PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

旬のうまいもの特集

茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」

茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」

茨城の海を彩る
赤い高級魚「タイ

赤い高級魚といえば「タイ」、茨城では主にマダイとはなだい(チダイ)の2種類のタイが水揚げされます。両種とも年間を通じて漁獲され、一般的にいわれる旬以外でも、色鮮やかで脂の乗った魚を味わえます。
マダイはお祝いごとには欠かすことのできない魚。旬は一般的に産卵期(5月)前の2月~4月と言われていますが、産卵後の脂の回復が早いので、6・7月にも負けず劣らずおいしいマダイが揚がります。この頃のマダイは、真っ赤な色味で、見た目にも豪華。脂の乗りが良く、太っていて、身もしっかりしているのが特長です。また、はなだいの旬は7月~9月の真夏の時期。繊細な味わいで、えらぶたに沿って真っ赤な線が入っているのが特徴です。

1.船上・漁レポート

県内唯一の定置網

黒潮と親潮のぶつかる茨城県沖は、様々な魚がえさを求め訪れる絶好の漁場です。その海で、茨城で唯一、定置網漁を行っているのが日立市の久慈町漁協会瀬支所です。
定置網は垣網と身網とで構成されます。垣網は海岸線と垂直に張られた網で、回遊してきた魚は、この網が壁となり、身網へと誘い込まれます。身網に入った魚は、その構造から外に出ることができなくなります。定置網漁はこの身網を引き揚げ(網起こしという)て、魚獲する漁法です。

  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」県内唯一の定置網
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」県内唯一の定置網
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」県内唯一の定置網

網と綱の魔術、定置網漁

まだ夜も明けきらぬ午前3時半、会瀬漁港に次々と漁師たちが集まります。船のエンジンを暖機している間に、砕氷機で砕いた氷を漁師全員で次々に船に積み込んでいきます。

「どれ、いくか」
船長の掛け声で漁師たちが船に乗り込みます。漁は網起こしや漁獲された魚の運搬を受け持つ本船と、それを補助する船の2隻体制で行います。出港すると、2隻の船は漁場に向けて、船首で波を切りながら、まるで競いあうように進みます。

  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」網と綱の魔術、定置網漁
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」網と綱の魔術、定置網漁

出港から約30分後、ご来光が世界を茜色に染める中、網を仕掛けた漁場に到着しました。
2隻の船は定置網の両サイドに分かれ、本船は網起こしの作業に取り掛かります。漁師たちは船の前後でお互いの動きを確認しあいながら、キャプスタンという巻上げ機で海の中に複雑に張られたロープを船上に上げ、それを再び海に戻す作業を繰り返します。ロープの巻き方にはすべて手順があって、それを1つ1つ着実に行っていきます。定置網は長さにして400m、深さにして33m(海底まで)程度の広さがありますが、それが、ロープを巻くにつれて徐々に狭まり、引き揚げられて、網に入った魚が徐々に集められていきます。
いつしか2隻の船が飛び移れんばかりに近づきました。すると、水面がにわかに騒がしくなってきました。船と船のほんの5mほどの間に集められた魚たちが威勢よく跳ねているのです。そして、様々な種類の魚の中に、マダイやはなだいも赤い魚鱗をくねらせて、ピチピチと跳ねています。船長は言いました。
「今年はまだ少ないけれど、すごい時には水面が真っ赤になるほど獲れることもあるよ」

  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」網と綱の魔術、定置網漁
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」網と綱の魔術、定置網漁
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」網と綱の魔術、定置網漁

2.船上での鮮度・品質への配慮

  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」新鮮な魚を食卓へ
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」新鮮な魚を食卓へ

