PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

スタッフがブランド! 株式会社 塚原牧場 塚原 昇さん(境町)

スタッフがブランド! 株式会社 塚原牧場 塚原 昇

日本国内に100頭しかいない、幻の最高級豚肉「梅山豚」

「梅山豚」との出会い

塚原牧場 代表取締役 塚原 昇さん 塚原牧場 代表取締役 塚原 昇さん

「梅山豚」純血種の親子 「梅山豚」純血種の親子

梅山豚ロース 梅山豚ロース

 県西部、境町にある「塚原牧場」。二代目の塚原 昇さんは、日本国内に100頭ほどしかいない最高級豚の原種「梅山豚(メイシャントン)」の生産を行っています。  「梅山豚」は、味わいにコクがあり、肉汁がジューシーでサシと呼ばれる脂の部分が多く、脂に甘みがあるのが特徴で、その希少性とブランド力の高さから『国内最高級の豚肉』といわれるほどのブランドの地位を確立しています。  「梅山豚」は中国が原産で、“世界で一番赤ちゃんを産む豚”であることから「富の象徴」としてかつてパンダとともに中国政府からの贈答品として贈られたことがきっかけで日本に輸入されはじめました。同時に日本国内の養豚家たちが「梅山豚」の生産に取り組みました。しかし塚原さんは独自に中国に何度も渡り、直輸入に成功しました。  「普通の豚が約10頭産むところ、梅山豚は約17頭産みます。確かに赤ちゃんを沢山産んでくれるのですが、全て未熟児で生まれてくるんです。ですから普通の豚の赤ちゃんと同様に育ててしまうと、ほとんどが死んでしまう。これに全国の養豚家たちは見切りをつけて、生産を止めてしまったんですね。その後、中国政府は梅山豚を輸出禁止品目に指定したので、現在日本で飼育されている梅山豚は、私共と農林水産省を合わせて90頭前後です。私たちは純血種の“梅山豚”と“デュロック”という品種を掛け合わせた梅山豚を年間1000頭程度、純血種を年間約50頭程度を生産しています」と塚原さん。  生存率が低く、育てるのが非常に難しい「梅山豚」をどのようにして育て、一流ブランドへと導いていったのか、その秘密に迫ります。

自給飼料100%の強み

自社のとうもろこし畑 自社のとうもろこし畑

自給飼料の一部 自給飼料の一部

飼料製造工場内。米やとうもろこし等の保管庫でもある。 飼料製造工場内。米やとうもろこし等の保管庫でもある。

指を指しているのはパスタの欠片 指を指しているのはパスタの欠片

茶葉ともみ殻等を合わせた敷き材 茶葉ともみ殻等を合わせた敷き材

 豚肉の味は、育て方はもちろんのこと、餌(飼料)で決まるともいわれています。塚原牧場では、飼料用の米やパンやパスタ等食品由来のリサイクル飼料を活用し、100%自給飼料を給与しています。さらに平成27年からは、子実用とうもろこし等の国産の濃厚飼料(※)を自ら生産・給与する取り組みを開始し、長年の夢だったという飼料製造工場を建てました。  「うちは輸入コーンなどの濃厚飼料は一切与えません。全て、由来物を把握した食品由来のリサイクル飼料なんです。自社で生産した飼料米や子実とうもろこし等の濃厚飼料を作るのが夢だったので、それが実現してさらに工場も建てることができてとても嬉しいです」  しかし塚原さんがここまで来るには、飼料設計も含めて大変な時間がかかったそうです。「本当に時間がかかりました。でもお陰で今は餌の約50%を国産にすることができました」と感慨深げに語ります。  自給飼料100%のおかげで餌のコストを低減できているそうで、今後は国産率100%の飼料を目指したいと言います。  さらに塚原牧場では、自給飼料事業を含めた「畜産クラスター(※)」に取り組み、梅山豚の下に敷く敷材も、使用済みの茶葉と籾殻等を混ぜ合わせたオリジナルの敷材を敷いています。  「これが糞と尿と混ざって良い肥料になるんですよ」と塚原さん。  敷材は4日毎に全て新しいものに交換され、肥料として自社トウモロコシ畑で使用するほか、近隣地域の農家の肥料としても使用されています。 (※)濃厚飼料…デンプンやタンパク質含量が高い餌のこと。 (※)畜産クラスター…畜産農家をはじめ、地域の関係事業者が連携・結集し、地域ぐるみで高収益型の畜産を実現するための体制のこと。:引用 農林水産省HP

