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2021-02-26 レポート
CHEF’S MEETING online 茨城県銘柄豚「常陸の輝き」 開催レポート
有名シェフ、生産者らがオンライン上にて一同に会し、食材について意見交換を行う「CHEF’S MEETING online」が2021年2月4日に開催されました。
今回のテーマ食材は、茨城県が開発し、満を持して世に送り出したブランド豚「常陸の輝き」。
ピアットスズキ オーナーシェフ鈴木弥平氏、マルディグラ オーナーシェフ和知徹氏、O2 オーナーシェフ大津光太郎氏、そして常陸の輝き生産者 真原秀喜氏が参加し、他の銘柄豚肉との食べ比べを行い、「常陸の輝き」の独自性や強みについてお話しいただきました。
オンラインミーティングツールZoomで開催されたイベントの一部をレポートします。
司会者
「今回のテーマ食材、茨城県銘柄豚「常陸の輝き」の生産者、真原ファーム代表取締役の真原秀喜さんです。最初に、「常陸の輝き」の特徴、生産のこだわりなどについてお話しいただきます。真原さん、よろしくお願いします。」
真原さん
「「常陸の輝き」は茨城県の畜産センターで新しく(種豚となる)デュロック種を開発しまして、その特徴が筋肉内に脂肪(サシ)が入りやすいというもので、それを使って県と私たち生産者の取り組みの中で、長い年月をかけてディスカッションしてつくり上げたブランドです。」
「餌の成分でも、筋肉の増体を促すリジンを少し抑えて(元来リジンは筋肉を増体させる効果が高い)、筋肉の中にいわゆるサシが入りやすいお肉をつくっています。日本人には牛であれば“霜降り”のようなものが好まれる傾向もありますし、高級志向で美味しい豚肉をつくろうということで開発されました。」
「そのほかにも、乳酸菌が餌に入っていて、臭みを抜くとか、いろいろな生産努力をして、
厳正な審査や、年に一度の肉質検査なども行い、現在7名の生産者が「常陸の輝き推進協議会」の会員として安定した品質の肉を消費者とレストランのシェフの方々に届けられるように努力して頑張っているところです。」
司会者
「真原さん、ありがとうございます。今回この「常陸の輝き」の意見交換会にあたってシェフの皆さまには事前にほかのブランド豚肉(「銘柄A」、「銘柄B」)との食べ比べをお願いしました。
「常陸の輝き」を含めた、それぞれの豚肉を「柔らかさ」、「香り」、「うまみ」の3つの要素で比較をしていただき、点数(1〜5点)を付けていただきました。それによって、「常陸の輝き」の個性や、ほかの銘柄豚と差別化できるポイントを探っていきたいと思います。
<1.「柔らかさ」について>
鈴木シェフ
「5点です、ダントツでした。ただ、お肉に関しては、柔らかいからいいというのは個人の好みになってくるのですが、今の時代は好まれる傾向にあるんでしょうね。柔らかいっていうだけの判断でいけば、「常陸の輝き」がダントツでしたね。」
(常陸の輝き・・5点 銘柄A(三元豚)・・4点 銘柄B(純粋種)・・3点)
和知シェフ
「柔らかさについては、鈴木シェフと同じで一番柔らかいと思います。銘柄Bのほうは、ちょっと筋肉質なので、柔らかさという点では2点にしました。」
(常陸の輝き・・3点 銘柄A(三元豚)・・3点 銘柄B(純粋種)・・2点)
大津シェフ
「柔らかさを見るために3種類の加熱方法を試しました(焼き・ボイル・蒸し)。どの加熱方法を取ったときでも、やはり「常陸の輝き」が一番柔らかいです。あと面白かったのが、ボイルして冷ましたときにも柔らかい。今後何か料理を考えるときに、そういう強みを推していくのも良いと考えました。お弁当とか、カツサンドとかでも美味しく食べられる豚かなという感じがしました。」
(常陸の輝き・・5点 銘柄A(三元豚)・・4点 銘柄B(純粋種)・・3点)
<2.「香り」について>
鈴木シェフ
「香りは、最近の豚に関して全般的に言えることなんですが、ちょっと物足りないくらい豚の香りっていうのがしないですね。でも、それが今の世の中の主流なんだと思います。目をつぶって食べていると、何を食べているのか意外と分からないくらい、豚に関しては香り(臭い)というのが全体的に好まれない時代なのかなと思います。
「常陸の輝き」と「銘柄A」はちょっと似ている感じがしました。これを常温で僕はいただいたんですが、若干「常陸の輝き」のほうが噛んでいると、咀嚼している間に豚の香りがするかなという感じですね。」
(常陸の輝き・・4点 銘柄A(三元豚)・・3点 銘柄B(純粋種)・・2点)
