PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらき食材を使う料理人

地域と共に歩む中村貴士さん(笠間市)

中村貴士さん(笠間市)

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変人と呼ばれて

 中学生だった中村少年は、テレビ番組『料理の鉄人』をきっかけに料理の道を志したそうです。  「高校生の頃には、学校が休みの日には自転車で漁港に行ったり、市場で食材を見て回ったりするのが好きな、変わった子供でした。」 東京、フランスでの修業時代にも周囲の人からは“変人”と呼ばれてきたという中村さん。 地域、食材、そして生産者をこよなく愛し、料理に添加物は一切使わない。料理に対する強い信念は強烈ともいえるほどのオーラを放つっています。笠間市で「フレンチレストラントルテュ」のオーナーシェフを務めている中村貴士さん。  調理師専門学校を卒業後、東京のフレンチレストラン『コート・ドール』斉須政雄氏の元で料理の基礎を学んだ中村さん。  「“新人は料理なんてヘタであたり前。まずは人間性を学びなさいと言われ、”自分に関わる全てに気を使え、と教えられました。それは対人間だけでなく、例えば冷蔵庫にもです。荒く音を立てて閉めたりすると、“冷蔵庫にも気を使え!”と怒られました。」  料理の基本はまず人間性から。斉須氏の教えは、今でも中村さんの指針になっているそうです。

背伸びしない料理

 フランス料理といえば、高級食材を使った“高い料理”というイメージがありますが、中村さんは、高級食材にも負けない新鮮さや旬を重視した食材を使い、“背伸びしない料理”を提供することをテーマにトルテュを営業しているそうです。  「フォアグラ、キャビア…色々ありますが、海外からの高額な輸送費をお客さんに負担させるというのはどうなんだろう?とずっと疑問に思っていました。まず足元を見よう、と地元の食材を見て回ったら、本当に素晴らしい食材がたくさんありました。高級食材を使っておいしい料理を作れるのは、料理人として当たり前です。お客さんにあまり知られていないような食材に光を当てて、それをダイアモンドに変える。これが料理人の腕の見せどころなんじゃないかと思うのです。」  トルテュで使う食材は、9割9分が地元笠間産のものです。中村さんは、ランチ営業が終わった休憩時間には直売所をかけ回っています。

茨城の魚をPR

 中村さんが高校生の頃に足しげく通っていた漁港に、“鮮度”にとことんこだわる『まるいち』という地魚販売店がありました。しかしそんな『まるいち』も震災で多大なダメージを受け、のちの風評被害にも深く苦しんだといいます。そんな時こそ自分達の出番だと語る中村さん。  「まるいちさんは本当に素晴らしい魚ばかり。プライドを持って仕事をしていて、しかし、震災後、風評被害で魚が売れない状況が続きました。私たち地元の料理人が積極的に地元の魚を使ってアピールせずに、誰がやるというのでしょう。」  あえて地魚にこだわる中村さんの為に『まるいち』は、夕方水揚げされた魚を翌日の午前中にはトルテュに配送してくれているそうです。届いた魚は、時に熟成させるなどして、その魚が一番美味しい状態で提供できるようにメニュー構成を考えていくそうです。

栗のフルコース

 笠間市は栗の生産量日本一。市内の料理店では、笠間の栗をよりPRしようと、9~12月のシーズンになると市内の有志店舗で栗を使った料理の提供が始まります。 中村さんはこの取り組みに参加する前に栗の食べ比べをしたり、市内の栗名人と呼ばれる方に話を伺ったりするなど、“日本和栗”について猛勉強したそうです。  「笠間の栗は生栗自体が本当にうまい。ここまで素材の味が良いので、栗の味を生かせる料理を作るよう心がけています。」 2013年から、前菜からデザートまで全ての料理に栗を使った『栗のフルコース』の提供を開始。始めの年こそ戸惑いの声が上がりましたが、現在では『今年はどんなのやるんですか』『来年も楽しみにしています』との声が続々と上がっているそうです。 栗メニューで特に人気なのは、“栗とフォアグラのマルブル”と、“おだまきモンブラン”(栗クリームを絞る調理器具おだまきに、栗名人・小田喜さんの栗を使っているという意味も加えています。)“おだまきモンブラン”は、なんと自分でモンブランクリームを絞れるという体験型デザートで、大変人気なのだそうです。

インフォメーション
名称 フレンチレストラントルテュ
住所
お問い合わせ TEL: 0296-73-5578
WEBサイトURL
アクセス
その他の情報 営業時間:11:00~13:30(L.O) 17:00~20:30(L.O) 定休日:日曜日、第1・第3月曜(祝日の場合営業) ※この情報は2015年時点のものです

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