ブランド確立への歩み

塚原牧場の豚舎 塚原牧場の豚舎

“デュロック種”と掛け合わせた梅山豚 “デュロック種”と掛け合わせた梅山豚

梅山豚の赤ちゃん 梅山豚の赤ちゃん

数多くの有名レストランで使用されています。 数多くの有名レストランで使用されています。

 「誰もやったことがないようなことをやりたくなる性分なんです」自らをそう分析する塚原さん。 梅山豚の生産に本気で取り組みはじめたのも、その性分からだと語ります。  「最初は半分以上死んでしまいました。なぜ死んでしまったのかを考えて、梅山豚の身体のサイズに合わせた分娩場所をオーダーメイドで作りました。また、おっぱいの飲み漏れがないように、赤ちゃんを2チームに分けて人の手で交互に飲ませています。分娩舎の室温は常に20度に保ち、肥育舎は自然光と風が入るように設計しています。生産技術は現在も模索中ですが、そういう細かなことの積み重ねで、最近は死んでしまう数を2割程度まで抑えられるようになりました」と語ります。    販売方法についても、全て自分で売る、直売というスタイルを貫いています。  「一般的な豚の飼育期間は5~6ヶ月間ですが、梅山豚はデュロックと掛け合わせで10ヶ月、純血種は12ヶ月以上必要なんです。時間は味に比例するので、じっくり育てるほうが美味しくなるのは間違いないのですが、育てるのが難しいうえに育つまでにこれだけの時間がかかるとなると、普通に市場に出荷する形の販売方法では経営していけません。それに見合った価格で直売するしかないと思ったんです」  塚原さんは、首都圏の百貨店を中心に一軒一軒営業に周り、徐々に取扱い店舗を増やしていきました。今では、首都圏のほとんどの百貨店が取り扱っているほか、ミシュランで三ツ星を取るようなレストランでも扱われ、全国から名だたるシェフが視察に訪れるなど、非常に高い評価を受けています。

販売時期
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夢~さらなる挑戦~

 「梅山豚」は今や「薩摩の黒豚」をしのぐ最高級豚肉の代名詞ともいわれるほどブランドの価値を上げ、都内の高級レストランでは数万円の値がつくほどのコース料理のメインディッシュになっています。しかし塚原さんは言います。  「『梅山豚凄いね』とよく言われるのですが、私は「梅山豚」が凄いんじゃない、「梅山豚を育てられる技術のある私たちが凄いんだ。プライドを持とう」と社員達には言っているんです。もし梅山豚がいなくなっても、俺たちなら何でもできる、だってこれだけ難しい梅山豚を育てることが出来たんだから。豚じゃなくてスタッフがブランドなんです」  「ブランドを立ち上げるということは、ファン作りをすることだと私は思っているんです。もちろん味がおいしいことは大前提です。ですが、おいしいだけではお客様は買ってはくれません。餌の原料や豚の育て方、スタッフの電話の受け方や、配送する時の伝票の貼り方、こと細かなところまで全てをキチンと丁寧にできてはじめて“ブランド”となり、それを理解して応援してくれる人がファンだと思うんです。うちはお陰さまで沢山のファンの方々が応援してくれていますが、今後もチャレンジを続けてもっとファンを増やしたいですね。今の夢は、ヨーロッパの養豚場によくあるようなスタイルで、自分で作った餌100%で、その豚肉を100%使ったレストランをやりたい」と目を輝かせます。  塚原さんは、夢の第一歩として「梅山豚」を使ったメンチカツ等を販売する「つかはら肉店」を塚原牧場のほど近くにオープンしました。  困難に立ち向かい、夢を追い続け、夢の実現に向かって着実に歩みを進める塚原さんに、今後も目が離せません。

買えるお店
塚原牧場ネットショップ
道の駅さかい
住所: 茨城県猿島郡境町1341-1
TEL: 0280-87-5011
オンラインショップ
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インフォメーション
名称 株式会社 塚原牧場
住所 茨城県猿島郡境町2170-1
お問い合わせ TEL: 0280-81-3729(代)
FAX: 0280-81-3329
WEBサイトURL http://www.meishanton.com/

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