いばらきの食に挑戦する人たち
鹿嶋にできたパラダイス! 唐澤 秀(鹿嶋市)
自然栽培で作物を育てる
鹿嶋パラダイス。唐澤さんの"この世にパラダイスをつくりたい"という想いは、この名前にこめられています。 唐澤さんは、食の楽園・鹿嶋パラダイスのコンセプトとして「本当に美味しくて、真に安全で、健康にも良くて、環境にも負荷をかけない、生活の隅々までそんなものに囲まれた生活って幸せ!サイコウの素材をつくってサイコウのものをつくりだしていく。」を掲げています。 大学を卒業後、9年間農業生産法人に勤めていた唐澤さん。農作物の栽培のみではなく、営業等の業務も行っていました。そんな中、お取引先の方と一緒に2005年頃“奇跡のリンゴ”で有名な木村秋則氏に会う機会があり、自然栽培という農法を知ったそうです。 最初は、肥料も与えず農薬も使わずに作物が育つものかと半信半疑だったといいます。 「200件の契約農家の土壌分析を行い、肥料設計をして作物を育てていたのですが、なかなか畑の状態も作物の品質も良くなりませんでした。そこで、自らホウレンソウやじゃがいも、にんじん、なすなど約10種類の作物を自然栽培で作ってみました。すると、肥料を与えず農薬を使わなくても作物が育つことが分かりました。成長は遅く、収量は少ないですが、虫がつかず、病気にもかかりませんでした。そして、何より、エグミがなく、スッキリとしていて味が抜群に良かった。自然栽培でできた作物のデータをとり、検証していく中で、肥料を与えた作物は、硝酸態窒素の数値が高く、自然栽培の作物からは、硝酸態窒素の数字が低いことがわかりました。硝酸態窒素の数値が高い作物は、虫がつきやすく病気にかかりやすいんです。」 そして、木村氏のもとに育てたホウレンソウを持って行ったところ、木村氏はとても喜ばれ、唐澤さんは「今後は自然栽培でやっていくことを決意した」そうです。
本能的にうまいと感じるもの
唐澤さんは、農業に憧れを持っていたわけではありませんでした。むしろ、農作物の価格の低さに「これで生活できるのか」と不安を感じていたそうです。唐澤さんは、まず、農家の方々に自然栽培で作物をつくる話しをもちかけたそうですが、自然栽培の難しさか、うまく話が進まず、最終的に自ら自然栽培に取り組むことにしたそうです。 そして、勉強会で知り合った方の紹介で、縁あって鹿嶋市に農地を借りることができたので、鹿嶋市で農業をスタート。しかしながら、借りた農地の中には自然栽培では農作物が育たない畑もあり、“自然栽培の生産性は低い”といいます。 「"できるんだ"という気持ちを持ち続けることが大事だと思って、農業と向き合っています。自然栽培の農作物は、"甘い"とか"味が濃い"とかではなく、本能的にうまいと感じます。自然栽培は、野菜が持つそのものの味を引き出すことができます。」 唐澤さんが作った野菜は、鹿島神宮参道の大町商店街にある"Paradise beer factory"で味わうことができます。11:00から14:00のランチタイムには、matildaトマトと大豆たっぷりカレーや朝採り野菜のワンプレートランチを、18:00~21:00には、料理5品のコース料理を楽しめます。
究極の素材で作る加工品
鹿嶋パラダイスでは、さまざまな加工品も販売されています。唐澤さんが作った大豆を原料にしたお豆腐は月に一度のお楽しみ。生産者が減少し、いまや幻ともいわれている品種の“いずみ”を作り、天日干しで仕上げた『ほしいも』は1月から3月までの限定販売。さらに、では、唐澤さんが作った蕎麦を“みずほの村市場”で製粉し、鹿島神宮内“一休”にて鹿嶋神宮の湧水を使って打った十割蕎麦も提供されています。 その他にも、鹿嶋パラダイスの大豆を粉にして作るきな粉や、自家製味噌、天日干し米で仕込んだ特別限定の日本酒、小麦と大麦も栽培し、ビール醸造も行っています。 一方、唐澤さんは綿花の栽培も行い、カッコイイ農作業着を作るべく「45rpm」というアパレルブランドと共同のプロジェクトで、鹿嶋パラダイスの綿花を使ったTシャツも作りました。 鹿嶋パラダイスでは、サイコウの素材を作り、サイコウのものを作りだしています。
1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
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「これからも、自然栽培の作物を増やしていきたいという気持ちがあります。そのため、NPO法人田楽を立ち上げました。このNPO法人では、耕作放棄地を借りて開墾し、麦や大豆を育てます。この活動を通して、自然栽培をしたい人がいたら、すぐに始められる環境を整えていきます。 今、日本の食料や農業は、外国で作った肥料、農薬、種に多くの部分を頼っています。もし、外国の物が輸入できなくなってしまったら、日本は危機的な状況に陥ってしまうでしょう。私は、日本が持続可能な社会を実現できるよう、日本の食材や伝統を伝えていくとともに、食料安保型農業を追求していきます。」
インフォメーション | |
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名称 | 鹿島パラダイス |
住所 | 鹿嶋市宮中1−5−1 |
お問い合わせ |
TEL: 0299−77−8745
FAX: 0299−77−8745 |
WEBサイトURL | http://kashima-paradise.com/index.html |
その他の情報 | ※この情報は2015年度時点のものです。 |
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