旬のうまいもの特集
幻の恵水プロジェクト~2023年~
新たな生産者も加わり2年目に突入!
全国屈指の梨産地である茨城県の梨生産者が取り組む「幻の恵水プロジェクト」
全国屈指の梨産地である茨城県。
県内で生産されているさまざまな品種の中でも、県オリジナル品種の梨「恵水(けいすい)」は、大玉で糖度が高いことが特長の梨です。
この恵水のトップブランド化に向け、県と梨生産者たちは、1万果に1個と言われるほど希少な「幻の恵水」(重さ1kg以上、糖度14度以上、外観が優れるもの)の栽培に挑戦する「幻の恵水プロジェクト」を2022年に立ち上げました。
生産者のプロジェクトにかける強い想いが実り、2022年は無事「幻の恵水」の栽培に成功し、高級果実専門店の京橋千疋屋において過去最高価格の1玉10,800円で販売されました。
恵水のトップブランド化に向けた強い想いを胸に、2023年は新たな生産者が加わり、今年も「幻の恵水」の栽培に挑戦しています。
「幻の恵水プロジェクト」梨生産者 (左から)松本 幸哲さん(筑西市)・飯村 栄さん(石岡市)・磯山 仁さん(下妻市)
「恵水」とは
茨城県オリジナル品種の梨「恵水」は、茨城県農業総合センターの研究者や技術者がその技術力を結集し、品種開発に取り組んで17年、「新雪」と「筑水」という品種をかけあわせて、約4,300個体の中から選りすぐり、誕生しました。
以来、高品質な果実を作るために生産者と一体になって栽培試験を繰り返し、平成23年(2011年)に品種登録されました。
平成25年(2013年)から県内で栽培が開始されて以降、年々栽培面積が増えており、おいしい果実がみなさんに届くようにと、大切に育てられています。
茨城県オリジナル品種の梨「恵水」
- 恵水の圃場
- 恵水の栽培の様子
収穫時期は9月上旬~下旬ごろ。秋の始まりとともに最盛期を迎えます。
恵水の特長
①とっても甘い!糖度は平均で約13度!酸味が少ないので甘みが強く感じられます。
②大玉でたっぷりの果汁! 恵水はみずみずしい大果の梨で、シャリシャリとしたさわやかな食感です。
「幻の恵水」とは
幻の恵水
「幻の恵水」は、大玉で甘いという恵水の特長を最大限に引き出した、1玉の重さ1kg以上、糖度14度以上で外観が美しい、1万果に1個のレベルでしか収穫できないとされる希少な恵水です。
「幻の恵水」の栽培に挑戦する生産者インタビュー
松本さん・飯村さん・磯山さん
Talk生産者対談 「幻の恵水プロジェクト」にかける想い
昨年もプロジェクトに参加いただいた磯山 仁さん(下妻市)と飯村 栄さん(石岡市)に加え、今年は新たな挑戦者として松本 幸哲さん(筑西市)が挑戦します。それぞれの想いを伺いました。
――昨年幻の恵水の栽培で苦労したことは?
磯山さん「幻の恵水」は、他の梨作りと比べて特に難しいです。昨年、重さと糖度をクリアした果実はたくさんできたのですが、形が優れたものとなると候補から外れてしまいました。受粉作業も摘果作業もかなり慎重にやりましたが、途中までは美しい形でも仕上げの段階になると形が乱れてしまう。これは恵水の特徴ではあるのですが、本当に難しいです。飯村さん恵水自体は5,000個くらいできたのですが、磯山さんと同じように、「幻の恵水」の規準を目指していくと理想とする形にならなくなってしまうものが多くて、細かなキズもNGだということだったので、最後までできるかわからないのが不安でしたね。
――昨年「幻の恵水」が京橋千疋屋で1玉10,800円で販売されたことへの感想
磯山さん・飯村さんホッとしました。プレッシャーもありましたが、県の職員をはじめ、このプロジェクトには多くの関係者で挑んだので、関わった方の嬉しそうな顔を見て心底ホッとしましたし、関係者全員で一緒に喜べて嬉しかったです。
――「幻の恵水プロジェクト」にかける想いについて
「恵水」はまだまだ全国的に知名度は低いですが、大玉でとても甘く、日持ちもする素晴らしい梨です。一切の妥協をせず作っていますので、とにかく一度食べてもらって恵水の魅力を知っていただきたいです。
今年もプロジェクトに参加することで、大玉で甘くおいしい恵水のPRに少しでも役に立てたらと思っています。
恵水は、大変手間のかかる贅沢な梨だと思います。でもそれだけの価値がある梨なので、そのおいしさをうまく消費者に伝えられたらと思います。
Interview新たに「幻の恵水」栽培に挑戦する生産者 筑西市 松本 幸哲さん
梨作りにおいては、毎年土壌診断を行い、施肥設計をして、有機質肥料を中心に使用した土作りにこだわっています。「恵水」をはじめ、「幸水」、「豊水」、「あきづき」などを生産し、どの梨も一番おいしい時期を見極めて出荷しています。
――恵水の魅力とプロジェクト参加への想い
恵水の一番の魅力は甘さだと思います。甘さと、大きさ。恵水は形が乱れやすく大変な面もありますが、このプロジェクトに参加することで恵水の魅力を少しでも多くの人に伝えられたらと思います。また、恵水を通じて若い方が梨作りに興味を持ってくれたらいいなと思っています。――プロジェクト参加表明後、恵水の栽培で工夫していること
初めての参加で手探りの状況なので、土作りや早めの摘果作業など、梨作りの基本的な事をしっかりやっています。また、他品種の梨と恵水の作業が重なる時は恵水の作業を優先して行っています。収穫直前!「幻の恵水」生育状況
8月下旬に磯山 仁さんの梨畑を訪問し、「幻の恵水」の生育状況を伺いました。
「今年は異常な高温のうえ雨が少なかったため、潅水(かんすい=樹に水を与えること)をしました。また、高温で色づきすぎてしまう梨が多いので、収穫のタイミングを見極めるのが非常に難しいです。梨の様子を入念に観察しながら収穫をしていこうと思います」
磯山さんによると、「今年は形の良い恵水ができている」とのことでした。
果たして「幻の恵水」はできるのでしょうか?!間もなく収穫の時期を迎えます。
- 「幻の恵水」の候補果実の近くにピンクのラベルを吊るし、区別している
- 「幻の恵水」の候補果実の大きさ・色・形を確認する磯山さん
「幻の恵水」の高級果実専門店での販売
今年も3人の梨生産者が栽培に挑戦した「幻の恵水」。
今年は異常な猛暑でありましたが、昨年の経験を活かし、手間を惜しまない大変な努力の結果、今年も無事収穫することに成功しました。
「1玉の重さ1kg以上、糖度14度以上で外観が優れるもの」という厳しい条件をクリアした奇跡の梨ともいえる「幻の恵水」が、9月4日から高級果実専門店の京橋千疋屋で1玉10,800円で販売されました。
また、今年は百貨店の伊勢丹新宿店でも同じく1玉10,800円で販売され、恵水のおいしさと品質の高さに対する評価が広がりつつあるのを感じています。
- 京橋千疋屋
- 伊勢丹新宿店
※このページの情報は2023年9月時点のものです。
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