いばらきの食に挑戦する人たち
安重水産 「おいしさ」にこだわるしらすづくり 安重 幸雄(鹿嶋市)
「鹿島灘のしらす」
茨城県沖は、全国でも有数のしらすの漁場で、大洗から利根川河口にわたる海域「鹿島灘(かしまなだ)」でもしらす漁が盛んに行われています。 茨城のしらす漁は、全国的にも珍しい1艘曳きで行われています。それは、極めて弱い魚であるしらすを鮮度良く水揚げする最良の方法だからです。 「しらす干し」は茨城県を代表する水産加工品で、船上でしっかり冷やされ水揚げされたしらすの中からサイズと色が優れたものを厳選して作られています。
数々の賞を受賞!「安重水産のしらす」
安重水産のしらす
平成30年度 農林水産大臣賞受賞の「ちりめん」
鹿嶋市の海岸沿い、海まで数十メートル程という立地にある「安重水産」は、鹿島灘近海で獲れた魚介類の水産加工と併せて卸し・小売を行っています。 「安重水産といえば、しらす」と呼ばれるほど加工技術に優れ、幾度も様々な賞を受賞。平成30年には、しらすをパラパラになるまで乾燥させた「ちりめん」が茨城県水産製品品評会で「農林水産大臣賞」を受賞しています。 「しらす」は、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシなどのイワシの赤ちゃんの事で、乾燥の度合いにより「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめん」などと呼び名が変わります。安重水産の代表 安重 幸雄さんは、「しらすの味は仕入れで決まる。仕入れたしらす次第で何を作るかを決めるんだよ」とこだわりを持って言います。
冷水で洗浄してしらす加工がスタート
表示計と釜の中を常に見張り、対応する幸次さん
セイロに並べながら、最終チェック
「『釜揚げしらす』はしらすを釜で茹でたもの。『しらす干し』は釜揚げしらすを2時間程干した(乾燥させた)もの、『ちりめん』はしらす干しをさらに追加で3時間ほど干したもののこと。『ちりめん』は、長い時間乾燥させて縮むから、大き目のしらすを仕入れた時にだけ作るんだよ」と安重さん。仕入れは主に長男の秀邦さんが、父から教わった厳しい目利きで、その日水揚げされた“良いもののみ”を仕入れるそうです。 この日は大き目のしらすを仕入れたため、「ちりめん」に加工するとのこと。仕入れ後は、鮮度を保つため直ちに加工場に向かいます。その間工場では、次男の幸次さんが加工場スタッフの指揮を取り、釜に湯を入れ、釜の塩分濃度等の機械のセッティングをして秀邦さんの戻りを待ちます。 しらす到着後は、加工場内の風呂桶ほどの冷水を張った機械にしらすを入れて加工がスタート。ベルトコンベアーで巨大な楕円形の流れる釜に入れられ、その後、機械選別を経て、最終的に人の目で異物等をチェックしながらセイロに並べていきます。 「ここで大事なのが、釜茹での際に行う塩分濃度の確認と、灰汁としらす以外の魚を取り除く作業」と安重さん。言われて見てみると、幸次さんが常に塩分濃度表示計に目をやりながら塩を足したり、何かをすくっては捨てています。この作業に手を抜くと、一気にしらすの味が落ちるのだそうです。
「天日干し」がしらすをうまくする
丁寧に天日干しをする秀邦さん
安重水産の敷地に入ると、一面にしらすの干し場が広がります。海風と太陽で干しあげる「天日干し」は、安重さんのこだわるところ。「天日干しをすると色ツヤも、味もよくなるんだよ」と安重さん。 鹿島の海と風土と職人の技がつくり上げる安重水産のしらすは、艶やかな色と綺麗に揃った形で、まるで芸術品のような仕上がりです。茹でたての釜揚げしらすをひとくちいただくと、爽やかな磯の香りがして、ふわふわながらしっかりとした食感があり、塩加減が絶妙で、絶品でした。 「今日はちりめんを作るから、ここから約5時間くらい天日干しにします」と安重さん。その間も続々と「安重水産のしらす」を買い求めに、地元の人達が訪れていました。
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安重さんに、今後の展望をお伺いしました。 「これからも、おいしくて、安心できるしらす作りをしていきたい。何はなくとも、おいしくなきゃダメ。ちょうどいい塩加減の『おいしさ』を追究し続けていきたいね」 安重水産のしらすは、どれもそのままでおいしく食べられるよう塩加減を調整して仕上げてあるので、ごはんにたっぷりと乗せて醤油をかけずにいただくと、旨みや甘みが存分に感じられます。まずはぜひ、そのまま食べてみてください。
インフォメーション | |
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名称 | 安重水産 |
住所 | 茨城県鹿嶋市武井釜880 |
お問い合わせ |
TEL: 0299-69-2227
FAX: 0299-69-1622 |
その他の情報 | ※このページの情報は、2019年11月時点のものです。 |
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