和知シェフ
「銘柄Bだけ香りが少し強めにあるという印象でした。僕の場合、この5段階で3に付けているのは、必ずしも駄目だということではないです。3種類の中では銘柄Bが筋肉質な肉質由来の香りがあるような気がします。」
(常陸の輝き・・3点 銘柄A(三元豚)・・3点 銘柄B(純粋種)・・4点)
大津シェフ
「僕も、正直「常陸の輝き」が一番香りはよかったと思います。ただ、鈴木シェフがおっしゃっていたように、最近の豚肉は香りがしない、いい意味で個性を出しすぎないという風潮を感じます。一方で、料理に対してしっかりと“豚肉だ”という主張ができるような香りがあるのを感じたので、「常陸の輝き」をブランドとして推し進めていくにはちょうどいいのかなという印象を持ちました。銘柄Aと銘柄Bも、香りは「常陸の輝き」よりも弱いかなという感じです。冷めたときも「常陸の輝き」には香りがあったので、今回このような評価にしました。
(常陸の輝き・・4点 銘柄A(三元豚)・・2点 銘柄B(純粋種)・・3点)
<3.「うまみ」について>
鈴木シェフ
「「常陸の輝き」と「銘柄A」は噛んでいると非常に似ている部分が多かったですね。この2つを食べた後に「銘柄B」を食べたときに、あまり特筆するべき味を感じなかったので、このような評価にしてあります。」
(常陸の輝き・・5点 銘柄A(三元豚)・・5点 銘柄B(純粋種)・・3点)
和知シェフ
「「常陸の輝き」に関して一番高い点数を付けています。私は日本全国の豚を食べ比べたことがありまして、北のほう(東日本以北)のお肉というのは、うまみが強くなりがちです。
西のほう、南のほう(西日本以南)の豚は、気候も含めて、あっさりした豚に仕上がる傾向が強いです。そのうえで考えても「常陸の輝き」はバランスがよく、ポテンシャルがとても高いと感じています。うまみは一番突出していると感じています。」
(常陸の輝き・・4点 銘柄A(三元豚)・・3点 銘柄B(純粋種)・・3点)
大津シェフ
「今回、ロースで味を見させていただいて、うまみは一番「常陸の輝き」があったのかなと思います。肉質と、うまみのバランスがすごく良かったという印象がありました。
もう1つ、中国料理は“脂のうまみ”というのも必要なのですが、すごい個性が出ていて、今後、僕も使いたいと思うようなお肉でしたね。」
(常陸の輝き・・4点 銘柄A(三元豚)・・2点 銘柄B(純粋種)・・3点)
司会
「さて、シェフのお三方が事前に、この「常陸の輝き」を使って調理してくださったお料理があります。そちらをご紹介します。」
鈴木シェフ
「今回使わせていただいたのは、モモ肉なんですね。「常陸の輝き」はもう何年も携わっているんですが、実際にお店でも使っています。よく使うのがフィレと、それから、このモモ肉なんです。モモ肉にこの「常陸の輝き」の特徴が一番表れていると思います。 普通、モモ肉っていうとね、大体固いんですよ。だから、調理がしづらいんですけど、今回の料理は63℃で2時間半くらいマリネ液に漬けたまま低温調理をして、ハムの状態のように仕上げて、それを香ばしい香りをまとわせながら焼きます。塩こしょうだけで、ほかに味付けは一切していないです。お店でもこれを出しているんですけど、豚の味をお客さんに分かっていただきたくて、あえてこういう感じでシンプルに出しています。」
和知シェフ
「僕の料理はリブロースの部分を使っていまして、さらに骨が付いた状態です。
ソースがないとフランス料理っぽくならないので、豚と相性がよさそうなマデラを使ったソースを使っています。肉自体は、シンプルに骨付きのまま、塩コショウをしてフライパンで焼いて、肉を1回取り出して、お酒でうまみをこそいで、バターでとろみをつけたソースを肉の上にかけてあります。ご家庭で、「常陸の輝き」を使う際にできるだけシンプルに、かつ、おかずになるようなものがいいかなと思って、今回のこのお料理にしています。冒頭でもお話ししたように、とても柔らかい肉質なので、シンプルに焼いても、とても柔らかい状態のまま食べられるという印象です。」
大津シェフ
「2品料理しました。まず1品目がチャーシューです。うちの看板メニューが焼き立ての
チャーシューでして、生の状態でバラ肉に塩と五香粉(ウーシャンフェン)という中国のスパイスをすり込んで1時間くらい置いて、そのあと、調味液に漬けて約5日間置き、オーブンで180℃で15分焼き上げます。最後に麦芽糖という水飴のようなものを塗って仕上げてあります。脂身の美味しさをすごい僕は感じたので、シンプルですけれど、中国料理の代表的なチャーシューをつくってみました。
