いばらきの食に挑戦する人たち
柳田農園 柳田 栄一さん、浩一さん、和也さん(常総市)
柳田農園
柳田農園 柳田さん一家
柳田農園のトマト
柳田農園のいちご
県南西部に位置する常総市にある柳田農園は、濃厚な味わいの大玉・中玉トマトと完熟いちごが人気の農園です。 トマトの栽培・管理担当は、柳田栄一さんと次男の和也さん。いちごの栽培・管理担当は長男の浩一(ひろかず)さん。メインで作る作物を分担しながらも、手が空いた時にはお互いをフォローし家族全員で協力しあいながら栽培を行っています。 今回は、そんな柳田さん一家にお話しを伺いました。 柳田家は代々、トマトを中心に露地野菜などを栽培してきた農家。“柳田農園の顔”であるトマトは、昭和39年頃から栄一さんが、いちごの栽培は、栄一さんのお父様が始めたそうです。 柳田栄一さん 「東京オリンピックが開催された昭和39年当時、農作物をビニールハウスの中で作ることが全国的に普及し始めました。それで、私もハウス栽培をやってみようと始めました。常総市では、昔からいちご作りが盛んだったので、父親が“ふたば”や”ダナー”といった品種を作っていました。その後、いちご作りは小規模で行っていたのですが、父が亡くなってから浩一が引き継ぎました。」 現在、トマトは大玉を中心に、中玉、ミニトマトを栽培。いちごは、県オリジナル品種の“いばらキッス”をはじめ、とちおとめ、やよいひめを栽培しています。 特に柳田農園では、独自の栽培方法によって「味」にこだわったトマトづくりに励んでいます。
“水をかけない”独自の栽培によるトマトづくり
柳田農園のトマトハウス
柳田農園のトマト
柳田農園のトマトハウス内
柳田農園のトマトといちご
昭和54年頃からは、農家が作った作物を家の前などで販売する「直売」が全国的に普及し始めました。栄一さんも時代の流れに乗って、それまで全て市場出荷していたトマトや野菜を少しずつ直売するようになったそうです。 栄一さん 「直売を始めてから、お客さんから直接トマトの味の感想を聞くことができるようになりました。直売のお客さんははっきりしていて、味がよければ買ってくれるし、味がよくないと買ってくれない。どうやったら買ってもらえる味のトマトが作れるか研究しはじめました。それで辿り着いたのが、“水をかけない栽培方法”でした。ハウスにトマトの苗を定植してから10日間くらいは水をやるのですが、あとは水を一切かけないんです。」 浩一さん 「水をかけずに育てたトマトは、実のひとつひとつが力強くて、実が締まっていて味が濃い。フルーツトマトのようなトマトになるんです。ただ、そういうトマトはゆっくり育つので、量が取れないのが欠点ですね。水をかければ早く実が大きくなり、収量は増えますから、毎年定植後は『今年は少し水をかけようか』と葛藤します(笑)。」 栄一さん 「お客さんは、水をかけない栽培方法で育てたトマトはすぐに分かるんですよ。それくらい極端に味が変わるので、この栽培方法にはこだわり続けたいと思います。」 和也さん 「お客さんに“おいしい”と言っていただけるのが一番の結果です。味にはこだわり続けていきたいですね。」 水をかけない栽培方法は、“手間がかからない”と思うと大間違い。常にトマトの樹を見回りながら、選定作業やビニールハウスの開け閉めをして温度管理などを行うそうです。「父は、一年中休み無しでとにかく朝から夜までハウスにいますね。」と浩一さん。栄一さんは、「ハウスは一応自動開閉式なんですが、微妙な気温の変化もあるので、機械に任せきりにはできません。毎日足を運んでいればトマトの微妙な変化にも気づき、対策が打てるので。」と笑います。 「父はトマト作りに熱心で、先々のことを考えながら仕事をしています。知識、仕事に対しての姿勢など、またまだ学ぶことがたくさんあると感じます。」と和也さんは語ります。
「味」にこだわり完熟で販売
柳田農園 柳田浩一さん
柳田農園のトマト
柳田農園のいちご
水をかけないトマト栽培において、欠かせないのが栄養豊富な土作り。柳田さんは、植物性・動物性を合わせた有機質肥料に加えて、アミノ酸や酵素などを取り入れた土作りを行っています。 栄一さん 「濃厚で実の締まったトマトを作るには、トマトが根をしっかり張れる良い土を作ることが条件です。毎年夏には、土作りを行う下準備として土全体を太陽熱で“消毒”しています。」 浩一さん 「いちごの栽培も、土は基本的にトマトと同じ土を使っています。また、極力農薬は使用せず、天敵昆虫を使用して栽培しています。」 和也さん 「トマトの木が育ってきたら、これも父の教えなのですが、基本に忠実に温度管理をして、子どもを育てるように、あまり縛りすぎず、出来るだけ自然にのびのび育てるように心がけています。」 柳田家自慢の土からできるトマトといちごは、ヘタの元まで真っ赤に熟した完熟状態で販売することにこだわっているそうです。
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浩一さん 「おいしいものを作りたい。そしてお客さんに喜んでもらいたいと常に思いながら作っています。」 和也さん 「基本を守り、地域をはじめ、多くの人に、美味しいと言ってもらえるように、永くいいものを作り続けていけたらと思います。」 栄一さん 「おかげ様でトマトはほとんど直売で売り切れているので、次はいちごを全部直売で完売できるようになりたいですね。」 柳田農園は、平成20年頃から筑波大学の農業サークルの学生と連携して繁忙期の農作業を行っています。「若い人達と働くことに喜びを感じている」という浩一さん。こうした若い力が柳田農園に就農できるよう、「ゆくゆくは法人化を考えている」のだと語ってくれました。
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