いばらきの食に挑戦する人たち
ななかいの里生産研究部会 古滝 初男(城里町)
ななかいの里コシヒカリ
「ななかいの里コシヒカリ」生産圃場には、「いばらきエコ農産物」の看板が立ててあります。
「ななかいの里コシヒカリ」は、平成23年の「お米日本一コンテストinしずおか」で生産者2名が最優秀賞、優良賞を受賞し、以降も同コンテストや他のコンテストなどで常に上位に入賞するなど、その味が全国的に認められているお米です。 生産地域は、茨城県の北西部に位置する城里町の旧七会村。旧七会村は、蛍が生息するほどの清流「藤井川」が東西に流れ、標高200メートル前後の丘陵地帯にあり、美しい自然が残る中山間地です。生産を行うのは、「ななかいの里生産研究部会」(H30時点部会員22名)。今回は、同部会の会長を務める古滝初男さんに、おいしいお米作りの秘訣を伺いました。 同部会は、“農薬と化学肥料を減らし、消費者が安心して食べられるお米を生産すること”を責務と感じた七会村の有志15名で、平成7年に(当時は「七会やまびこ米生産研究会」。のちに現部会名に改名)発足しました。 「部会の発起人である飯村さんが、稲作業と畜産業の両方をやっていたので、会のお米は飯村さんの農場の豚や牛の糞から作った“たい肥”(現在は有機質の肥料を使用)を使い、種もみの消毒は、農薬を使用せずにお湯に浸して消毒を行う『温湯消毒』も行って始まったのがきっかけです」と古滝さん。消費者の信頼を裏切らないために、「食味値79以下のお米は『ななかいの里』の名を付けない」と部会で厳しく取り決めています。 販売先は、当時飯村さんが畜産の関係で取引きしていた株式会社ライスミルに決定しました。「ライスミルの担当者が“食味計(※)”を持って計ったところ、私たちのお米の食味値は85~86だった。『こういううまい米ならいくらでも買う』と言ってくれました。当時のライスミルは大手商社の子会社だったので販売先は全国各地にあり、販売先が決定したことで安心して生産に取り組むことができました。」と古滝さんは言います。 部会のこうした取り組みは、平成10年の「茨城県環境保全型農業推進コンクール」で優秀賞を受賞。さらに平成13年には、化学肥料や農薬を慣行農業の半分以下に削減した農産物に与えられる「減化学肥料栽培農産物」の認証を、平成21年には「茨城県特別栽培農産物・エコ農産物」の認証を受けました。 ※食味計とは…「アミロース」、「タンパク質」、「水分」それぞれの含有率を計測する機器。それらの合計を「食味値」(美味しさ)として100を満点として表示する。
何よりも「食味」を重視した栽培方法
食味値を計った記録は全てファイルに残してあります。
収穫直前の圃場は、地割れが見てわかるほどしっかりと水が切れている様子が見られます。
『いい土、いい水、寒暖ある気候、私たちはこの恵まれた自然を一番の味方に、いっそうの美味しさを追求しました。』これは、「ななかいの里生産研究部会」のキャッチコピーです。 「私たちは、『食味値90を目標とした栽培』を行っています。そのために何よりもこだわっているのが、水の管理です。食味値は、タンパク質の含有量が低いほど高くなります。タンパク質は“窒素”を含むため、収穫時期にお米にいかに“窒素”を残さないかがカギになります。そのためには、田んぼの水をしっかりと切ること。私たちは、通常の倍の期間、もしくはそれ以上に、田んぼに水を入れません。稲をいじめて余計な養分を取り込ませないようにするんです。」それを目で確認できる方法が『葉の色』を見ることなのだとか。古滝さん達部会のメンバーは、葉の色を数値で表示する機器“スパット”を使って色を計測し、田んぼの水の切れ具合を確認しながら栽培に取り組んでいます。 8月の末、稲刈り直前の古滝さんの田んぼを見せていただくと、黄金色の稲穂が頭を垂れ、土は地割れが見てわかるほどしっかりと水が切れている様子が見られました。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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「ななかいの里コシヒカリ」は、「お米日本一コンテストinしずおか」や「すしコンテスト 国際大会」などで最優秀賞を受賞しているほか、こうしたコンテストで毎年上位入賞者を輩出しています。取材させていただいた日も、古滝さんはコンテスト出品の準備を整えていました。 「自分達では“うまい”と思っているお米ですが、全国的なコンテストで受賞できたことで、私たちのお米は全国に通用するんだ、栽培方法に間違いはない、という裏付けが取れたことが嬉しいですね。しかし、いくら受賞したお米でも、“ななかいの里コシヒカリ”の知名度は、まだまだ低いのが現状です。知名度を上げるためにも、まずはここに来てもらおうと、ホタル観賞会や稲刈り体験などを開催しています。また、これからは、“コシヒカリ”にこだわらず、“ふくまる”など別の品種を我々の栽培方法で作ってみたいと考えています」と古滝さん。「ななかいの里」の挑戦はまだまだ続きます。
インフォメーション | |
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名称 | JA常陸 笠間地区営農経済センター ななかいの里生産研究部会 |
住所 | 茨城県笠間市飯合146 |
お問い合わせ |
TEL: 0296-74-4700
FAX: |
その他の情報 | ※この情報は、平成30年9月時点のものです。 |
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