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いばらきの食に挑戦する人たち

急須でいれるお茶の再興を願って! 吉成俊光さん(大子町)

急須でいれるお茶の再興を願って! 吉成俊光

茶はこころ 茶はもてなし 茶は思いやり

日本茶ソムリエ

 茨城県北部大子町にある「吉成園」は、江戸時代から続く由緒ある茶園です。吉成俊光さんは、奥久慈大子の地で、茨城三大銘柄茶のひとつでもある「奥久慈茶(おくくじちゃ)」の製造・販売を行っています。  吉成園の「花の里」は、県茶品評会において農林水産大臣賞を通算10回も受賞している銘茶。丹精込めてお茶を作り続ける一方で、吉成さんが切に願うのは、急須でいれたお茶を飲む習慣の再興です。  「昭和初期、お茶はたくさんの人に飲まれていました。お客さんが来た時のおもてなしに、食後の団らんに、急須で淹れるお茶はあたりまえのものでした。しかし平成に入る辺りから、核家族が増えたことに加え、ペットボトル茶の急速な普及によって、急須でいれてお茶を飲む人は激減してしまいました。」  吉成さんは、日本茶のソムリエといわれる“日本茶インストラクター”を取得し、吉成園に足を運ぶお客様をはじめ、各地で講演を行うなど、日々日本茶文化の再興に向けた活動を行っています。

おいしいお茶の淹れ方

 日本茶は非常に奥深い飲み物です。茶葉の種類ごとに特徴を引き出すいれ方があり、同じお茶でも2煎目、3煎目とお湯の温度を変えると十分に楽しめます。しかし大切なのは一煎目。それは日本人の“こころ・もてなし・思いやり”を表すものだと吉成さんは言います。  「お茶は“おもてなし”の心です。一煎目を最高においしく淹れられなければ、“いっぷくお茶どうぞ”とは言えないのです。」  ここで吉成さんに、おいしいお茶のいれ方を教えていただきます。 【新茶】…新茶を多めに入れて、湯呑に入れて一旦少しさましたお湯をそそぎ、1~2分で一滴残さずうつします。 【玉露】…50~60度にさましたお湯で2分程おいてからいれます。 【煎茶】…中級茶は熱めのお湯でサッと出し、香りと味を楽しみます。上級茶は湯呑に入れて一旦少しさましたお湯をそそぎ、40~50秒ほどおいてからいれます。 【氷水だし茶】…茶葉10グラムに対して氷水100ccを用意。急須の中に茶葉を入れ、その上に氷を一つ乗せておき、その上から氷水をそそぐ。約5分ほど待ってからいただくと、テアニン(アミノ酸)とエピガロカテキン(免疫力を高めるといわれる成分)のうまみの部分が色濃く抽出されたお茶がいただけます。2煎目、3煎目はお湯でいれ、その他の有効成分を抽出してうま味と渋味を味わいます。 ※複数いれる場合は、順番に少しずついれていき一周したら今度は逆から順番に。3人の場合は1⇒2⇒3、3⇒2⇒1といれていくと、お茶の濃度が一定になります。

お茶の鑑定

 奥久慈大子は、日本最北の茶産地です。土壌・気候に恵まれた奥久慈茶は、味、香り共に宇治茶、静岡茶をしのぐお茶とも称されています。  吉成さんはおおよそ週に一度、茶葉の鑑定を行います。湯温、器など同じ条件のもとにお茶を淹れ、見た目、香、そして味の3点を厳選して鑑定していきます。これは、自社で作った茶葉、または大子近隣から仕入れた茶葉のランク付けを行い、評価を出す為のものですが、この厳しい鑑定こそが吉成園、引いては奥久慈茶の品質を決める大切な仕事なのです。

ここでしか飲めないお茶

 吉成園は、もともと焙炉(ホイロ)と呼ばれる木の枠に厚手の和紙を張ったものの上で、蒸した茶の葉を炭火で乾燥させながら揉む、“手もみ製法”でお茶づくりを行ってきた茶園です。戦後は機械化が進み、手揉みでお茶を作る機会は少なくなっていきました。それでも、明治時代から続く茶園を守っていくには、「茶葉そのもので最高品質を目指し、“味”にこだわり抜いたお茶を確立することが責務だった」と吉成さんは言います。  「もともと大量生産ができない土地柄ですので、当園では沢山作ってペットボトル茶を作るというようなことはできません。それでも生き残っていく為には、どこでも飲めるようなお茶ではいけない。大子ならではの風土を活かして最高品質に仕上げた“ここでしか飲めないお茶”の味を出さなければ。」 高品質な茶を作るために大切なのは、まず茶の木を育てる元気な土を作ること。有機質の肥料を使って健康な土作りを行います。そして、母葉(ぼは)といわれる茶の葉の母体部分を丈夫に力強くするよう管理していきます。  「お茶は摘み取ったあとが大事なんです。摘み取った面にある最終葉が肉厚で大きく、色つやが良い母葉であれば、翌年に大きくて良い芽が得られます。それが来年の茶の味を決めるんです。土作りをしっかりやらないと、力強い母葉は育ちません。」  これに大子町特有の朝晩のひんやりとした外気が加われば、新芽により旨味が行くのだそうです。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

夢~さらなる挑戦~

 「今の若い人たちに急須でお茶をいれて飲んでもらいたい。日本茶はいれ方次第でまったく味が変わる、おもしろくて奥深い飲み物です。様々ないれ方を試して、自分好みの味を見つけてください。」

買えるお店
吉成園
住所: 茨城県久慈郡大子町左貫855
TEL: 0295-78-0121
FAX: 0295-78-0122
オンラインショップ
インフォメーション
名称 株式会社 吉成園
住所 茨城県久慈郡大子町左貫855
お問い合わせ TEL: 0295-78-0121
FAX:
その他の情報 ※この情報は2015年度時点のものです。

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