いばらきの食に挑戦する人たち
大輪水産 大輪 茂七さん(行方市)
大輪水産
大輪水産 大輪 茂七さん
看板商品「はぜの佃煮」
日本三大湖のひとつ「霞ヶ浦」。その南東部湖畔にある大輪水産(おおわすいさん)は、昭和10年(1935年)の創業で、霞ヶ浦で獲れたワカサギ、シラウオ、川エビ、ゴロと呼ばれるハゼ類などの加工・販売を行っています。 看板商品「はぜの佃煮」をはじめ、「えび赤煮」や「しらうおの佃煮」など8種類以上の佃煮や煮干しを製造しています。 「霞ヶ浦は、他の湖に比べて遠浅で水中の栄養分が豊富です。すなわち、魚介類も成長が良く栄養分をたっぷり蓄えているので、ワカサギなどは特に脂のりがよく、濃厚な味わいのものが獲れます」 そう語るのは、大輪水産3代目の大輪 茂七さん。 大輪さんが作った『大えび赤煮』は、令和元年度茨城県水産製品品評会で、最高賞の「農林水産大臣賞」を受賞しました。
農林水産大臣賞受賞!「大えび赤煮」
獲れたての大エビ
霞ヶ浦は川エビ漁が盛んで、全国シェアは50%を超え、日本一の漁獲量を誇ります。 大輪水産ではこれまで、漁獲量の多い小さな“稚エビ”を釜揚げや甘露煮にしたり、稚エビが1~2年成長した体長5㎝前後の“大エビ”は生で冷凍して販売したり釜揚げにしたりしてきました。しかし、2019年は大エビが豊漁だったため、大エビのみを贅沢に使った『大えび赤煮』の製造に挑戦しました。 大輪さんのこだわりのひとつは、鮮度。鮮度が良ければ良いほどおいしい佃煮になるそうで、漁師さん達に「漁獲したらすぐに氷漬けにしてください」などと常々お願いしていると言います。 届いた川エビには直ちに氷や冷水をかけて選別作業に入ります。「選別の時も何度も水をかけてエビの体表を洗うと同時に、体内の余分なものを排出させます。」こうして、できるだけ鮮度を維持しつつ作業を進め、大エビを煮ていきます。
「大えび赤煮」
味付けのポイントは、塩味のまろやかな白醤油。これをベースに、水あめ、砂糖を使って仕上げていきます。「合成保存料や着色料は使用せず、赤みを出すための色粉は、天然の紅麹からできたものを使っています」と大輪さん。 改良を重ねた伝統の技術によって、川エビ特有の長い手足を折らないように丁寧に仕上げた『大えび赤煮』は、まろやかで上品な味わいと美しく豪華な見た目が食欲をそそります。 品評会の審査では、「華やかな色合い」や「良好な照り」、「長い足を折らずに仕上げた見た目の美しさ」に加え、白醤油を使用したことによる「柔らかくて甘い香り」や「上品な味」が高く評価されました。 最高賞である「農林水産大臣賞」を受けて、大輪さんは、「ありがたいの一点です。うちみたいな個人商店がこんなに大きな賞を取れることはあまり無いので、同じ組合員の皆さんの応援のお陰だと思います」と照れながら語ってくれました。
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霞ヶ浦は、漁師と問屋が直接取引を行うという全国でも珍しい取引方法が行われています。 大輪さんは、「だからこそこちらの声を漁師さん達に伝えることができるし、漁師さん達の情報もダイレクトに入ってくるので、柔軟な販売体制が可能です。これからも、こうした情報共有ができる関係を大切にしながら、皆様に喜んでいただけるものを地道に真面目に作り続けていきたいと思います」と語ってくれました。 また、インターネットによる佃煮の販売も視野に入れているそうです。
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