「もう1品は焼売(シュウマイ)です。バラ肉を細挽きで挽いたものと、肩ロースを粗挽きにして入れてあります。肩ロースをわざと粗挽きにしているのは、焼売を食べたときに肉の食感を感じてもらいたいためです。ちょうど、バラ肉2:肩ロース1の割合でつくったんですが、これが冷めてもすごく美味しかったので、今後「常陸の輝き」で焼売も作ってみたいなという感じはしました。」
司会
「ここからは、シェフ同士、シェフから生産者になど自由に意見交換をしていただきたいと思います。」
鈴木シェフ
「真原さん。肥育期間や、エサに関して教えてください。」
真原さん
「180日齢出荷という状況です。「常陸の輝き」に関しては、仕上げ用の餌をある一定期間は食べさせるという規約があります。だから、例えば180日で出荷する人でも、仕上げの餌をちゃんと一定期間は食べさせるという取り組みを行っています。一般的な飼料を食べたほうが発育もいいのですが、そこを「常陸の輝き」の餌に切り替えて、肉質がちゃんと熟成されるようにしています。」
司会
「真原さんのお話で和知シェフがとても大きくうなずかれているなという印象だったのですが。」
和知シェフ
「そうですね。豚が健康な状態で、肉付きやバランス、そういうことをすごくイメージしながら育てられているのだなというのが、解説でさらに確認できた感じです。食べてもそういうバランスの良さが感じられて、そこが魅力なのかなとも思います。何かがとんがってしまうと、料理もしづらいのと、豚肉に皆さんが求める味というのが、あまり疲れてしまうような感じではなくて、毎日でも食べられるような味わいを求めているような気がするので、そういう意味で餌や肥育期間にも工夫があると理解しました。」
司会
「本日のご感想、総括を伺っていけたらと思います。鈴木シェフ、いかがでしたか?」
鈴木シェフ
「茨城県出身なので、茨城にもいろんな銘柄の豚があって試してきたのですが、なかなか胸を張ってPRすることができなかったというのが実情です。でも、この「常陸の輝き」に携わって、この豚ができたときに食べて、「あ、これはいける」と思いました。
本当に胸を張って、「「常陸の輝き」っていうのは美味しい豚なんですよ」と、みんなに広めていきたいなと思っています。」
約1時間、多岐に渡る情報交換がされたCHEF’S MEETING online 茨城県銘柄豚「常陸の輝き」。
今後の生産活動、販路開拓に役立てていける貴重な声を集約することができました。
3人のシェフにとっては、大きなポテンシャルを秘めた新しい食材となったようです。
たくさんの方に愛されるブランド豚肉へと飛躍するべく、日進月歩の生産販売活動が続きます。
ぜひご注目ください。
CHEF’S MEETING online 茨城県銘柄豚「常陸の輝き」
録画動画のアーカイヴはこちらからご覧になれます。
↓↓↓
https://www.ibaraki-shokusai.net/movie/?id=6174
▼いばらきの豚肉>常陸の輝き
https://www.ibaraki-shokusai.net/brand/pork/#hitachinokagayaki
●今回のCHEF’S MEETING onlineに参加してくださったシェフ
ピアットスズキ オーナーシェフ 鈴木 弥平 氏
茨城県水戸市出身。いばらき食のアンバサダー。
1992年単身イタリア留学し、各地のリストランテで研鑽を積む。帰国後「ヴィノ ヒラタ」のシェフを務め、2002年に独立「ピアットスズキ」をオープンした。2007年「ミシュランガイド東京」版発刊以来、1つ星を獲得し続ける。
マルディグラ オーナーシェフ 和知 徹 氏
「レストランひらまつ」入社後、在籍中にパリの1つ星で研修し、帰国。ひらまつ系列の飯倉「アポリネール」料理長に就任。退職後、1998年銀座「グレープガンボ」の料理長を3年務める。2001年、独立し「マルディグラ」を開業。
肉料理といえばマルディグラとの名声を確立し、“肉の賢人”とも称され人気を博している。
O2(オーツー) オーナーシェフ 大津 光太郎 氏
中国料理店「トゥーランドット臥龍居」で15年にわたって修行を積み、スーシェフを務めた後、自身の名前を冠する「O2」を東京・清澄白河に開業。野菜ソムリエの資格を持ち、既成概念にとらわれない新しい中華料理で人気を集めている。
※このページの情報は2021年2月時点のものです。
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