いばらきの食に挑戦する人たち
(有)横田農場 横田 修一さん(龍ケ崎市)
天皇杯受賞 (有)横田農場
横田農場 横田 修一さん
横田農場の田んぼ
横田農場 乾燥・貯蔵施設
横田農場 稲刈りの様子
(有)横田農場は、寿永元年(1180年)から続く、歴史ある米農家です。代表の横田修一さんは、茨城大学農学部で農業経営を学び、卒業後は平成8年に父が法人化した同農場に就農しました。 平成10年当時の横田農場の生産農地は20ヘクタールでしたが、平成30年現在は、142ヘクタール・380枚の田んぼとなっています。現在の社員数は18名。そのうち、お米の生産に携わる社員は8名です。横田さんは、広大な農地を少ない人数で効率的に経営していくために、①農地を点在させることなく集約して効率的な生産を行う、②多品種を組み合わせて、田植え及び収穫時期をずらして栽培する、などの取り組みを行っています。 横田さん 「142ヘクタールというのは、私の入社当時からすると7倍ですが、決して計画的に増やしたわけではなく、結果的にそうなってしまったんです。私はお米作りを始めてまだ20年です。つまりまだ20回しか経験が無い。うちの近隣(龍ケ崎市塗戸地区)の米農家は、70~80歳の方達も多く、大先輩達ばかり。そんな方達を心から尊敬しています。そういった思いを持ちながら仕事をしていたら、『引退後は横田君に任せたい』と言ってくださる方がいて、それがどんどん増えて、現在に至ります」 (有)横田農場で生産しているお米は、一番星、あきたこまち、コシヒカリ、ミルキークイーン、ゆめひたち、マンゲツモチなど。生産する9割をスーパーや飲食店へ販売する他、ホームページなどを通じて消費者に直接販売しています。「震災後、風評被害でホームページを通して買っていただいていたお客様は、9割減りました。でも1割は残ってくれた。この1割の人達は何で買ってくれるんだろうと聞いてみると、“検査もしっかりしているし、信頼している”“横田さんのお米がほしい”“頑張ってほしい”などといった声がありました。つまり、うちのファンでいてくれている方達だったんです。こういう方達と真摯に向き合いながら、信頼や応援に応えられるお米作りをしていこうと改めて思えた出来事でした」と横田さん。『横田農場のファン』の存在を再認識し、応援に応えるため、横田さんは、お客様のどんなニーズにも応えられるよう、品種や栽培方法の違うお米を生産する体制を整えるようになりました。 (有)横田農場のこうした取り組みは、農林水産祭中央審査委員会で高く評価され、平成25年には『第52回農林水産祭 農産部門』において、「天皇杯」を受賞しました。
丁寧なお米づくり
横田農場 草取りの様子
横田農場 草取りの様子
(有)横田農場のコンセプトは、“「おいしくて、安全で、求めやすいお米」を直接消費者へ”です。平成10年からは、他の米との差別化を図るために、特別栽培(極力、農薬と化学肥料を使用しない栽培方法)及び有機栽培(農薬と化学肥料を使用しない栽培方法)を始めました。 「現在のうちのお米のほとんどは、特別栽培レベルです。肥料は、県内の養鶏場の鶏糞肥料(ペレット)を100%使っています。農薬は、田んぼの状況を見ながら、必要と判断した場合にのみ必要なだけ使っています。」と横田さん。 さらに、驚くことに、これだけの農地を持ちながらも、田んぼにほぼ毎日社員が入り、人の手で草取りを行っているそうです。「完璧にはできませんが、できる限りやっていますね」と横田さん。これは、「田んぼを丁寧に手入れしてこそ、おいしいお米ができる」という横田さんの父母の代からのこだわりなのだそうで、取材したこの日も、一列一列丁寧に草取りを行うお母様と社員の方々の姿がありました。
横田農場の米粉スイーツ3種
横田農場のケーキ屋さん
ケーキ作り風景
田んぼの学校
横田農場の田んぼ
田んぼの学校の様子
横田さんは、地元の小学生や地域住民、スーパーなどの顧客を対象として、田植え体験や稲刈り体験などを行う「田んぼの学校」を開校しています。 横田さん 「これも妻の一言から始めたのですが、近くに田んぼの無い団地で育った妻は、田んぼの自然、田んぼに生息する生き物や、泥んこになって行う田植えは“おもしろい!これが体験できたら、きっとたくさんの人が喜ぶ”と言うのです。この風景が当たり前の環境で育った私には、何が面白いのか半信半疑で「田んぼの学校」を開校してみたのですが、申し込みが即日終了になってしまうほどの反響をいただいて、私自身とても驚きました。私には当たり前でも、身近に田畑が無い環境で生活する大人や子供達は、お米がどうやってできるかはもちろん、自然に生息するカエルやメダカ、ザリガニなんかも、ほとんど見る機会が無いんですよね。体験いただいた方達には、それまでは想像もしなかったものでも、実際に体験することで、思い出になり、延いては、お米への思いも変わっていくと感じているので、この体験を続けていこうと思います」 「田んぼの学校」は、年間を通じて約1000名の参加があることから、横田農場のお米づくりの貴重な戦力にもなっています。
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横田さんは、大規模稲作経営の経営管理の高度化を図るために、研究者と農業経営者が共に最適な技術開発等を進める「農匠ナビ株式会社」の代表を務め、ITを使った農作業の効率化、新技術開発などの研究を進めています。 横田さん 「高齢化が進むにつれ、水田農業は今までとは全く違うフェーズになると思います。私が入社した20年前が20ヘクタールで、今が7倍の142ヘクタール。20年後が今の7倍とすると1000ヘクタールの規模になる可能性もあります。 集約した1000ヘクタールの農地で米を作っている会社は、実は日本には未だ前例が無く、誰も見たことのない世界に入ることになります。その時がきたら、そこでどういう風に米を作って行くか、どういう風に売っていくか、きっとこれまでとは全然違うことをやらないと対応できません。大規模な農地で丁寧なお米づくりを続けるために、「農匠ナビ」などの会社を使って、研究者と一緒に技術面の開発も進めていますし、今後は大手企業などとの取引も視野に入れています。」 横田農場には、巨大な乾燥機が6台入った、乾燥・貯蔵施設があります。それでも、1000ヘクタール分の米の乾燥を行うにはまだ足りないとのこと。「将来の乾燥貯蔵設備をどうするか、実需・流通も巻き込んで考えたい」と語ってくれました。
インフォメーション | |
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名称 | (有) 横田農場 |
住所 | 茨城県龍ケ崎市塗戸町2047 |
お問い合わせ |
TEL: 0297-64-5813
FAX: 0297-64-9743 |
WEBサイトURL | https://www.yokotanojo.co.jp/ |
その他の情報 | ※この情報は2018年7月時点のものです。 |
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