旬のうまいもの特集
銘柄牛の新ブランド「常陸牛 煌」特集
新ブランドの開発経緯
常陸牛をはじめとするブランド和牛は肥育技術の向上と改良が進み、霜降り度合いが高くなったことに加え、健康志向など消費者ニーズが多様化し、霜降りの多さだけでは差別化することが困難な時代となってきました。
このため、風味や口溶けの良さに関与する「オレイン酸」の含量や、口当たりの良さに関与する「小ザシ(霜降りの細かさ)」などに基づく、おいしさに着目した全国初の基準で厳選した新ブランドを打ち出すことで、常陸牛のトップブランド化を目指すとともに、国内外への更なる販路拡大を図ってまいります。
ブランド名「常陸牛 煌(きらめき)」
和牛のおいしさを追及して選び抜いた新ブランド。小ザシがキラキラと輝く様や、和牛界に革新をもたらし、ダイヤモンドのように燦然と煌めくトップブランドを目指していきたいという気持ちを込めています。
「常陸牛 煌」のブランド基準
有識者で構成する新ブランド常陸牛ブランディング検討委員会において、テストマーケティングや官能検査の評価結果、生産者や実需者、研究者の意見を踏まえ、“和牛のおいしさ”に着目した全国初の基準を策定しました。
茨城生まれ茨城育ち
繁殖農家や肥育農家などの県内生産者が一体となって、子牛生産の段階から品質向上に取り組むオール茨城のブランドを確立していきます。
月齢:30か月齢以上
常陸牛の通常の飼育期間は28か月程度ですが、さらに60日長い30か月以上の期間をかけてじっくり肥育することで、赤身のうま味やオレイン酸が増すだけでなく、より小ザシになりやすく、おいしい肉に仕上がります。
歩留 等級:A等級のみ
牛枝肉取引規格のうち歩留等級は、部分肉の歩留まりが良いもの(枝肉から食べられる肉が多く取れるもの)からA、B、Cに格付けされます。通常の常陸牛ではB等級以上を基準としているところ、より実需者から高く評価されるA等級のみとしました。
オレイン酸比率:55%以上
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は融点が13℃と低いため、風味や口溶けがよく、ジューシーさを生み出します。さらに、オレイン酸が溶け出すと、肉汁と融合し、和牛本来のうま味や香りを増強させる効果が期待されます。
小ザシ指数:110以上
赤身に入った脂肪をサシ(霜降り)といい、細かく均一なサシを「小ザシ」といいます。小ザシの牛肉は、筋肉内の結合組織の構造が弱いため、食感がやわらかくてなめらかな舌触りで、食肉関係者から高く評価されていますが、これまでは人の目と経験に基づき判断されていました。そのため、新たに、小ザシを数値化できる専用測定機を導入することで、全国で初めて小ザシ基準を採用しました。
新ブランド常陸牛ブランディング検討委員会
今回、おいしさにとことんこだわった常陸牛を新ブランドとして新たに打ち出すため、常陸牛生産から流通・販売関係者、和牛のおいしさに関する研究者など、様々な立場の有識者で構成する「新ブランド常陸牛ブランディング検討委員会」を設置し、ブランド基準やブランドネーム、販売ターゲットなどについて検討を重ねました。
ブランディング検討委員インタビュー
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橋本 武二さん
橋本畜産株式会社 代表取締役 -
鴨川 隆計さん
茨城県常陸牛振興協会 会長 -
飯島 悟さん
株式会社イイジマ 代表取締役社長
――どのような思いで新ブランドを作った?
橋本さん生産者として少しでもおいしい常陸牛を食べていただきたい。そういう思いでこの新ブランドを立ち上げました。
鴨川さん黒毛和牛を銘柄として売り込んでいく時に、これまでの常陸牛は肉質基準だけだったため特長が出にくく、サシの入り方などの品質にもバラつきがあった。新ブランドを作ることでそうした点を克服し、さらにブランド価値を高めていきたいという思いでした。
飯島さん「常陸牛 煌」は、日本三大和牛と言われる神戸牛、松阪牛、近江牛に引けを取らない牛肉ですので、もっと全国の方に食べていただきたい。そして、茨城をもっと有名にしたい。茨城は“おいしい食の宝庫”ですから、それを発信したいという思いです。
――「常陸牛 煌」の良さは?
橋本さん茨城生まれ・茨城育ち、生後30か月以上、オレイン酸割合などの基準ができたことで、消費者の皆様においしく「常陸牛」を食べていただけることが、我々生産者としては一番かなと思います。
鴨川さん元々「常陸牛」は、歩留等級がAとBかつ肉質等級4と5等級のものを「常陸牛」としていましたが、「常陸牛 煌」は、そこに更に茨城のオリジナル性を打ち出したものです。厳格な選定基準を設けることによって、肉質がなめらかで旨みが際立った常陸牛を提供できると思います。さらに、新ブランドを立ち上げることによって、常陸牛全体の底上げをしていければいいなと思います。
飯島さん今回の「常陸牛 煌」の一番のポイントは、特にロースが、これまでの常陸牛よりもあっさりしていて、年配者の方も食べやすいことだと思います。やわらかさやうま味を感じながら、食べた後もしっかり“おいしさ”を感じることができる。それが「常陸牛 煌」の特長です。
――「常陸牛 煌」はどんなブランドになってほしい?
橋本さん「選ばれる牛肉」になっていただきたい。多くの銘柄牛がありますが、その中でも「おいしい」と選んでいただけるブランドになって欲しいです。
鴨川さん新しい事にチャレンジして、常陸牛生産農家の皆さんが一丸となって同じ方向に向かって進んで行き、更に発展してもらえればありがたいと思います。
飯島さんこの「常陸牛 煌」をきっかけに、常陸牛を地元のお客様にもより食べていただいて、県外のお客様、インバウンドのお客様にも「茨城にこんなおいしい肉があったんだ!」ということを知っていただきたいです。
新ブランド常陸牛ブランディング検討委員会
- 帯広畜産大学生命・食料科学研究部門 教授 口田 圭吾
- 茨城県常陸牛振興協会 会長 鴨川 隆計(全国農業協同組合連合会茨城県本部 本部長)
- 橋本畜産株式会社 代表取締役 橋本 武二
- 有限会社藤井商店 代表取締役 藤井 勲
- ピアットスズキ オーナーシェフ 鈴木 弥平
- オー・ボン・ヴィヴェール 代表取締役社長 佐藤 正信
- 株式会社イイジマ(小売部門) 代表取締役社長 飯島 充
- 株式会社イイジマ(レストラン部門) 代表取締役社長 飯島 悟
- 茨城県営業戦略部販売流通課 課長 桑名 英明
- 茨城県農林水産部畜産課 課長 棚井 幸雄
※このページの情報は2024年1月時点のものです。
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