いばらきの食に挑戦する人たち
「安心」と「おいしさ」にこだわるメロン作り 石川 峯男(茨城町)
「ひぬまの恵み 愛ちゃんメロン」
愛ちゃんメロン(アンデス・レノン)
「茨城町メロン部会こだわり研究部」のみなさん
「ひぬまの恵み 愛ちゃんメロン」(以降:愛ちゃんメロン)は、県中央部に位置する茨城町の「JA水戸 茨城町メロン部会こだわり研究部」が生産するメロンのブランド名です。茨城町メロン部会の45名(令和元年6月時点)のうち、11名がこだわり研究部に所属し、「愛ちゃんメロン」の生産を行っています。 「愛ちゃんメロン」は、糖度16度以上を目標においしさ(食味)にこだわり、農薬と化学肥料を通常の半分以下に減らして栽培されたメロンのことで、この取り組みから愛ちゃんメロンは『茨城県特別栽培農産物(※)』の認証を受けています。 栽培品種は、茨城県オリジナル品種の「イバラキング」、赤肉の「レノン」、青肉の「アンデス」の3品種。これらがこだわり研究部の農法によって栽培されることで『愛ちゃんメロン』となり、高付加価値販売に取り組んでいます。 ※特別栽培農産物とは…茨城県の慣行レベルに比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分が50%以下で栽培された農産物を『特別栽培農産物』として茨城県が認証する制度。
「中嶋農法」
「葉や茎、樹の状態をとにかく丁寧に見廻ることが良いメロン作りの秘訣」と石川さん
愛ちゃんメロン(アンデス)
こだわり研究部部長の石川 峯男さんは、メロン作り歴45年のエキスパート。1haを超える広大な農地には約80棟ものビニールハウスがあり、メロンを主軸に、トマト、アスパラ等を生産しています。 県内全域でメロンの生産が飽和状態だった平成11年頃、「なんとか他産地との差別化を図れないか」と辿り着いたのが「中嶋農法」でした。 「中嶋農法は、“健全な土壌づくり”と“生育コントロール”を基本とした技術で栽培を行う農法で、創始者の中嶋常允さんが熊本の樹齢700年の樹をこの農法で蘇らせたことから始まり、この農法を農業に用いたことで作物の品質が格段に上がったという事例が数多くあり、この農法に賭けてみたいと思いました」と石川さん。 それから石川さんを含めた茨城町メロン部会内の有志で、中嶋農法を取り入れたメロン栽培を行う「こだわり研究部」を平成12年に発足しました。
愛ちゃんメロン(イバラキング)
「まず夏にビニールハウスを密閉して太陽熱による土壌の消毒をして悪い菌を無くし、良い菌を残します。そのあと個々の土壌検査を行い、分析・施肥設計を茨城生科研にしてもらい、均一の有機質肥料、たい肥を入れた土作りをして、12月から1月に苗を定植(苗を植える)するんです。」 こうしてできたメロンは、糖度16度以上と驚くほど高糖度(通常のメロンの糖度は14度前後)でした。さらに、この農法を用いたことで、農薬の使用量が大幅に減ったため、「特別栽培農産物」の認証を受けることができた、と石川さんは言います。特に「愛ちゃんメロン」の「イバラキング」は、通常のイバラキングに比べて糖度が3度程度高い18度との分析結果が出ており、中嶋農法とイバラキングの相性の良さが立証できたそう。 「イバラキングは、玉が肥大しやすく木も太くなりにくいのでアンデスと比べて作り方が難しい。でもお客さんから『おいしい』と評判なので、やりがいはあります」と石川さん。甘さと、安全性を兼ね備えたおいしいメロンが「愛ちゃんメロン」なのです。
「換気」が一番大事
換気は全て手作業で行う
研修生たちと石川さん
「メロンは天候に非常に左右される作物です。」と石川さん。 「メロン栽培は冬期に定植し、ビニールハウスを3重、4重にして温度を管理していきます。特に定植してから2~3ヶ月間は、天候によっては1日に何度もハウスの開け閉めをします。ハウスは約80棟ありますから、ひとつのハウスが3重だとして両脇で6箇所作業しなければなりません。重労働ですが、この換気を怠ると良いメロンはできないと断言できます。うちでは、タイと中国から研修生が4人来てくれているので、彼らの力が無ければ到底栽培はできないですね。」 研修生達は慣れてくると「閉めた方がいいんじゃないですか?」などと率先して仕事を行ってくれるといい、「この子たちがいなければ、茨城の農業は成り立たない」と言います。
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石川さんに、今後の展望をお聞きすると、「『安心』と『おいしさ』を追究しつづけていきたいですね。そして、『愛ちゃんメロン』がどういうメロンであるかをひとりでも多くの方に知ってもらい、消費者の皆さんが待っててくれるような存在になったら最高です。あとは、消費者に安心と美味しさを届けたいという同じ志を持った生産者がもっと増えたらと思っています」とのことでした。 茨城県特別栽培農産物「ひぬまの恵み 愛ちゃんメロン」の挑戦は、まだまだ続きます。
インフォメーション | |
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名称 | JA水戸 南部営農資材センター |
住所 | 茨城県東茨城郡茨城町城之内684-1 |
お問い合わせ |
TEL: 029-293-6166
FAX: 029-293-6119 |
その他の情報 | ※この情報は2019年6月時点のものです。 |
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