いばらきの食に挑戦する人たち
株式会社 クロサワファーム 黒澤 武史(ひたちなか市)
株式会社クロサワファーム
クロサワファームのほしいも
株式会社クロサワファームは、“ほしいも生産量日本一”のひたちなか市で代々90年続くほしいも農家で、原料のさつまいもの生産から、ほしいもの製造・販売までを一貫して行っています。 同社の代表を務める4代目 黒澤 武史さんは、「甘さ・柔らかさ・風味」にこだわったほしいも作りを行っており、“日本一のほしいも”の称号を競う「ほしいも品評会」で、史上初となる2019年・2020年の2年連続で2部門(たまゆたかの部・希少品種の部)において「金賞」を受賞しています。 「『原料芋(さつまいも)の栽培方法でほしいもの味の7割が決まる』といわれています。弊社はさつまいも畑の全圃場を毎年土壌診断して畑に合った肥料を入れる土作りを行い、しっかりと良い原料芋を作るよう心がけています。加工と乾燥作業においても、手を抜かず、ひとつひとつ丁寧に作っています」と黒澤さん。 黒澤さんは、自身の代で家業を法人化し、先代まで1haだったさつまいも畑を9haにまで拡大。更なる規模拡大を目指しています。 「法人化の理由は、取引先の信用向上と人材確保のためです。人手不足が顕著な農業は、法人化していた方が働く側も安心して来やすいと思ったからです。」 そのかいもあり、繁忙期は27名程のスタッフと共にほしいも作りを行っているそうです。 2年連続2部門「金賞」を受賞したことで数多くのメディアにも取り上げられたこともあり、9haもの規模がありながら、今年分(2020年12月~2021年3月)のほしいもは、全て予約で完売となっています。
「甘さ・柔らかさ・風味」の追求
茨城県内にほしいも農家は数百軒あり、「たまゆたか」「べにはるか」「シルクスイート」「いずみ」など様々な品種のほしいもが製造されていますが、どれひとつとして同じ味のものはありません。それは、それぞれの農家が生産量日本一の激戦区のなか工夫を凝らし、個性を出そうと奮闘しているからです。さつまいもを作る土、芋の蒸し方、皮の剥き方、スライスの仕方、乾燥方法、どれも各農家によって違い、それぞれにこだわりがあります。 「クロサワファームのほしいもは、甘さ・柔らかさ・風味を追求している」と黒澤さん。 できたてのほしいもをいただきましたが、ホロっと柔らかく濃厚な甘さなのに後味がすっきりとしていました。 「私はほしいも農家歴10年目で、この業界ではまだヒヨッコです。先輩方はこの道30年、40年という方も多く、経験から来る“勘”などでおいしいほしいもを作れます。私は経験が浅いので、さつまいも畑の土などのデータを取って、データを見ながら改善を続けています。」 「芋の収穫後はキュアリング処理をして長期間保存を可能にし、その後約1ヶ月は定温で保管することで芋が熟成され、甘みが増していきます。」 「『甘さ・柔らかさ・風味』を出すには“蒸す”工程がポイントになります。普通は高温で最後まで蒸しますが、弊社では高温と、そこからちょっと下げた温度の2段階の蒸し方をしています。そうすることで、食べた時に芋の香りを残しつつ、甘さと柔らかさと風味が出るんです。」 また、現在定温保管庫を建築中とのことで、この保管庫が完成すると、更に甘く柔らかなほしいもができるようになるとのことです。
「ほしいも品評会」への想い
2年連続2部門金賞を受賞した黒澤さん
「たまゆたかの部」金賞
「希少品種の部(シルクスイート)」金賞
前述の「ほしいも品評会」に賭けるほしいも農家の意気込みは半端ではありません。 「ひたちなか・東海・那珂ほしいも協議会」の認定する「ほしいも三ツ星認定生産者」から出品され、1次審査を通過した15品の平干しのほしいも「たまゆたか」、「べにはるか」、「希少品種」が3部門に分かれて審査され、最終審査はイベント会場に来場の一般客2,000人の試食・投票によって行われ、最も票の多かった農家から順に金賞、銀賞、銅賞が決定します。 クロサワファームのほしいもは、近年では毎年上位に選出されている常連です。この結果が売り上げにも繋がるため、黒澤さんも並々ならぬ想いがあると言います。 「まだ上位に行けなかったはじめの頃は、乾燥方法を“天日干し”にこだわっていたんです。天日干しのほしいもは、食感がしっとり絶妙に仕上がるんです。でも、その頃金賞をはじめ上位に来ている方々は、“冷風乾燥機(自然環境を再現した低温の乾燥機)”を使って乾燥させている方が沢山いたんです。最終審査は一般の方々で、弊社は会社の理念のひとつに『お客様本位』があります。一般の方々がそれがおいしいと選ぶならと、うちも冷風乾燥機に切り替えました。」 冷風乾燥機に切り替えてから、クロサワファームのほしいもは品評会で上位に選出されることが増え、2019年・2020年は、史上初となる2年連続2部門(たまゆたかの部・希少品種の部)で「金賞」を受賞したのです。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
「首都圏におけるほしいもの認知度は上がってきましたが、関西方面ではまだまだ知られていません。なので、地元の特産品、そして茨城の特産品として、関西方面に向けてPRを強化していきたいと思います。また、せっかく2部門で金賞を取ることができたので、べにはるかの部も含めて3部門で金賞を取りたいです。」 クロサワファームの経営理念は、「高品質」「お客様本位」「挑戦」。「現状維持は楽しくないので、常に新しいことに挑戦していきたい」と語る黒澤さん。ほしいもの認知度を全国的に広めるため、商談会等に積極的に参加しています。 焼き芋を作り販売していく計画もあるとのことで、黒澤さんの挑戦はまだまだ続きます。
インフォメーション | |
---|---|
名称 | 株式会社クロサワファーム |
住所 | 茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦町1992-1 |
WEBサイトURL | https://kurosawafarm.jp/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2021年1月時点のものです。 |
今、おすすめの記事