くの農家が惜しむ手間を当たり前の作業として積み重ねている高い意識があります。

当たり前だと思うからこだわりがない

栽培への徹底したこだわりを感じさせず、飾らないのが野口さんの魅力 栽培への徹底したこだわりを感じさせず、飾らないのが野口さんの魅力

モニタリングによる環境管理で、常に最適な栽培環境を維持しています モニタリングによる環境管理で、常に最適な栽培環境を維持しています

 そんな野口農園のトマト栽培は7月の土作りから1年がはじまります。まずは、還元型太陽熱土壌消毒という手法を行い、土壌の中の微生物を急激に増やすことで酸素を消費させ病原菌が死滅。この土作りをしっかり行うことで1年を通じて元気なトマトを作れるようになるといいます。そして土づくりを終えたハウスからトマト苗を定植。そこから翌年6月まで段数を重ねてトマトを収穫していきます。「うちは無理やり高糖度にするようなことはしていないんです。トマトの糖度を上げるには『根』にストレスをかければいいんです。例えば根に与える水を極力減らしたり、肥料を過剰に与えたりすれば糖度は上がるんですが…。でも、そうすると収量も減る。収量が減れば当然ひと粒当たりの値段も上げなくちゃいけない。毎日とは言いませんが、普段の食卓に気軽にのせてもらえるトマトを作りたいと思っています。もちろん、その中でも味を濃くするための工夫はしています」と野口さん。  そのほかにも、野口さんは農業の基本は光合成にあると言い、光合成を活性化するための工夫も行うなど、取り組みは多岐にわたりますが「自分はデータより経験則」とも話します。 「きちんとデータをとってもっとこだわっている人は山ほどいます。温度が1℃変わったとか、二酸化炭素濃度が数%変わったとか、緻密に管理している人もたくさんいますから、それに比べればうちはこだわっていません」と笑いながら答える野口さん。しかし、そのこだわりをそうとは感じない、肩の力が抜けた「良い塩梅」の管理が毎日の食卓を彩るトマト作りのポイントなのかもしれません。

1日ひとりのリピーターを作る信頼のトマト作り

パリッとした食感の栽培2年目の新品種「ライムスイーツ」 パリッとした食感の栽培2年目の新品種「ライムスイーツ」

野口農園の直売所は11月から6月まで営業し、旬を求める人々で毎日賑わいます 野口農園の直売所は11月から6月まで営業し、旬を求める人々で毎日賑わいます

 野口農園のトマトは、農園併設の直売所のほか、直売方式へ舵を切ることになったきっかけとなったJA茨城みなみ農産物直売所「みらいっ娘」をはじめ、「夢とりで」等で販売。地元はもちろん県外の利用客からも好評を博している常磐道上り線パサール守谷併設の「守谷SAやさい村」でも手に入れることができます。  野口さんがトマトの販売にあたって大切にしていることは、できるだけ納品を欠かさないこと。「せっかくうちのトマトを目当てに来てくれたお客さんがいらっしゃっても商品がないんじゃダメですよね。もちろん、売り切れはしょうがないし、天候によっては難しいこともあるかもしれません。でも、それが何回も続いたら見限られてしまいます。うちは1日ひとりリピーターを作ることを目標に頑張っています。市場出荷の頃は、市場の関係者やバイヤーを見てトマトを作っていましたが、いまはトマトを実際に食べてくれる人を見てトマト作りをしています。だから味への評価はとても厳しい。それでもやりがいはあります」と野口さん。これからも新しい品種を試していきたいと語ります。  また、農園の直売所に彩りを添えるソラマメやブロッコリー、キュウリなど、トマト以外の野菜も少量ながら生産しているという野口さん。そんな直売所の魅力と美味しさに惚れ込んで都内からも足しげく通ってくれるお客さんも珍しくないのだとか。皆さんが次に直売所を訪れたときには、また新しい品種のトマトに出会えるかもしれません。

販売時期
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夢~さらなる挑戦~

 現在はJA茨城みなみ農産物直売所「みらいっ娘」直販部会の部会長を務める他、つくば地域農産物直売研究会にも積極的に参加。若手生産者のアグリ研究会の会長も務めるなど、地域農業の担い手として期待されています。そんな野口さんは、今後の展開を見据えて新たに協力できる仲間を探しているところだといいます。  より継続的な農業を続けるためにワークライフバランスも重要という観点から、しっかり稼げて、しっかり休める農業を目指していると野口さん。「トマト以外の作物にも挑戦してみたいと思うこともありますし、できるならハウスの面積ももっと増やしてもいいと思っています。そのためにも、営農のパートナーをぜひ見つけたいですね。頑張れば、その分だけ答えが返ってくるのが農業。より美味しい野菜を消費者の皆さんの直接届けたいです」と野口さんは語ります。

買えるお店
ファーマーズマーケット野口農園
住所: 茨城県つくばみらい市筒戸(詳細は”ファーマーズマーケット野口農園”で検索してください。)
JA茨城みなみ農産物直売所「みらいっ娘」
住所: 茨城県つくばみらい市上小目223-2
TEL: 0297-52-2020
JA茨城みなみ農産物直売所「夢とりで」
住所: 茨城県取手市桑原242-1
TEL: 0297-84-6661
常磐自動車道上り線Pasar守谷「守谷SAやさい村」
住所: 茨城県守谷市大柏166
TEL: 0297-47-8710
天然温泉きぬの湯
住所: 茨城県常総市内守谷町きぬの里1丁目5−6
TEL: 0297-20-3751
オンラインショップ
インフォメーション
名称 野口農園
住所 茨城県つくばみらい市筒戸921
お問い合わせ TEL: 0297-52-2238
FAX: 0297-52-2238
WEBサイトURL https://www.instagram.com/nogutoma
その他の情報 販売時期|9月~6月:トマト・7月~8月:キュウリ ※このページの情報は、2025年10月時点のものです。

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