新鮮な魚を食卓へ

網の中で跳ね回る魚を船に揚げていきます。最初はクレーンを使った大網ですくい取り、ある程度少なくなったらタモ網を使って船上に引き上げていきます。タイを始めたくさんの種類の魚たちが次々と船の上に乗せられていきます。
この時が漁師たちの一番忙しい時。鮮度を落とさないように、てきぱきと素早く魚種を選別しながら、それぞれ決められた場所に入れていきます。さらに氷が船倉に投入されます。
「新鮮さが一番大事。魚は新鮮じゃなきゃ意味ない」
と船長は言います。鮮度を守る。それも漁師の大事な仕事なのです。

3.水揚げから入札

その日のうちに店頭へ

網を起こし終えると直ちに港に戻ります。大漁とまではいかなかったものの、まずまずの漁穫でした。
「マダイのシーズンだから1トンは欲しかったけれど、まあ、今日は仕方ない」とちょっとだけ残念そうな船長でしたが、帰港すると今度は休む間もなく水揚げが始まります。船上で大まかに選別された魚を、港では市場の人達と協力しながら、さらに魚種ごとに選別します。カゴに一匹一匹ずつ魚を選り分けていく。これもまた大変な作業です。
仕分けされた魚は仲買人など入札権を持つ業者が購入していきます。入札の仕組みは極めてシンプル。市場の職員に、それぞれの買いたい魚の番号と金額を書いた紙を渡し、その中で最も高い金額を付けた人が落札します。それぞれ落札した魚たちをトラックに積み込んで瞬く間に入札は終了しました。

  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」その日のうちに店頭へ
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」その日のうちに店頭へ
  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」その日のうちに店頭へ

「ここの魚は活きがいいから、どれもうまいよ」
仲買人の一人がそう言って荷物を運んでいきます。この港で水揚げされた魚は東京や地方の市場に送られるほか、近隣のスーパーや商店にも運ばれ、その日のうちに店先に並びます。

  • 茨城の海を彩る赤い高級魚「タイ」その日のうちに店頭へ

4.タイ料理レシピ

タイ本来の上品な味を楽しみタイ

古来より縁起物として重宝されてきたタイ。淡白な味わいのなかに上品な旨味を感じるので、シンプルな味付けにして本来の味を楽しみたい。刺身や塩焼きの和食はもちろん、カルパッチョなどの洋食にもよく合う食材です。

協力:那珂湊漁業協同組合女性部

 タイの炊き込みご飯

タイの炊き込みご飯

  • 材料(10人前)
  • ・タイ 1尾(炊飯釜に入るサイズ 体長20~25cm程度の小ぶりのタイ)
  • ・米 5合
  • ・昆布 1枚(10cm)
  • ・塩 適量
  • ・濃口醤油 大さじ 1強(20cc)
  • タイのウロコ、エラ、内臓を取り除き、水でよく洗う。(タイが炊飯釜に入らない場合は、尾を取り除く)
  • 胴体に斜めに切れ込みを入れ、全体に薄く塩を馴染ませ焼く。(通常の焼き加減でOK)
  • 炊飯釜に、研いだ米5合と規定量より若干減らした水を入れる。さらに、濃口醤油と塩一つまみを入れ、全体的に混ぜる。
  • 炊飯釜に昆布を入れ、焼きあがったタイを上に乗せる。味を馴染ませるために5~10分おいてから炊き始める。
  • 炊き上がったら、タイと昆布を取り除き、米をかき混ぜる。
  • タイの身をほぐして骨を取り除き(骨が固いので注意して取り除く)、炊飯釜に戻してかき混ぜたら出来上がり。

 タイの手毬すし

タイの手毬すし

  • 材料(6人前)
  • ・タイ 1尾(400g程度)
  • ・米 3合
  • ・すし酢 大さじ6
  • 米3合をすし飯用として炊く。
  • タイはウロコを除去し、3枚におろす。皮を剥き、薄めに切る。(10g程度)
  • 炊き上がった米にすし酢を振りかけ、手早くかき混ぜて全体に味を馴染ませる。すし飯を十分に冷ます。
  • ラップにタイの切り身を置き、一口サイズに丸めたすし飯を乗せて、ラップの口を絞るようにギュッと丸めて出来上がり。

※このページの情報は2017年7月時点のものです。

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