いばらきの食に挑戦する人たち
畑のいちご うさみ園 宇佐見 達夫さん(鉾田市)
「いちご狩り」から「直売」へ
うさみ園外観
うさみ園のやよいひめ
うさみ園選別作業場
茨城県の東部、鉾田市にある「うさみ園」では、大玉でジューシーな“やよいひめ”を栽培し販売しています。 うさみ園の“やよいひめ”は、昨年開催された「第5回 茨城いちごグランプリ(一般の部)」で最高評価の大賞を受賞しました。 今回は、そんな「うさみ園」の宇佐見 達夫さんにお話しをお伺いしました。 元々、家族で「いちご狩り農園」を開設していた宇佐見さん一家ですが、「お客様に、色々な品種のいちごを食べ比べて欲しい」と、様々な品種のいちごを栽培していました。そんななかで、2005年に品種登録された“やよいひめ”のおいしさ、糖度と酸味のバランスの良さに惚れ込み、この地域でいち早く同品種の栽培を開始しました。 「祖父と父の代までは、6品種くらい栽培していたと思います。そのなかで、お客様に非常に好評だったのが“やよいひめ”でした。甘くてジューシーなうえに大玉で見栄えも良い。そして比較的病害虫などに強く、作りやすいのも魅力でした。今では、うさみ園を代表するいちごです。」と宇佐見さん。現在、うさみ園で栽培する品種は“やよいひめ”のみ。「“うさみ園”と言ったら“やよいひめ”!と言ってもらえるように、頑張って行きたいと思っています。」 父から経営を受け継いだ宇佐見さんは、東日本大震災後に「いちご狩り農園」は辞め、園内に直売所「畑のいちご うさみ園」を立ち上げました。
うさみ園入口
大賞受賞シール
「直売を始めた頃に、鉾田市内の村田農園(※)の村田和寿さんとお話する機会があったのですが、村田さんの“生産者がいいものを作り、いいものをきちんと評価してくれる人に直に売る”というスタイルに、大きな影響を受けました。 例えばいちごの箱やラッピングも、村田さんの影響を受けてオリジナルのデザインを制作しました。村田さんに比べれば、まだまだ足元にも及びませんが、“自分で作ったいちごを自分でブランド化していく”という、良い手本を見せていただいています。」と宇佐見さん。 いちごグランプリで大賞を受賞した時も、「この受賞を、活かすも殺すも自分次第」と決意を新たにしたという宇佐見さん。受賞後は、直売所の入口に“大賞受賞”の横断幕を張ったり、いちごのパッケージにシールを貼ったりするなど、“大賞受賞農園”としてのPRを続けています。 ※村田農園…鉾田市にあるいちご農園。“村田さん家のいちご”は、銀座千疋屋をはじめ、県内の料亭や都内一流ホテルのパティシエ達がその味に惚れ込み、高い評価を得ている。
畑のいちご
うさみ園のやよいひめ
宇佐見達夫さん
うさみ園のいちご箱
うさみ園のキャッチコピーは『畑のいちご』です。「“当たり前でしょ?!”って思われるでしょうけれど。実は、北関東一円でいちご栽培が盛んになったのは、冬の農閑期対策、米づくりの裏作が背景にあります。もともと田んぼだった土地を畑に変えて、いちごを栽培しているところも多くありますが、うさみ園は先祖代々の畑作農家なので、あえて“畑のいちご”と入れています。田んぼで作ったいちごと畑で作ったいちごの味を比べると、畑で作ったいちごは、味が濃いと感じます。」と宇佐見さん。 また、「おいしくて健康ないちごを作るためには、やはり土の力が一番大切です。」と語ります。土にステビア(キク科の植物)のパウダーを入れ、土の中の微生物を増やして病害虫への抵抗力を高める「ステビア栽培」をはじめ、畑に計器を設置して、温度、湿度、太陽の照度、二酸化炭素濃度などのデータを収集し、常にいちごが喜ぶ環境を整える「環境制御」等、さまざまな栽培技術を積極的に取り入れています。 うさみ園のいちごは、大玉でツヤツヤ。一口食べるととても甘く、ジューシーで、爽やかな香りが口いっぱいに広がります。宇佐見さんには、『自分が納得した味しか直売しない』というこだわりがあります。 「いちごは、約半年間という長期間栽培できる果物なので、味はどうしても天候に左右されてしまいます。特に“やよいひめ”は、天候によって味が変わりやすいので、納得できる味の時しか直売はしません。“前買った時と味が違う”など、味のバラツキによって評判を落としたくないんです。」また、直売所には必ず試食を置き、味を確認してもらってから購入してもらうとともに、お客様が自由に商品を選べるよう、なるべく店舗に立つことは控えているそうです。 宇佐見さん曰く、「晴れが続いた次の日のいちごは美味しい」そうなので、いちごを買いに行く時は、前の天気をチェックしてみてください。
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昨年発表された、2015年の市町村別農業産出額の「野菜部門」、「イモ類部門」において、鉾田市は全国一位に輝きました。これを受けて、宇佐見さんは言います。「鉾田市の自然環境は農業に適していて、まさに“農業のマチ”です。この環境のお陰で良い作物が沢山できているし、農業者の技術も向上しています。そんななかで、今後の夢は、おいしいいちご作りを追究していくことはもちろん、子供達に農業の魅力を伝えていきたいと思っています。“農業って凄いんだよ”ということを子供達に知ってもらい、地域全体を元気にできるような活動を行っていけたら、と思っています。」と笑顔で語ってくれました。
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