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いばらきの食に挑戦する人たち

大子町こんにゃく生産協会会長 菊池常勝(大子町)

大子町こんにゃく生産協会会長 菊池常勝

大子町の特産品を支えるこんにゃく芋生産者!

大子町のこんにゃく

 大子町は、古くからこんにゃく栽培が盛んで、江戸時代には水戸藩の専売品として藩財政を支えました。山方町(現・常陸大宮市)の中島藤右衛門(なかじまとうえもん)が、こんにゃく芋を粉末にすると日持ちして軽量化でき、遠隔地まで輸送できることを発見してから、全国に出荷されるようになったといわれています。  菊池常勝さんは、祖父の代から3代続くこんにゃく農家で、『大子町こんにゃく生産協会』の会長を務めています。ご自宅には、こんにゃくのすばらしさを書いた掛け軸が飾られており、毎年こんにゃく芋の収穫が終わると、各部落ごとに、藤右衛門公を偲び、この掛け軸の前で酒を酌み交わすのが年中行事となっているのだそうです。  こんにゃく生産協会の会員は研究熱心をな方達ばかり。毎年、各々の畑の土を持ち寄って成分を診断分析して土づくりをします。また、9月中旬頃には畑単位で生育状況を見る“立毛品評会”を行ない、その結果を皆で話し合って大子一のこんにゃくを決めています。夏期には、こんにゃく生産の先進地である群馬県に出向き、栽培の視察研修を行うなど研究に励んでいます。

空気が綺麗なことが大切な条件

 菊池さんのこんにゃく作りは、「ボカシ肥料」作りから始まります。こんにゃくの木は根腐れをおこしやすいため、それを予防できる“放線菌”という菌を増やして培養した「ボカシ肥料」を作り、これを有機質肥料と共に土にすきこみ、土づくりをします。  「ボカシ肥料は、温度が40℃以上になるとダメになってしまうので。毎日混ぜ合わせなければいけません。約15日間、毎日毎日、自分の子供の用に手間がかかりますよ。」と菊池さん。  こんにゃく芋を立派に育てるにはもうひとつ、大切な条件があるそうです。  「こんにゃく芋の葉と根は非常に弱いんです。もともと山の中に生息していた作物なので、寒暖差のある山間部を好みます。なおかつ空気が綺麗なところでないとすぐに枯れてしまいます。昔、隣町の平野部で育てようと芋を栽培したことがありますが、うまく育たなかったことがありました。」無骨でゴツゴツとしたこんにゃく芋ですが、見た目とは裏腹に、非常にデリケートな作物だったのです。

厳しい収穫作業

 10月の大子町では、各所で一面に白緑色の綺麗な葉を付けたこんにゃく畑が見られます。約1カ月もすれば、葉はすっかりと枯れ、いよいよ土の下のこんにゃく芋の収穫が始まります。  「こんにゃくは、それほど手間のかかる作物ではないのですが、収穫がとにかく大変です。掘り起こすまでは機械でやりますが、掘り起こした芋の選別は人の手でなければできない。小さい芋を先に取って、大きい芋を綺麗に掃除していく作業を行いますが、この辺りの土は特に粘土質が強いので、芋にへばり着いた土を取るのが容易じゃないんです。」10月末から12月半ばにかけて行われる収穫作業。寒い日はマイナスにまで気温の下がる大子町で、かじかんだ手を吐息で温めながら芋の選別を行う菊池さんとスタッフの姿が印象的でした。

こんにゃく名人

 通常こんにゃく芋は、保存が効かないため収穫されるとすぐに精粉処理されます。市販されているほとんどのこんにゃく製品は、精粉された「こんにゃく粉」から作られたものです。しかし、“こんにゃくどころ”大子町のスーパーや直売所では、冬になると“手作りこんにゃく”の姿が多く見られ、手作りこんにゃく専門店もあります。  こんにゃく芋をすって作った“手作りこんにゃく”は、もちもちとした食感と芋本来の香りが味わえる逸品。生産者は皆自宅でこんにゃくを作るそうですが、菊池さんから、“こんにゃく名人”をご紹介いただきました。  こんにゃく名人のこんにゃくは、手に持つとこぼれてしまいそうなほど柔らかく、とろけるような食感のなかに弾力もあり、芋の風味がたまらない、本当においしいこんにゃくでした。  「こんにゃく作りは、素材そのものをすって固めるシンプルな製法なので、芋の良し悪しで味が決まる。菊池さんの芋だからこそこの味になるんだよ。」と名人は言います。

販売時期
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 「収穫時にもっと効率的に作業ができる機械を開発してもらって、あとは、寒くなる前に収穫を終えられるようなこんにゃく芋の早生種が出て欲しいなと思います。」と菊池さんは笑っておっしゃっていました。

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