いばらきの食に挑戦する人たち
観るだけじゃない!水戸の梅産地づくり 根本太涛(水戸市)
水戸の梅産地づくり
水戸市の偕楽園は、金沢の兼六園、岡山の後楽園とならぶ『日本三名園』のひとつとしてその名を全国に知られています。 水戸市と梅との関係は、『水戸黄門』で知られる水戸徳川家第二代の藩主・徳川光圀公、そして第九代藩主・徳川斉昭公の二人が“このうえなく梅を愛していた”ことから始まったといわれています。 斉昭公は天保13年(1842年)に民と楽しむため自ら設計した公園「偕楽園」を開園しました。また、“梅干し”は、同公が軍事の際の非常食として役立つとして、偕楽園と弘道館をはじめ、その近郊に梅の木を植えさせました。 その教えは現代にも伝えられ、水戸市内では梅の木を庭に植えた民家が多数点在しています。こうした観賞用の梅の花木が人々に愛される一方で、食用梅の市場流通はごくわずかしかないのが現状でした。 そこで水戸市では、観ても、食べても楽しめる「梅の産地」を目指し、茨城県×水戸市×JA水戸×加工・販売団体そして水戸の梅生産者がタッグを組んだ『水戸の梅産地づくり事業』を開始しました。同事業により、市内の梅生産者は(※)『梅のジョイント栽培』を取り入れ、これまで本格収穫まで10年近く必要とした梅の育成期間を半減することに挑戦し『水戸の梅』の更なるブランド力向上のために奮闘しています。 今回は『梅のジョイント栽培』を行う根本太涛(ねもとだいとう)さんにお話しを伺いました。 (※)正式名称は『梅のジョイント仕立て法』
梅のジョイント栽培
根本さんは、昭和10年創業の『根本漬物店』を営みながら、父の代からの『梅の生産』を行っています。『水戸の梅産地づくり事業』への挑戦を決めると同時に、それまでほ場に植えていた梅の木を全て伐採し、梅のジョイント栽培への準備を整えたそうです。 「うちにあった木は、父の代から育ててきた木なので樹齢60年前後のものがほとんどでした。樹の元気もなく、梅の収穫量も減っていたため、せっかく新しいことを始めるので、全ての木を入れ換えようと決めました。」と根本さんは語ります。 梅のジョイント栽培は、長く伸ばした梅の苗木を直線上に植え、地上60センチ程度の高さで隣の苗木と接ぎ木し、一列につなげて育てていく栽培方法で、これまで本格収穫まで10年近くを必要とした梅の育成期間を半減できるという画期的な方法です。 「ジョイント栽培を開発した神奈川県に視察に行き、素晴らしい技術に感銘を受けて、自分も取り入れようと決めました。一番の決め手は、作業が減ることです。梅の木は高い物で3メートルを超え、収穫や虫の防除には危険が伴います。しかしジョイント栽培の場合、樹の高さは約2メートルほどなので女性でも収穫ができます。また、それまで高い木ゆえに虫の防除もピンポイントにできず資材を無駄にしていたことも多かったのですが、そういったロスも防げます。」 これまで行ってきた梅の栽培は、熟練の剪定技術が必要でしたが、「ジョイント栽培は樹形が単純で難しい剪定作業がないので、初心者でも梅を育てることができるのも利点だ」と根本さんは言います。
県×市×農協×生産者
『水戸の梅産地づくり事業』は、県と水戸市、JA水戸、加工・販売団体と生産者とが一体になって取り組んでいます。行政と農協からの積極的なサポートは、「生産者にとって何よりの励みになる」と根本さんは言います。 「県の担当者が農家ごとに畑の土壌診断を行ってくれるので、その診断を基にした肥料の計算や、施肥のタイミングなども常に相談しながら行えます。さらに、虫の防除薬なども、農協と連絡を取り合いながら行っています。
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現在水戸市内の14軒の農家が『梅のジョイント栽培』に賛同し、生産を行っています。更に平成27年からは水戸市内の老舗お菓子屋さんも立ち上がり、『水戸梅お菓子プロジェクト』を開始。新しい銘菓を作るため、水戸産の梅を活用した菓子の製造・販売をしています。 「梅は、菓子や梅酒、漬物、ジュースにするなど、使い道には無限の可能性があります。実際、取引先からは“もっと量ができればこの梅をぜひ使いたい”といったお声もいただいています。その為にも、もっともっとこの取り組みを広げていきたい。そして市内全体で良質な梅をもっともっと作っていきたいですね。」 根本さんの梅の木には、小さな花芽が、びっしりとついていました。今から数ヶ月後に迎える梅の収穫が楽しみです。
インフォメーション | |
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名称 | 株式会社 根本漬物 |
住所 | 茨城県水戸市渡里町1800番地 |
お問い合わせ |
TEL: 029-221-6153
FAX: |
WEBサイトURL | http://www.nemotuke.com/index.html |
その他の情報 | ※この情報は2015年度時点のものです。 |
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