いばらきの食に挑戦する人たち
JA常陸 常陸太田ぶどう部会 武藤 豊さん(常陸太田市)
「ぶとうの里」常陸太田市
夏から秋にかけて旬を迎える果物「ぶどう」。茨城県では、巨峰を中心に、シャインマスカット等の欧州系ぶどうも多数生産されています。 なかでも、県北地域に位置する常陸太田市は、阿武隈山脈の南端に位置する水はけの良い丘陵地で、カルシウムやミネラル分を多く含み、ぶどう栽培に適した土質であることから、ぶどうの生産が盛んで、「ぶとうの里」として市内にはぶどうの形をした街灯なども設置されています。
常陸太田ぶどう部会の「常陸青龍」
「常陸青龍」
武藤 豊さん
常陸太田市にある「常陸太田ぶどう部会」は、約50年のぶどう栽培の歴史を持つぶどう栽培農家のグループです。 同部会のオリジナル品種「常陸青龍」は、昭和53年に常陸太田市内のぶどう農家が作った巨峰の実生から育成したぶどうで、色はマスカットのように爽やかな黄緑色。糖度は巨峰と同程度で、酸味や渋味がほとんどないため、飽きのこないすっきりとした味わいを楽しむことができます。 「常陸青龍」は、産地と品種を守るため、常陸太田ぶどう部会の会員だけが栽培しており、部会に入っている生産農家の直売所のみで購入することができます。 同部会の部会長を務める「武藤観光農園」の武藤豊さんにお話を伺いました。
生産のこだわり
雨よけハウス
常陸青龍の畑
丘陵地の一面に広がる武藤さんのぶどう畑を見渡すと、上半分だけがビニールハウスに覆われている畑がズラリと並んでいます。 「これは『雨よけハウス』といって、部会員の約9割が導入している施設です。ぶどうの樹が雨に当たると病気になりやすいので、農薬を減らすための対策です。おかげで病気の発生率は対策前と比べて半分以下になりました。また、うちは観光農園(ぶどう狩り園)なので、雨の日でもお客さんが濡れないようにという意味もあります」と武藤さん。 また、部会では、品質向上への取り組みとして、出荷する前に出荷規格や選別基準などを決める「目揃え会」、地域ごとに部会員皆で農園を見て回り情報交換を行う「講習会」を定期的に行っているそうです。
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武藤さんに、今後の展望をお伺いしました。 「どの業界もそうだと思いますが、後継者不足にどんな対策をしていくかが大きな課題です。ぶどう栽培は、やればやっただけの収入はあるし、地域と共にある仕事なのでとても魅力的な一方で、販売できるほどのぶどうを栽培する技術を身につけることは容易ではありません。ですから、比較的栽培技術が難しくない加工用のぶどう栽培の担い手を募集するなど、“ぶどう作りがしたい”という新しい人が来た時に受け入れられる窓口を準備しているところです。そういった人たちが、いかに安心して研修などを受けられるかが最も重要だと思います。」 武藤さんには、息子の翔平さんという後継ぎがいます。「ぶどう農家は自由で楽しい」と言う翔平さん。武藤さんは、メディアの取材等も積極的に受け入れ、ぶどうで産地の魅力を発信することで、産地を守り、発展させたいと力強く語ってくれました。
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